ヘビー会員は日常的な支払いにカードを利用
MZ:アナリストの尾崎さんから、実際の分析工程と得られた示唆をお話しください。
尾崎(三井住友カード):当社がプロパ―カードの会員分析で使っている手法を用い、利用金額と利用業種を掛け合わせてライト・ミドル・ヘビーの分類を行いました。
尾崎(三井住友カード):その結果、ヘビーは固定費など日常的な支払いに京王パスポートVISAカードを利用していることがわかったのです。「●●ペイ」などのネット決済サービスやECサイトの利用が活発なことから、ITリテラシーが高いという特徴も判明しました。
ヘビーの特徴がわかったところで注力すべき層を分析した結果、ファミリー層と独身層がヘビーのポテンシャルを備えていることがわかりました。たとえば子供を育てる40代の母親の場合。学習塾やテーマパークにおけるカード利用額が高い一方、カフェでの決済データからは自身がくつろぐための消費が見て取れます。家族と自身に投資をしながらも、家計を管理するため固定費の支払い方法を一本化する傾向が明らかになりました。
独身層は男女で利用動向に大きな違いが見られました。独身男性では、車やダイレクト型保険の決済に京王パスポートVISAカードを利用する人が多かったです。自分に合ったプランを選択し、決済手段をまとめて賢く家計を運用する動きが見て取れました。独身女性では、美容や旅行などの趣味に投資する傾向が強かったです。一方、コンビニで食品を購入する人も多く、家計をやりくりしながら趣味を楽しむ側面が浮き彫りになりました。
LTVのジャーニーマップで打ち手が明確に
今泉(京王パスポートクラブ):京王パスポートVISAカードはグループ内のお店で使う方に大きなメリットのあるカードですから、販促施策ではグループ内利用がもたらすメリットを強く打ち出していました。しかしながら今回の分析で、ヘビーの方々が固定費や教育費の支払いなど、グループ外で京王パスポートVISAカードを積極的に利用してくださっていることがわかったのです。これには驚きました。グループ内に教育関連の事業を展開する企業はないため、Custella Analyticsで分析していただいたからこそ得られた示唆だと思います。
また、定義が曖昧だった次世代会員の方向性をファミリー層・独身層と明確に示していただけたことも大きかったです。各担当者の肌感覚ではなく、チームの共有知として有望層を把握する良い機会になりました。
松井(京王パスポートクラブ):CRMの担当者としては、分析の切り口を三井住友カード様から学ばせていただきました。Custella Analyticsで用いられている会員の分類方法は、具体的な動向が見えるため、現実的なターゲットの絞り込みや狙いの明確化などの際に大変参考になります。当社の既存サービスを活かした販促提案も盛り込んでいただき、手近なところから着手できるため非常に助かっています。
生田目(京王パスポートクラブ):当社はこれまで、京王ポイントサービスの対象店を京王グループもしくはグループ施設内店舗のみに限定していましたが、昨年からグループ外の店舗にも対象店となっていただけるよう制度を変更しました。グループ外における京王パスポートVISAカードの使われ方を知ることで、当社からアプローチをかけるべき業種やエリアが導き出せるのではないかと考えたわけです。
生田目(京王パスポートクラブ):加盟店開拓の観点で言うと、LTVのジャー二―マップを示していただけたことは大きかったです。ライトからミドル、ミドルからヘビーへの育成モデルがわかる上、屋号単位で利用動向が把握できたため、より根拠のある営業戦略を考えられるようになったと思います。
また、京王パスポートVISAカードの利用状況を可視化した市区町村別のヒートマップも提供いただきました。場所によってヘビー層の割合が異なることがわかり、優先して開拓すべきエリアのヒントを得られたため、非常に有益でした。