お風呂とのコラボは、コンセプトの正しい認知を獲得するための手段
「お風呂」と「飲み物」。後から聞けば納得感のある組み合わせだが、初めから結びつけるのは難しそうな内容だ。では、Endianが今回温浴施設とのコラボに至った背景は何だったのか。

まず、EndianはCHILL OUTがマッチングする場所を探すべく、実証実験やテストを繰り返し実施した。そして様々な施設・業種の方たちとのコラボレーションの中で、関心度が特に高いものとなったのが「温浴施設」だったという。
「温浴施設だと、大浴場を出た後に、牛乳やコーヒー牛乳を飲むカルチャーが既に存在しています。しかし、お風呂や銭湯、サウナでリラックスした後に、リラックスを促進する目的の飲み物はまだ世の中にないのではないか、という新規性に目を付けました」
また、CHILL OUTが抱える課題感も背景にあったという。CHILL OUTは、真逆なコンセプトであるにもかかわらず、店頭はエナジードリンクの横に陳列されるケースが非常に多く、消費者がエナジードリンクの一種と誤認するケースが散見されていた。
「新しい市場だからこそ、正しい認知獲得に苦戦していました。そんな中で既存のリラックス体験やその空間とコラボレーションすることにより、リラクゼーションドリンクとしての理解を深められると考え、今回の施策を発案しました」
コミュニティに所属している人に訴求することで拡散が加速
本施策の取り組みを広めるためにEndianは何を行ったのか。渡邉氏はオンライン・オフラインの両面で工夫を施したという。
まず、オンラインでは、SNSを中心に取り組みを発信。渡邉氏自身も想定外なことに、SNSを運営している温浴施設も多かった。その配信を介して施設のファンのコミュニティ内にCHILL OUTの「お風呂の日」「サウナの日」の取り組みが広がっていき、旧来のCHILL OUTファンのコミュニティとは別のコミュニティで認知拡大が行えたという。
オフラインでは、入浴剤での「チルアウトの湯」を一つのフックとして、施設内にポスターやPOPを掲載した。
「元々興味がない人を連れてくるよりも、最初からある程度コミュニティに属している方に上手く訴求ができれば、広がりも加速します。今回、新規・既存の両方にアプローチできたのはおもしろかったですね」
実際、今回のイベントをきっかけに、「普段はあまり行かないけど、この近くでやっている銭湯に行ってみよう」といった人や「最近は行けていなかったが、今回のイベントを機にまた行ってみよう」という人もいたという。
またEndianでは、 自社サイトの中で温浴施設の紹介や参加施設の一覧を共有し、そこを見た方が来るという導線を作ったという。その狙いは共有方法によるターゲットの振り分けだ。
「大々的な『拡散』ではなく『ちょっと深度が高い情報共有』として、より興味がある方が読んで行きたくなるような情報を掲載する。CHILL OUTを好きな方がサイトを見て行ってみようと思える導線づくりを意識しました」
