3,000億円規模のデザート系ドリンク市場で勝負する
──2022年2月時点で、国内最多の出店数を誇るティーカフェブランドになったと伺いました(ゴンチャ ジャパン調べ)。
ティーブランドというカテゴリにおいてはナンバーワンですが、コーヒーショップを含めたカフェ産業全体で見ると、まだまだ小さなブランドです。日本のお茶市場は、コンビニを含む日常利用で約9,000億円規模と言われています(出典:2021年12月に実施したゴンチャ ジャパンの独自調査)。さらに、大手コーヒーチェーンが属する「プレミアムカフェ」の市場規模は7,000億円。その中でデザート系ドリンクは約3,000億円を占めています。

当社では、ゴンチャがこのデザート系ドリンクカテゴリに高い親和性があると考えています。実際、当社が2021年に行った調査でゴンチャの利用シーンを聴取した結果、最多回答は「甘いものを飲む」でした。ほかにも「友人との時間を過ごす」「自分へのご褒美」が上位に並んでいます。このようなお客様のニーズに応えながら、ファンを増やしていくためにCX戦略を進めているところです。
──CX戦略について、もう少し詳しく聞かせてください。
先の調査で、お客様は甘いものや友人との時間、自分へのご褒美など「楽しいお茶」を求めてゴンチャに来てくださっていることがわかりました。そのため、オーダーの9割以上をストレートティーではなくミルクやフルーツを加えたドリンクが占めています。この傾向は、コーヒーショップで甘いドリンクを購入される方の割合と重なるんです。
そこで私は、コーヒーチェーンのマーケティングカレンダーを徹底的に見直しました。「いつ何をすればお客様に魅力を感じていただけるのか」を研究したわけです。その結果、期間限定商品を打ち出すことで新たなお客様に向けてゴンチャの間口を広げることにしました。これが1つ目のCX戦略です。

期間限定商品でゴンチャを訪れた方には何度も繰り返し通っていただきたいため、CRMを強化することで定着を促すことにしました。これが2つ目のCX戦略です。
店舗の設計にCRMの視点が抜け落ちていた
──CX向上のためにLINEミニアプリでモバイルオーダーシステムを構築されたと伺いました。なぜCRM強化の打ち手としてモバイルオーダーシステムに着目されたのでしょうか。
入社前に店舗を利用した際、商品を見てすぐ「これはファンブランドだ」と思ったんです。国内外で多くのユーザーがSNS上にドリンクの写真を投稿していることからも、そう確信しました。コーヒーショップが多く、お茶を飲める店が少ない日本の市場にチャンスを感じた一方、レジにはバーコードを読む機械がなく、デジタルでお客様とつながる接点もゼロ。CRMの視点が根本的に抜け落ちていたのです。
CRM施策の一つに会員カードがありますが、紙の会員カードは投資効率が悪く、そもそもカードを財布に入れてもらうこと自体が難しい。それなら、スマホのホーム画面で最も良い位置に設定されることの多いLINEで公式アカウントを接点とし、モバイルオーダーという利便性の高い機能でつながり続けようと考えたわけです。
モバイルオーダーの最も大きなポイントは、お客様とつながることができる点です。お客様の生活の中で、ゴンチャの店舗に接していただける時間は限られていますが、LINEというタッチポイントを通じて様々な商品をご案内するだけで「行こう」と思ってもらうチャンスがつくれる。この点は魅力的です。