データが関係者全員の共通言語になる
MZ:DMPの構築支援および消費データの収集において三井住友カードのサポートを得た結果、東北観光推進機構ではどのようなメリットや成果が得られたのでしょうか。
紺野(東北観光推進機構):「プロモーションの注力度と消費金額は比例するわけではない」「月によって消費のされ方が大きく違う」など、現時点で様々な発見がありました。コロナ禍の前後で観光消費のトレンドは変わりつつあるため、経年比較の結果を今後の戦略立案に活かせるはずです。
紺野(東北観光推進機構):観光業に長く携わる私が思うに、観光振興は担当者の経験や勘が先立ってしまいがちです。三井住友カード様のサポートにより、得られた示唆を戦略につなげるスタートラインに立てたと言えます。DMPのような仕組みをつくったとしても、データを戦略に落とすところまで至らなければ、真の意味でのデータ活用にはなりません。
これまでは宿泊施設や交通機関が中心となって観光を盛り上げてきましたが、デジタルの進化などにより、今では誰もが観光振興に携わることのできる時代となりました。そのような環境において、閲覧可能な共通データが関係者の手元にあれば、より効率的かつ効果的に誘客施策を実行できるのではないでしょうか。
データを入力するだけでは何もわからない
紺野(東北観光推進機構):最近は「アドベンチャーツーリズム(※)」など、十数年前にはなかった新しい概念が次々と誕生しています。新しい取り組みにチャレンジする際、確かなデータがあれば周囲の協力を得るための説得力を示すことができるでしょう。今後も三井住友カード様に協力していただきながら、当機構の会員や観光に携わる方たちとデータを共有していきたいです。
※アクティビティ、自然、文化体験の三要素のうち、二つ以上で構成される旅行のこと(出典:日本アドベンチャーツーリズム協議会)
MZ:紺野さんのお話を踏まえ、三井住友カードとしてチャレンジしたいことをお話しください。
白石(三井住友カード):DMPの登場から何年も経ちますが「データを入力すれば何かがわかる」という過度な期待がいまだに多く見受けられます。当然、データを入れるだけでは何も得ることができません。東北観光推進機構様は「東北を元気にする」という確固たる目的意識を最上位に掲げ、その目的の下で仮説を立てながら、あらゆるデータを様々な角度から見ようとされています。
白石(三井住友カード):今後も東北観光推進機構様のお役に立てるよう、データ活用のサポートを続けたいです。東北の観光振興が豊かな消費につながり、結果的に我々の本業であるカード事業においても加盟店様と会員様への価値提供につながっていくと考えます。
安藤:(三井住友カード):関係者の皆様がやりたいことや見たいことを実現するためには、DMPに当社のデータを入力して終わりではなく、DMPやデータのブラッシュアップが肝要です。すでに最新データの提供準備を進めています。今後もデータ活用に関する知見を積極的に共有させていただくことで、東北観光推進機構様とともに東北の観光を盛り上げていきたいです。