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【特集】話題化で終わらない、Instagram活用

利用者が求める情報は「映え」から「リアル」へ、クリエイターとコマースで変化するInstagram

インフルエンサーからクリエイターの時代へ

──先ほど、クリエイターという言葉が挙がりました。従来のインフルエンサーとは何が異なるのでしょうか?

 一般的にインフルエンサーは、企業の商品を多くのフォロワーにそのまま紹介する、拡声器のような役割です。自分の感性や視点を挟まずに「私が使っています」と消費を紹介することが、インフルエンサーマーケティングでした。

 一方でMetaが考えるクリエイターは独自のコンテンツを制作し、ブランドを確立し、それをファンに広げて影響力を高めている人です。既に利用者は投稿を見て「この人の本音か否か」がわかる程度には見る目が養われています。言い換えれば「この人が大好きなブランドとコラボレーションした投稿だ」ということもわかります。たとえば、オーガニック化粧品の投稿をたくさんしていて、そういった商品が好きで詳しい人というイメージを持たれているクリエイターがお勧めしていれば、「この人のイチオシなら買わなきゃ」という納得感につながります。それができるのがクリエイターです。

 そういったクリエイターとコラボするクリエイターマーケティングは、お客様の購買やブランドの成長につながっていきます。

──企業はどのようにクリエイターマーケティングを推進していけばよいでしょうか?

 まずは「クリエイターマーケティングを通して何をしたいか」という目的を明確にします。新商品の認知の拡大やブランドイメージの促進など、実施の目的があるはずなので言語化しておきます。

 その上で、クリエイターマーケティングに重要なポイントは3つあります。

 1つ目が「トピックの選定」。クリエイターとブランドの間でしっかり共感できるトピックを設定することが大切です。クリエイターの投稿を見て世界観を理解し、ブランドの世界観とマッチするか、クリエイターの本音が引き出せるかを踏まえてトピックを選ぶことが肝になります。

クリエイターの世界観とブランドの世界観が重なって初めて、熱量の高い本音感= authenticityが生まれる
クリエイターの世界観とブランドの世界観が重なって初めて、熱量の高い本音感=authenticityが生まれる

 2つ目が「クリエイターの選定」。陥りがちな考えが「フォロワー数が多いクリエイターに依頼してリーチを稼ぎたい」ですが、重要なのはフォロワー数よりも何をどのように伝えられるか。「自分が伝えたいという熱意を持って話してくれるクリエイターか」を見極めることが重要です。予算を無理して費用が高いメガクリエイターと組むより、しっかり商品の価値を理解し本音感のある投稿ができる方と組むべきです。

 3つ目のポイントは「表現方法」です。ここはプロであるクリエイターに任せることです。どうしてもブランド側から「これを伝えてほしい」「ロゴは見せなければいけない」とお願いしてしまうことが多いと思います。しかしそれではクリエイター本来の力が発揮されず効果が薄くなってしまう。クリエイターが独自の世界観を発揮できるやり方を尊重すること。ブランドからするとはじめは難しいと思いますが、これはマストですね。

──クリエイターマーケティングのプロジェクトの期間やクリエイターの人数についてはいかがでしょうか?

 一人の方と長期的にコラボするのがいいのか、複数のクリエイターの方と取り組むのがいいのか、悩ましいところかと思います。

 最終的にブランドの成長を目指すなら中長期的なアプローチのほうが効果的だと思います。その上で、複数のクリエイターとコラボするのがよいでしょう。クリエイターによって、出てくる本音や表現の仕方がまったく異なります。どれが正解とは決めず、多様なクリエイターを通して伝えることで、利用者が「こんな見方もあるんだ」と様々なフィルターを通して商品を理解できます。

 ですので、ブランドはクリエイターと中長期的に取り組みながら、テスト&ランを重ねていく姿勢が重要です。ブランドとクリエイターの掛け合わせ次第で様々なアプローチが可能です。1つの解を得ようせずに試して、お客様の反応を見てみる。お客様の声を聞くツールとしてもInstagramを活用していただけるとよいと思います。

──企業がクリエイターと中長期的に良好な関係を築くためのヒントがあれば教えてください。

 クリエイターを選ぶにあたっては、常にソーシャルリスニングによって市場をチェックしておくことが重要です。どんなクリエイターがどんな発信をしているのか、自社のブランドとライフスタイルが合うかどうか。これはブランドがクリエイターと良い関係を作り上げるための第一歩だと思います。

 もう1つは、繰り返しになりますがクリエイターのクリエイティビティを尊重することです。これによってブランドとクリエイターが対等で良好な関係性を結ぶことができます。商品をどのように表現したらフォロワーに刺さるか、一番よく知っているのはクリエイター自身。中長期的にシナジーを生み出すためには、ブランド側がディレクションしたい気持ちを少し我慢する必要があります。それでこそ、情報があふれかえった現代において、信頼できる情報として生き残っていけるのです。

──ちなみに、貴社が企業とクリエイターのマッチングで支援されていることはありますか?

 ビジネスとクリエイターのマッチングについては、米国で「ブランドコンテンツパートナーシップ機能」のテストを開始しています。この機能により、ブランドコンテンツを通じて協業するパートナーを探しているクリエイターとビジネスが互いを発見しやすくなったり、Instagramのアプリ内でより簡単にコミュニケーションが取れるようになっています。また、クリエイターを支援する機能の拡充やプログラムの立ち上げにも力を入れています。今年の1月には、株式会社SHIBUYA109エンタテイメントとの業務提携を発表し、「Creator Collaboration Space(クリエイターコラボレーションスペース)」を3月3日にオープンしました。クリエイター向けのプログラム提供に向けて動いています。

──最後に、Instagramが利用者および企業にどのような価値を提供していくのか、今後の展望をお聞かせください。

 利用者に向けては、今後も家族や友人とつながり、好きなものへの興味関心を深めたり自己表現したりできる場所でありたいと思います。そのために、利用者のニーズやトレンドに応えられるように、変化を恐れずに前進していきたいと考えています。

 ビジネスの観点では、あらゆるビジネスにとって名刺のような存在として「must have」のビジネスプラットフォームでありたいですね。Instagramは利用者とファネルが近いことが特徴です。ビジネスが使わないのは本当にもったいないと思っています。

 Instagramは、クリエイターマーケティングも含めて多様な表現を実現し、コミュニティを作り上げることでロイヤリティを高められることが強みなので、豊かに表現できる場所であり続けたいと思います。さらに、ブランディングから購入までフルファネルで活用していただくために、我々もビジネスの皆さんの推進をサポートしていきます。

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/04/07 15:00 https://markezine.jp/article/detail/41683

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