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【特集】明快な方程式がなくなった、メディアプランニングの今

メディア利用はシーンや習慣に左右される。メディアポジショニングマップから見る、生活者のリアル

各メディアの利用にみられる特徴とは?

──各メディアの利用のされ方に特徴はありますか?

 テレビは先ほど触れたように、リアルタイム視聴が右上にマッピングされます(図表2)

メディアポジショニング全体俯瞰 ビデオリサーチ『メディアポジショニング調査』レポートを基に作成
メディアポジショニング全体俯瞰 ビデオリサーチ『メディアポジショニング調査』レポートを基に作成(タップで画像拡大)

 これは、食事というシーンで非常に優位なメディアだからで、メディア環境というより文化的なものに左右された結果です。家庭にもよりますが、マナーとして食事中にスマホの使用を控える人は多いでしょう。一方で、テレビでしかもリアルタイムの番組を見ることについては長年の習慣で許容されがちです。そのため、今後新たに食事中の視聴が許容されるコンテンツが登場するか否かによって、変化が生じる余地もあるかと思います。

 SVODやAVODなどの動画メディアについては、自宅のリビングなどのくつろぎの空間で使う傾向が強まってきています。テレビ画面に映すだけでなく、自宅のリビングで各々がタブレットやスマホで動画を見ることも、最近は自然なことになってきたのではないでしょうか。私自身、子供が視聴するタブレットとテレビの音が重なっていても気にならなくなってきました。リビングでみんなが動画を好き勝手見る生活に、この3年間で慣れ親しんだのではないでしょうか。調査検証まではしていませんが、その可能性があると考えています。

 また、SNSについては主にスマホで見るのでプライベートな領域での利用が多くなります。これは時間帯の関係もあると思います。就寝前に触るとなると、リビングではなく自分の部屋で接触することになります。SNSごとにポジションの違いはあまりないのですが、TikTokだけが少し特徴的です。全体(15~69歳)ではTikTokはながら見される位置にありますが、若年層(15〜25歳)ではくつろぎの時間での利用に変化します。

 若年層にとってTikTokは合間の時間に少し見るというより、他のゲームアプリやYouTube的な領域に近くなってきているのです。

 なお、本調査は2019年から実施していますが、コロナ禍の影響もあってか動画メディアの動きが大きく出ています。数年で浸透率が明確に変わるメディアはそれほど多くないのですが、使われ方や利用者数の変化が顕著だったのが動画メディアでした。

──音声メディアの使われ方についてはいかがですか?

 音声メディアはわかりやすく、右下の「生活の合間の時間」に集まります。音声メディアの種類としては、ラジオ放送やradiko、SpotifyやAppleMusicのような音楽配信サービスがあります。音楽配信サービスは通勤通学時など電車の移動中に使う方が多いですし、ラジオもカーラジオで聴く方が多いので、このポジションになると考えられます。ただし、radikoのようにオンデマンドで聴けるものは、特定の聴きたいコンテンツをくつろぎの時間に落ち着いて聴く方も多く、特徴的な使われ方だと考察できます。

──調査ではYouTubeをゲームや音楽、YouTuberの投稿動画などコンテンツの内容によって分けています。コンテンツによるポジションの変化は見られましたか?

 コンテンツによって視聴のされ方が変わる可能性も考慮したのですが、結果はどれも近いところにいます。強いて差を挙げるなら、音楽系のコンテンツはプライベートの場での利用に偏ります。とはいえ、YouTubeをテレビ画面で見る人も多くなっているので、全体的にはマップの左上「自宅のリビング・居間でのくつろぎの時間」に寄りがちですね。

 ──年齢によるメディアの利用法に特徴はありますか?

 年齢では違いが出にくく、わずかな差はあるものの構造はほぼ変わらないのが実態です。この調査は年齢による差を探すより、全体構造を捉えるために使っていただけると良いと思います。

──その他、利用が急増しているメディアや注目すべき変化があれば教えてください。

 今、私自身が注目しているのは、Disney+のポジションがどう変わるかです。現在明らかに利用率を伸ばしています。今はコアユーザーの多い右側の領域にいますが、この先Netflixと同じように左に動いていくのか、注視したいですね。

 また、音声メディアの今後の動きも気になります。アフターコロナで音声メディアが伸びるのではないかという予見があり、今回から調査対象に入れました。ひと研究所は、生活者の家の中での行動についても調査してきたのですが、コロナ禍で平日自宅にいるようになった会社員の男性が、日中のテレビのコンテンツが合わないのでラジオを聴き始めたケースがしばしば見られました。コロナ禍をきっかけに音声メディアに触れるようになった人たちが、外出が増えてくる中で使用を止めるか、外でも利用するか、注視したいと思っています。

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/06/23 09:30 https://markezine.jp/article/detail/42540

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