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Z世代×企業で語り合うサステナビリティと次世代のコミュニケーション

Z世代の心を捉えられるブランド理念とは——サステナブル食ブランド・ZENBと大学生たちの鼎談【前編】


 ブランドの長期的な成長戦略を講じるには、将来を担うZ世代の視点や世界観を捉える必要がある。本連載では、Z世代の若者と企業のリアルな声をつなげ、社会課題の解決を目指す団体「COLLECTIVE CONNECT」をホストに、ブランド担当者とZ世代が直接語り合う場を設け、その模様をレポートする。第一回となる本稿では、2019年にミツカングループが立ち上げた食の通販事業「ZENB(ゼンブ)」に立ち上げから携わる長岡氏と3人の大学生が、食に関連するビジネスの課題感や持続可能性について議論。課題解決を実践するZENBではどう考え、高い問題意識を持つ人が多いといわれるZ世代はどのような印象を持つのか。

ミツカングループが展開する新たな食の事業「ZENB」の理念

——今回の鼎談で司会を担当するCOLLECTIVE CONNECTひろもりです。COLLECTIVE CONNECTとは、組織の垣根を超えてZ世代の若者と企業のリアルな声をつなげて社会課題の解決を目指す団体です。

 今回は環境問題や食の問題に関心がある学生さんや農業を学んでいる学生さんと共に、2019年にスタートした食のブランド「ZENB(ゼンブ)」の事業を担当している長岡さんとの鼎談を進めていきます。どうぞよろしくお願いいたします。

インタビュイー
株式会社ZENB JAPAN マネージャー 長岡雅彦さん(左上)
金沢大学 学生チーム わこころ 凰 えこさん(右上)
SMUA -Sexual Minority University Alliance- 瀧 康司さん(左下)
上智大学 環境保護サークル Green Sophia 帆井 彩夏さん(右下)

長岡:立ち上げ時からZENBのマーケティングやブランド戦略を担当し、現在は商品企画にも携わっている長岡です。本日はよろしくお願いいたします。

瀧:福島大学の食農学部で農業について学んでいる瀧です。

帆井:上智大学の環境保護サークル「グリーンソフィア」に所属している帆井です。よろしくお願いいたします。

凰:金沢大学 国際学類3年の凰です。金沢大学の学生チーム「わこころ」として、私たちの身体にも地球環境にもやさしい社会を実現するための機会創出につながる活動を進めています。

——ありがとうございます。では最初にZENBがどのようなブランドなのか、長岡さんからご説明をお願いいたします。

長岡:ZENBは食品の通信販売事業を行っており、ZENB JAPANという会社が運営しています。ZENB JAPANはミツカングループの企業で、元々はミツカン社内の新規事業として立ち上がりました。そのきっかけとなったのが、2018年にミツカンが発表した「未来ビジョン宣言」です。

 このビジョンは、10年後・20年後の未来の社会でミツカンが果たすべきミッションについて、2つの方向性を示したものです。一つが「おいしさと健康の一致」で、もう一つが「人と社会と地球の健康」です。このビジョンの基、植物を可能な限りまるごと使うことで、素材が持つ本来のおいしさや栄養を活かし、自分たちの健康だけでなく地球のサスティナビリティも考えた新しい食生活を提案することを目指して開発されたのがZENBです。

 ZENBは、原料となる豆や野菜を皮や普段は食べずに捨てている芯、種、ワタなどまるごと使って開発したスープ、ペースト、カレー、スティックなどを提供しています。動物性原料や砂糖は使用せず、素材の力をまるごと生かすことで濃厚なおいしさやたっぷりの栄養を活かすことにこだわっています。さらに、美容やダイエットのために麺やご飯を控えている方々に向けた新しい主食を提案しています。そのメインとなる商品がうす皮までまるごと黄えんどう豆100%でできた「ZENB ヌードル」です。

ゼンブヌードル
ZENBの公式Webサイトより

 そもそもミツカンは、廃棄される酒粕から作った酢「三ツ判山吹」からスタートした会社なんです。1804年に創業して以来、「今まで捨てていた部分を活用し新しい価値を生み出す」という事業がDNAに組み込まれており、それがこの新ブランド立ち上げを推進しました。このブランド理念に共感していただける方と共に、新しい食生活全体を提案していきたいということで、オンラインで生活者に直接販売するいわゆるD2C事業を展開しています。

サステナブル新事業でミツカンのイメージは変わったか?

——大変素晴らしいストーリーで、企業ミッションと事業の整合性が取れていると感じました。学生の皆さんは今のお話を聞いてどのように感じましたか? ミツカンというブランドに対する印象に変化はありましたか?

凰:私が所属する「わこころ」ではフードロスの解消に向け、廃棄野菜でスープを作り、販売しています。そのため、共感することが多くありました。

 「食」は最も身近ながら、日々の生活の中でないがしろにされることが多いと思います。ですが、今この瞬間の一つひとつの選択が将来の未来や自分たちの体につながることを考えると、とても大切な存在です。その選択肢の一つとして、ZENBさんが新しい食体験を提案しているということは非常に魅力的ですし、もっと広まってほしいです。そしてミツカンという会社が、主力である調味料に関しても「捨てていた部分を活用し、新しい価値を生み出す」という姿勢で開発されていたことを知り、驚きました。

帆井:ミツカンといえば「味ぽん」というイメージだったので、今回のお話で印象は変わりました。特に共感したのが「素材そのものの力を生かしていく」という姿勢です。

 今の世の中は色々と便利になっていて、調味料も食を便利にするアイテムだと思っています。便利さが重要な価値の一つである中、あえて素材の力をそのまま生かすという食の体験は人間としての原点に戻れるような感覚として、新しい価値観の提言につながっていると感じました。

瀧:農学部の学生として、普段捨ててしまう種や皮なども活用するという考え方はとても新鮮に感じました。農業現場では、消費者に届く前に廃棄する部分が非常に多く、その活用がいまだできていないことが課題になっています。農家だけでは解決できない分野にもなるので、その視点を持っておくことの重要性を感じました。

 もう一つは、動物性原料を使っていないことや、ダイエット・美容分野にもアプローチしていることが特徴的だと思います。ビーガン食やダイエットを取り入れるには「我慢」や「制限」が付きもの、というイメージですが、ZENBはその選択肢を広げてくださるブランドのようで、とても素晴らしいと感じました。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/08/28 17:58 https://markezine.jp/article/detail/42872

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