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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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【特集】社会価値創造と事業成長を考える

事業成長と社会的価値の創出は、両輪。パナソニック コネクトが取り組むカルチャー改革の現在地

DE&I推進は、マーケティング活動そのもの

 ――山口さんはDEI推進担当も務めていらっしゃいます。こちらについてもうかがえますか。

 こちらも、全社的な取り組みにすることを大切にしています。特に当社らしいプログラムとして、各事業部にDE&I推進のリーダーを置く「CHAMPS活動」があります。リーダーをCHAMPと呼び、多い部では30人ほどのCHAMPがチームに合った施策を自主的に走らせながら横の情報共有もしています。これはCEO直下の活動で、私と西川岳志CFOが管掌し、CHRO とDEI 推進室と連携して取り組んでいます。

 また、私と西川で地方を含めた現場をキャラバンしているのもユニークだと思います。現場の声を直接聞き、その事業部門の役員とも話をして、課題の解決を図っています。

 ――まるで、マーケティング活動ですね。

 そのとおりです。DE&I 推進は、コミュニケーションを通して理解してもらい、刺激と共感を生み出して最終的には行動変容を促すことです。まさにマーケティングですよね。行動変容を起こすには、どのボタンを押すのがいちばんいいか、模索しています。こちらも、女性基幹職の増加や男性育休の取得率96%など、数字で成果が見えています。

 一方で、やればやるほど不足も見えてきます。昨年は、ミドルマネジメント層のDE&I理解を底上げするため、4.5時間のマネージャー研修を内製して約1,500人が受講しました。部下とのやり取りを具体的に想定したりして、言うべきではないことや、モチベーションを下げずに本人に寄り添える対応を学んでもらっています。

マーケティング思考が従業員のサクセスにつながる

 ――マーケターとしては、事業成長とカルチャー改革の両立をどうお考えですか?

 現代の経営者には、経済的価値の創出と、社会にとって意味があるという社会的価値の創出の両方が求められていると思います。これらは両輪で、短期的な経済的価値だけでなく「中長期的に意味がある企業になるためにはどんなポートフォリオを組むべきか」の追求も必要です。先述した3段階の企業トランスフォーメーションのいちばん上、事業立地改革にあたります。最も痛みを伴う改革ですが、実行しなければ価値ある存在になれず、パーパスも実現できません。

 そしてパーパス実現のためには、マーケティング的な思考が大いに生かせると実感しています。これは今後、すべてのビジネスパーソンが持つべき思考だと思いますね。たとえばカルチャー改革は相手がお客様ではなく従業員ですが、不健全なカルチャーの中で困っている人に気づき、共感し、解決へのアクションをとるのは同じです。

 当社では従業員を「コネクター」と呼び、カスタマーサクセスになぞらえて「コネクターズサクセス」を支援しています。人事やITも、皆が生き生きと働き、最大限に成果を上げられるようサポートする存在です。ここにもマーケティング的な思考が必要なので、我々マーケ部門と常に連携しています。

 マーケティングはコネクテッド・ハブにならないと機能しません。つまり、すべての部門がつながりやすいように動けているか、つながりたいと思われるバリューを発揮できるかが問われます。その点で、マーケティングのメソッドの価値が高まっていますし、マーケターのコミュニケーション力や共感力がますます重要になると思います。

 ――最後に、今後の展望と、マーケターへのメッセージをお聞かせください。

 当社としては、自分たちが未来へつながる事業体を目指すと同時に、経済成長が30年停滞していると言われる日本で「大企業病からの脱却」の先行例を作りたい考えもあります。引き続き、愚直に改革を進めていきます。

 マーケターの方々に対しては、マーケティングの思考やナレッジが本当に生かせる時代になるので、お客様や社内に信頼されるハブになれるように常に能力や知見をアップデートすることが重要だと思いますね。私も同じくです。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/08/17 09:30 https://markezine.jp/article/detail/43012

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