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『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
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【特集】社会価値創造と事業成長を考える

環境と生活者双方の利益を追求する「い・ろ・は・す」のブランド戦略

 2009年の発売から一貫して環境保護と向き合い続けてきた日本コカ・コーラのナチュラルミネラルウォーターブランド「い・ろ・は・す」。昨今SDGsや社会課題を起点としたビジネス・マーケティング活動が増えているが、長きにわたり環境問題と向き合い、生活者からも「エコなブランド」の認知を獲得してきた「い・ろ・は・す」は、どのような戦略を描いてきたのか。同ブランドを担当する小林令奈氏に話を聞いた。

※本記事は、2023年8月25日刊行の『MarkeZine』(雑誌)92号に掲載したものです。

サスティナビリティーに対応すべくブランドを刷新

──「い・ろ・は・す」は、14年前にしぼれるペットボトルが話題となり、世の中のエコに対する常識を変えたブランドの一つだと思います。元々どのような経緯でブランドの立ち上げに至ったのでしょうか。

 「い・ろ・は・す」が発売された2009年当時から地球温暖化は社会問題の一つとして取り上げられており、社会全体で環境問題にアプローチする動きが加速していました。あわせて、環境に配慮した商品に対するニーズが高まっていたことから、「い・ろ・は・す」を発売し、当時まだ堅苦しいイメージのあった「エコ」に対して、しぼれるボトルを用いた簡単に楽しく参加できるエコアクションを提案してきました。

日本コカ・コーラ株式会社 マーケティング本部 ウォーター事業部 ブランドマネジャー小林令奈(こばやし・れな)氏 上智大学を卒業後、マッキャンエリクソン、ユニリーバ・ジャパンを経て、2021年に日本コカ・コーラ入社。2021年7月より現職。

日本コカ・コーラ株式会社 マーケティング本部 ウォーター事業部
ブランドマネジャー 小林令奈(こばやし・れな)氏

上智大学を卒業後、マッキャンエリクソン、ユニリーバ・ジャパンを経て、2021年に日本コカ・コーラ入社。2021年7月より現職。

──「い・ろ・は・す」は2023年5月に14年ぶりとなるブランドテーマのリニューアルを行い、新たなブランドテーマ「ごくごく自然に未来を変える水」を掲げました。その背景を教えてください。

 昨今、環境配慮やエコに対する概念が変化しています。特にSDGsの登場によりサスティナビリティー(持続可能性)という言葉に対する注目が集まるようになりました。ただ環境に配慮するのではなく、それを継続して良い未来を作っていくことが求められています。

 「い・ろ・は・す」も環境に配慮してきたブランドとして、今後サスティナブルな環境配慮にどう貢献できるかを考えました。そして、調査をしてみると「無理なく、簡単に、自然体に」取り組めることが持続するためには必要であるとわかったのです。この調査結果を踏まえ、「い・ろ・は・す」を飲むだけで自然と環境に配慮でき、未来を変えていけるという思いを「ごくごく自然に未来を変える水」というテーマに込めました。

環境と生活者双方に価値を届ける

──リニューアルをする上で、どのようなことを意識していましたか。

 最初は「い・ろ・は・す」誕生のルーツに立ち戻りました。発売当初から「い・ろ・は・す」は環境と生活者両方への価値を兼ね備えたブランドであることを大切にしており、双方に価値を提供することを重視してきました。

 ブランドテーマのリニューアルに先駆け、2022年12月に行ったボトルの刷新においては、新たに「心地良さ」の要素を加え、両者にとって「心地良さ」のあるボトルデザインに刷新しています。

 具体的には、新規石油由来のペットボトルと比べ1本当たり約60%のCO2排出削減につながる(※)100%リサイクルペットボトルを使用したまま、リニューアル前よりたたんだ後のボトル容積を2割削減し、リサイクル工程の効率化に貢献しながら、以前よりもボトルの形状をなだらかに設計し、よりおいしく心地良く飲んでいただけるようにしました。

原料採掘からプリフォーム(PETボトルの原型となる中間製品)製造の工程における削減率。新規石油由来のPET素材から100%リサイクルPET素材に切り替えた場合。日本コカ・コーラ調べ。

 サスティナブルな商品・ビジネスの多くは、環境や社会問題の解決にフォーカスが当たっていますが、そもそも人が価値を感じる必要があります。そのため、飲料体験として心地良くてサスティナブルなブランドであることを大切にしています。

新ボトルのデザイン
新ボトルのデザイン
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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/04/25 09:23 https://markezine.jp/article/detail/43082

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