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就活の「とりあえずスーツ」にあえて切り込む 青山商事に学ぶ“社会課題解決型”リブランディング施策


重要なのは認識の共有 世代を超えて一体感を生むコツ

──リブランディングを推進していく上では、社内での対立や理解への取り組みは避けて通れないと思います。「#きがえよう就活」プロジェクトへの理解はどのように得ましたか?

 プロジェクトを開始する前から、テレワークの普及でビジネスパーソンの服装がカジュアル化していることは社内でもすでに認識が広がっていました。

 しかし、採用活動でもオンラインがメインとなることによって服装の変化の影響が就活にも広がっていると気づいていた人は社内でも少数だったと思います。

 「#きがえよう就活」プロジェクトでの服装指定の可視化の取り組みは、先述の通り「企業の服装自由という記載」が就活生にとってのお困りごとになっているという調査結果を基にしています。しかし、この取り組みを「ビジネスウェア事業において主軸商材であるリクルートスーツをなくそうという取り組み」だと誤認し、抵抗感を覚える人もいました。

 実情としては、オンライン面接が当たり前になる中で、店頭に来店されるお客様からも「何を着ればいいかわからない」という悩みをよく聞くようになっていました。

 「#きがえよう就活」の調査結果から得たリアルな就活生の声や、店頭のお客様の声を共有することで、就活市場における変化に対応することの重要性を社内でも理解してもらえたと思います。

 就活における課題に寄り添い、その解決につながる商品やサービスを提供し続けることで、就活時に「洋服の青山」をご利用いただいた方が社会人になった後も、ビジネスウェアをお買い求めになる際に想起していただけるようになると考えています。

 当プロジェクトは、単に「就活における服装自由を広める」ものではなく、採用時の企業カルチャーの可視化によるアンマッチを防ぐとともに、洋服の青山の未来に対する投資だと信じています。

──顧客視点で長期的な成長を描いているのですね。社会課題を発見し、その解決に寄り添っていくためのコツはありますか?

 現在世の中が抱える大きな課題の一つとして、若い世代とミドル世代の間にある意識の差が大きいことで、認識のズレが生まれてしまいやすいことが挙げられます。

 しかし、このズレはお互いにわかる言葉で共有されていないことが要因だと私は考えており、逆にこの認識の共有を世代間できちんと行うことができれば、意識の差を減らすことができると思います。

 だからこそ我々は、「若者は、たぶんこう思っているだろう」と想像で決めつけるのではなく、実際にアンケートや市場調査を行い、対象者が考えている内容や印象を正確に理解することを大切にしています。

 そして、そのリアルな声から見えてくる課題に対して、自社のアセットやリソースでできることを考え、実行することで、結果的に世の中で必要とされる商品やサービスを提供し続ける会社という認知がされるようになると思います。

採用時の服装指定とその理由が開示されることが当たり前の世の中を作る

──同プロジェクトと青山商事としての事業推進について、今後の展望を教えてください。

 「#きがえよう就活」プロジェクトについては、就活生が服装に悩む時間を自分の未来を考える時間に変えることができる世界を目指しています。そのためにまずは「企業の採用時の服装指定とその理由の開示は当たり前のこと」という社会を作っていきたいと思っています。

 青山商事としては、就活生のリクルートウェアの悩みに寄り添い、解決していくことで、その先のビジネスパーソンになってからも必要とされる企業であり続けたいと思っています。

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この記事の著者

土屋 典正(編集部)(ツチヤ ノリマサ)

法政大学法学部を卒業。新卒で人材派遣の会社にて営業職を経験し、翔泳社に入社。MarkeZine編集部に所属。

 

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/09/05 13:17 https://markezine.jp/article/detail/42799

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