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特集:2023年・広告の出し先

第5のデジタル広告カテゴリーへ 活用広がるオーディオ広告の現在地と可能性

オーディオ広告の出稿時に押さえておきたいポイント

──配信先の選び方、音声コンテンツ作りのポイント、KPIとして追うべきものなどオーディオ広告を出稿する際のポイントについてもお聞かせください。

八木:配信先は、「どんな層に届けたいか」を決めた上で選ぶことをお薦めします。

 今多くの企業の課題としてあるのが、音声コンテンツを持っていないことです。ホストリードであれば音声CMがなくても対応できますが、今はどの会社も動画コンテンツを持っているのと同じように、今後は音声コンテンツを持っておく必要が出てきます。まずは30秒を目安に音声クリエイティブを作るといいでしょう。

 音声コンテンツ制作のポイントとしては、最初にアテンションを取れるものにすることがあります。バナーや動画の広告は視覚に訴えることができるので比較的合理的なつくりをするのに対し、オーディオはちょっと変なことや、おもしろくてシェアしたくなるようなものを作らないと記憶に残すことができません。Spotifyで言えば、「Spotifyをお聴きの皆さん」と語りかけるようなものや「シャッフルおじさん」などがその好例です。

 音声広告のKPIや効果検証は会社にもよりますが、おおよそ4種類を設定することが多いです。

 1つ目がターゲットリーチ。純粋にインプレッションとリーチ数、完全再生率などをセグメントも加味して「どんな層にどれくらい当てたか」がわかるようにします。ターゲットが明確な大企業が追うような指標といえます。

 2つ目はブランドリフト。ブランドリフト調査で広告接触者と非接触者を比較し、ブランドスコアの上がり方を見る手法です。プログラマティックやアドネットワークの場合は、データを突合でき、広告接触者を抽出できるので正確に計測できます。データが使えないものでも、質問によるフィルタリングで実施可能です。消費財メーカーなどがブランドリフトでメジャーメントすることが多くなっています。

 3つ目はアトリビューション分析。これは間接コンバージョンで、ポッドキャストでもSpotifyやradikoのような音声アプリのプログラマティックでも可能です。音声接触者のデータを取っておき、数日後にまたそのサイトにたどり着いたかどうかを計測する仕組みになっています。これを「リッスンスルーコンバージョン」と言います。クリックがないタイプの広告である音声コンテンツにとっては非常に重要な指標となります。商材によってはYouTube(動画)よりも高いスコアが出ることがあります。

 4つ目は来店コンバージョンです。位置情報データを使って、広告接触者が店舗を訪れたかどうかを見る手法です。地方のロードサイドのチェーン店などに向いていて、プログラマティックであればA/Bテストもできます。特に米国だと、通勤で長い時間車に乗っていることが多いので、音楽に飽きてラジオを聴く人が多く、車移動による来店促進には相性がいい手法となっています。

日本でオーディオ広告というジャンルを確立するために

──今後、オーディオ広告はどのように発展していくと思われますか? 最後に予測と展望をお聞かせください。

八木:IABの調査ではデジタル広告の種類が、ディスプレイ、リスティング、SNS、動画、そしてオーディオという順番でカテゴライズされています。ですが、日本市場だと、オーディオは1カテゴリーとして確立しておらず、「その他」の項目に入れられてしまっています。ですが、今後は必ず5種類目のデジタル広告になってくると私たちは考えていますし、そこを目指して価値を伝えていきたいと思っています。

 オーディオ広告の日本市場は冒頭申し上げたとおり、他国より後れをとっている現状があります。コンテンツが増えないと市場は多様化しないので、成功事例をたくさん作っていくことが重要です。今私たちは、広告主さん側への提案はもちろんですが、同時に媒体側の活性化も目指しています。両側にアプローチすることで、オーディオ広告というジャンルを確立させたいと思います。

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/11/01 09:30 https://markezine.jp/article/detail/40358

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