かわいいだけではだめ? 商品の世界観で拡散を促進
──Z世代に向けた戦略を実行するにあたって、何か決まったキーワードや意識していることはありますか?また、その方針をどのように見つけたのでしょうか?

ただ美味しくてかわいい飴としてではなく、それにリンクするデザインやストーリーなどのコンテンツと一緒に楽しんでもらい、その商品の世界観を体験してもらうコト消費のようにしていきたいと思っています。
こうした考え方が得られた背景には、調査、ヒアリングの結果があります。飴市場の縮小化という課題感は元々持っていましたが、その対策に動くためには、まず若年層の意識を知る必要があると考えました。
若年層の声を聞く調査を定量と定性で重ねて行っており、その一つは全国の女子高生300名を対象に行ったアンケート調査です。2022年に実施し、結果、飴の喫食率は4割で意外に多かったのですが、それに対して好意度が非常に低く、また自分向けだと思って食べられていないといった課題が浮かび上がりました。
他にも、たとえば喉が痛いときや甘いものが欲しいときのような機能的なモノ消費はありますが、飴に対してワクワクする、ときめくといった印象はまったく感じられておらず、若者の飴離れを目の当たりにしました。
しかし、小さいときに食べた思い出といった原体験や、カラフルで透明感のある色やモチーフとして形がかわいいという印象があるといった意見もZ世代からも沢山聞かれました。喫食率は低いものの、食べる前までの印象は非常に良く、様々な色や形があるという特徴からかわいい印象が記憶に残っているため、これは強みとして使えるのではないかと感じました。
Z世代の方たちと話していると、彼らは機能的価値というよりも情緒的価値を非常に重視していると感じています。見た目のかわいらしさのわかりやすい直感的なものに惹かれるという特徴がありつつ、この商品を自分が買うことでどんな世界観に浸れるのか、その世界観を自分に投影したときに「イケてる」
そこから飴をモノ消費ではなく、誰かにSNS等で商品を共有したいと思ってもらえるような世界観とその体験を作り出し、それをきっかけにコミュニケーションが生まれていくことが重要だと考えています。
ターゲットの悩みをヒントにCMの世界観を作り出す
──ピュレグミに関しては、御社の中でもZ世代に刺さっていると思うのですが、その要因はなんですか?
ピュレグミは2022年の春にテレビCMを「ときめく風に、乗れ。」というキャッチコピーで行いました。

同商品のコアターゲットはZ世代の中でも新入社員の年齢層に設定しています。コロナ禍に入社した彼らは、リモート化が進み会社に行く機会が少ないことから同僚の顔も覚えられないといった不安があると聞きます。その中で「いつもそばで気持ちを上げる力になります」「自分らしく頑張ることを応援します」というメッセージを込め、出演に伊藤万理華さん、YOASOBIさんの楽曲を起用して伝えました。
伊藤さんご自身もアイドルから転身して自分らしさを貫いている方です。そのキャラクターを活かした世界観を楽曲とともに作り上げたところ、非常に沢山の共感をいただけました。