「継続購入の促進」「将来のデータ利活用の可能性」に期待
MZ:「LYPマイレージ」の継続購入を促す点に期待されたのですね。
森本:そうですね、これまでになかった定常的な販促プログラムであることに惹かれました。過去実施してきたポイントキャッシュバックキャンペーンでは1つ100円未満の商品に対して10〜20ポイントを付与していましたが、「LYPマイレージ」では「1,000円分の『十六茶』を購入すると、PayPayポイントを50ポイント付与」と設定しています。単発のキャンペーンより少ないポイント付与であっても、「購入し続けることでメリットがある」とお客様に思っていただければ、継続購入につながり、結果的に売上が増加すると考えました。
加えて、今後「LYPマイレージ」が拡大し、LINEのユーザーIDとPayPayの決済データを掛け合わせられるようになると、これまでより踏み込んだ販促ができるようになると期待しています(※)。当社がその施策の先駆者となるべく、「LYPマイレージ」にファーストエントリーさせていただいたわけです。
MZ:今後のデータ活用まで見据えての参画だったんですね。そのほか、魅力を感じた点はありますか?
森本:購入するだけでマイレージが貯まるので、わざわざ告知する必要がない点でしょうか。ポイント施策を行う際、プラスチックボトルなどに掲示シールを貼ってキャンペーンの告知をするケースも多いと思いますが、将来的には「環境に悪い」「エコではない」といわれる可能性があります。現在は小学校からSDGsについて学ぶ時代なので、その子どもたちが将来大人となった時に「実はアサヒ飲料は早期から環境配慮も考えた販促に取り組んできた」という点が販促やブランドとしての強みになるかもしれないと考えました。
継続性の強みが発揮され売上が増加 小売店は顧客単価の向上効果も
MZ:「LYPマイレージ」への参画によって、これまでにどのような成果が得られていますか?
森本:「LYPマイレージ」対象商品の1つに、アサヒ飲料の「十六茶」があります。この「十六茶」について、調査会社のインテージが出している市場前年比と、「LYPマイレージ」に参加している小売業5社からPOSデータをいただいて前年比の売上を見たところ、「LYPマイレージ」対象店舗のほうが、売上が約20%高いことがわかりました。
実は、当社は2023年4月に同じ無糖茶の新商品「颯(そう)」を発売していたため、「十六茶」の売上に影響が出ていたんです。「LYPマイレージ」対象外の小売店では前年比でみた売上が落ちてしまったのですが、「LYPマイレージ」の対象店舗では前年比でもほぼ横ばいの売上を記録し、ほとんど差はありませんでした。
4月は「LYPマイレージ」がリリースして1ヵ月の時期で、ユーザーの方に「『十六茶』はお得なんだ」という意識が生まれてきた頃だと思います。そのため、大きなプロモーションを行わずとも対象店舗で「十六茶」が購入されるようになり、これだけの売上インパクトにつながったと考えています。
まさに、期待していた継続性の強みが発揮された結果です。「LYPマイレージ」の対象店舗にとっても「これまで『十六茶』を買わなかったお客様がそのお店で買うようになった」ことで、小売店の顧客単価の増加につながったと見ています。
MZ:期待していた強みが売上にもしっかり結びついているんですね。「LYPマイレージ」全体としても売上効果は出ているのでしょうか?
岡田:アサヒ飲料様以外の商品も含めた全体感でお話すると、2023年3月に「LYPマイレージ」のリリースに伴った大々的なキャンペーンを行ったことも功を奏し、対象商品の売上総額は、2023年3〜5月計で目標比110%と好調に推移しています。
日用品カテゴリと比べると、飲料カテゴリは価格帯が低単価で購入サイクルが短いため、継続購入が増えれば売上に反映されやすい傾向があります。全体感としても、まさにそうした商品の売上増加がけん引して伸びていると考えています。