これからの購買体験における店舗のあり方
では、店舗は購買体験をどのように作っていけばいいのだろうか。
岡本氏は、店舗は“ものを買う場所”という概念から脱却し、購買体験全体の一部として在り方を考えなければならないという「エンドレスアイル」という概念を挙げた。
「購買体験全体は、『自社の資産、社会の変化、顧客の声』の3象限で考えていくとよいと思います」と岡本氏。どのような価値をどのように提供できるかという自社の資産と、どんな顧客がいてどのような点が評価されているのかといった顧客の声を照らし合わせた上で、今の理想は何なのかを考えていく。そして自分たちの資産をどのように活用できるか、顧客のニーズはどのように変化しそうかという社会の変化から未来の理想を考え、今の理想と未来の理想の両軸で理想の顧客体験を描いていくのだと説明した。
「このときに忘れてはいけないのが、リテールヒューマニティです。崇高なビジョンを掲げ、ハイテクノロジーを駆使したとしても、それを使っていること気づかれてしまっては理想の体験とは言えないのです」(岡本氏)
また理想の顧客体験を描いていく際に下支えするものとして、従業員体験がある。理想の顧客体験を実現するには、業務オペレーションの変更や新しいマシン導入などが必要となるかもしれない。そうした従業員体験を加速させていくと、サービス自体が向上し、顧客体験もさらに加速していくことになる。このサイクルを回していくと各タッチポイントにデータが集まっていき、データを使い従業員体験も顧客体験もさらにアップデートしていくのが、重要なポイントだ。
店舗体験を高度化するサービス
電通デジタルでは、店舗体験の高度化サービスを提供していると言う。リテールに関するリサーチの他、自動接客ツールの企画・開発ではツールに対して人の温かさを加えていったり、従業員のオペレーションを考えたりといったことも行っている。また、スタッフへのマーケティング施策やデジタル端末の企画・開発、リアルとデジタルをつないでいくOMOといったマーケティング支援を行っている。
「リテールにおける消費行動は、顧客がやりたいときにやりたいことができるということが大前提になっています。それを支えるのが従業員の体験です。顧客の理想の体験を従業員が実現できるように、ユーザーエクスペリエンスの専門家である我々が『ヒューマン』の視点にたってご支援できればと考えています」と岡本氏は語り、同セッションを締めくくった。
リアル店舗でのお買い物に7割の人がワクワクしていない!?
電通デジタルは、リテール業界において加速的に進行しているDXの支援に向け、生活者の実態を把握すべく「リテールDX調査」を昨年より実施しております。2022年の調査テーマは「リアル店舗でのお買い物体験におけるワクワク」です。リリースをぜひご覧いただき、調査結果の詳細をまとめたホワイトペーパーも別途ご用意しておりますので、ご興味があればお問い合わせください。