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「もしゴキブリがInstagramを運用したら」 アース製薬の風変わりな企画がバズったワケ

気付いた人の優越感が拡散を生む

MZ:福間さんから企画の提案を受けた際、率直にどう感じましたか。

稲積:「ゴキブリ目線」というコンセプト自体は型破りでありながら、ストーリーに無理がなかったためすんなりと受け入れられました。ゴキブリは一般的に好意を向けられにくい存在ですが「姿を見せないこのアカウントのゴキブリなら応援してくれる人が出てくるかもしれない」と感じましたね。

アース製薬のInstagram公式アカウントより
【クリック/タップで拡大】アース製薬のInstagram公式アカウントより

MZ:2022年6月の公式アカウント開設直後は「ゴキブリ目線」というユニークなコンセプトをあえて伏せて運用していたそうですね。これにはどんな意図があったのでしょうか。

福間:誰でも自分が第一発見者になったときは「見て!これ、すごくない?」と他人に自慢したくなりますよね。この心理を踏まえて「アース製薬がゴキブリ目線のインスタを始めます」と自ら発表するのではなく、消費者に「もしかしてこれってゴキブリ目線のインスタ?」と気づいてもらう設計を考えました。後者のほうが気持ちの乗った発話やUGCを生み出しやすいからです。

 UGCを生み出すために、導線設計も工夫しました。最近は様子が変わってきているかもしれませんが、よくInstagramは「Look at me」Twitterは「Look at this」の媒体だと言われます。このアカウントはやはりLook at thisのTwitterで広げる必要があると思ったんです。Twitter上で「これ見て!」と話題にしてもらいやすいコンテンツをInstagramで投稿し、実際に話題にしてくれたユーザーのツイートをアース製薬の公式Twitterアカウントがリツイートすることで「Instagram→Twitter→Instagram」の流れを作りました。

アース製薬のTwitter公式アカウントより
アース製薬のTwitter公式アカウントより

2週間でフォロワーは13倍!UGCもバズる

MZ:狙いどおりユーザーに気付いてもらうことはできたのでしょうか。

稲積:準備していた投稿が残り3、4つになったタイミングで、多くの方から「ゴキブリ目線のインスタ」というコンセプトに気づいてもらえました。私たちが予想していたタイミングよりは遅かったのですが、ストーリーがクライマックスを迎えるタイミングと重なったことで、うまく盛り上がりを作れたと思います。

UGC創出事例
UGC創出事例

稲積:ただ、正直に言うと話題になるまでは内心ドキドキでした(笑)。社内や取引先にはInstagramの運用を開始したことを宣言していたわけです。それなのに商品はおろか、アース製薬の社名すら一向に出てこない投稿が続くわけですから「あれ何なの?」「意味がよくわからない」「いつまで続くの」と各方面から突っ込まれました。そのたびに「ストーリーがあるので、もう少し辛抱して見ていてください」と地道に伝えていましたね。

MZ:今回の企画を通じて得られた具体的な成果を教えてください。

稲積:2022年6月にInstagramの公式アカウントを開設して、現在のフォロワー数は約35,000人です(2022年11月時点)。開設直後に実施したキャンペーンでフォロワーが1,200~1,300人まで増えたのですが、そこからバズが起きるまでは横ばいの状態が続いていました。

 2022年8月にTwitterで大きくバズった際は2週間でフォロワーが約35,000人まで増え、約13倍の伸びを示しました。ページをリロードするたびにフォロワー数が増えていく様子を見るのは貴重な経験でしたね。TwitterについてもUGC投稿のリツイート数が2.5万、いいね数が10万を越えました。

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投稿ではなく企画単位でバズらせるのがポイント

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/01/11 08:00 https://markezine.jp/article/detail/40818

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