SDGsアクションハードル解決の糸口を探る
ここまでアクションハードルをいくつか見てきた。これらを解決するには、「共感」から発見するアクションブースターが重要になってくる。アクションブースター要素とは、Have toになりがちなSDGsアクションを、Want toへ変換する重要因子だ。
たとえば、「健康」文脈では以下のような声が見られた。
市販のぬか漬けなら、手軽に作れるだけでなく野菜の切れ端とかフードロスにも良い。そして身体にいい
毎日のお味噌汁に、ブロッコリーの芯や大根の皮などを入れれば、野菜も取れて一石二鳥
普段捨てていたものを、手間をかけずに栄養源に転換させることで食品廃棄物削減だけでなく健康に近づけるという声が意外にも多く見られていた。そして「廃棄物の量の可視化」もアクションモチベーションを高める要素のようだ。
コンポストを始めると、生ゴミの多さに気づく
冷蔵庫を整理したら、賞味期限切れの納豆、ちくわ、ハムを発掘.
自分の現状を理解することで、食品廃棄しない意識づけや工夫へのモチベーションを高められそうだ。つまり生活者へ廃棄物の量を可視化するサービスなど提供することで、廃棄削減につながる可能性がある。
他にも「ライフハック」文脈で、楽して廃棄物を減らす暮らしに取り組む声も見られた。
カットした野菜を一気に冷凍したりすると、日持ちするしお弁当作るのも楽になる
きれいに食べるのが、洗い物が楽になる一番の方法
これらの声を見ると、時短や手軽さを両立させられれば、生活者はSDGsアクションを進んで取り組んでいきそうだ。これらのアクションブースターを活用していくことは企業がSDGsを進めるにあたっても重要な要素となることがわかる。
SDGsアクションはhave toからwant toへ
認知症の人がホールスタッフを務める、注文をまちがえる料理店などを手がけた小口士郎さんも、著書『笑える革命』の中で、イソップ寓話「北風と太陽」を引用しながら以下ように述べている。
「北風」よりも「太陽」のようなアプローチの方が、なんだかすごいことが次々と起きていくぞということでした。「太陽」のアプローチでは、たくさんの人に情報が伝わるだけではなく、そのテーマに興味を持っていなかった人たちまでもがどんどん集まってきて、ある瞬間から突然大きなうねりが世の中に生まれたりします
世の中にSDGsを浸透させ大きな動きを生み出すためには、正論をそのままぶつける「北風」的なアプローチでは世の中を動かしにくくなる。だからこそWant toに変換する因子を見つけていくことが重要だ。
ソーシャルリスニングは、共感するポジティブボイスだけでなく、ネガティブな悩み・不満を抱えるN=1をたくさん発掘することできる大変有効な手段である。皆さんもSNSを見る際にはこのような視点で、様々な声に着目しWant to転換因子を発掘してみてほしい。