2009年からインフルエンサーマーケに従事する平賀大地氏
MarkeZine編集部(以下MZ):今日はCARTA MARKETING FIRMの平賀さんに、最新のインフルエンサーマーケティングのトレンドについて伺います。平賀さんは2009年頃から、インフルエンサーマーケティングに従事されているのですよね。
平賀:はい、私がインフルエンサーマーケティングに携わるようになった2009年当時は、ブログが全盛期の時代でした。そこからTwitterやInstagram、YouTube、TikTokと時代の変遷とともに媒体とインフルエンサーの数が増え、マーケティングにおけるウェイトも変わっていきました。
MZ:では、さっそく今のインフルエンサーマーケティングのトレンドを教えていただけますか?
平賀:まずは前提として、インフルエンサーの区分けでよく使われる、メガ/マイクロ/ナノのグラデーションがよりはっきりしてきた印象があります。
今のマーケティング的なトレンドは、「メガもマイクロもナノも全部使ってインフルエンサーマーケティングをやりましょう」という考え方が基本になっています。もちろん、3つとも使うとなると予算がその分高くなるわけですが、このトレンドの背景には「メガインフルエンサーを起用すれば売上が上がる」という少し前の常識が変わってきているという現状があります。中でも、注目度が高いのはナノインフルエンサーを起用する施策です。
MZ:ナノインフルエンサーへの関心が高いのはなぜですか?
平賀:ナノインフルエンサーがここまで注目されているのは、純粋に購買への影響力があるからです。マス的なリーチをメガインフルエンサーに、専門家としての理解促進をマイクロインフルエンサーに担ってもらうとして、ナノインフルエンサーにはいわゆる一般人として信頼性のある情報を発信してもらう役割が大きくあります。何かしらの購買を行う時、みなさんInstagramやTikTokで「#ハッシュタグ」から情報を集める「タグる」という行動をしますよね。商品を認知・理解し、最終的に購買を決める時、一般人による信頼できる情報がソーシャル上にある状態をいかに作っておけるかが非常に重要になってきているのです。
メガインフルエンサーとマイクロインフルエンサーを起用してキャンペーンを行っていても、ナノインフルエンサーが欠けていると売上に繋がらない……という状況になっています。
インフルエンサーマーケティングは限界まで内製すべし
MZ:ナノインフルエンサーと施策を行うとなると、起用する人の人数がそれなりに求められてきますよね。企業においては、施策にかかる手間や工数が増えそうです。
平賀:私は支援側にいますが、事業主様のためを思って申し上げますと、ナノインフルエンサーを起用する施策は内製化するほうが良いと考えています。言い換えると、代理店を介さず、自社で直接インフルエンサーと繋がり作っていくのが、事業主様にとってはコストパフォーマンスが良いのです。
たとえば、アパレルメーカーはインフルエンサーマーケティングの内製化を実現されている好例です。アパレルメーカーはイベント施策として展示会を開催しますが、そこにはプレス担当者から招待をされたインフルエンサーたちが来場します。プレスの方々は、インフルエンサーと直接繋がっているわけです。
このように、インフルエンサーとの繋がりを内製化して、インフルエンサーからインフルエンサーへ10人、20人、50人と繋がりを増やしていくのは、そんなに難しいことではありません。プレスの方が100人くらいのインフルエンサーと直で繋がっている、なんて話も珍しくないんですよ。
MZ:なるほど、断続的ではなく継続的にインフルエンサーと関係性を作っていく姿勢が必要なんですね。
平賀:そうです、意外とここの重要性に気づいていない企業様が多いように思います。ただ、このアプローチにはやはり限界もあり、マイクロインフルエンサーまでは繋がりを形成できても、事務所に入っているようなメガインフルエンサーとはなかなか繋がることができません。
また、アパレルやコスメ、飲料など物理的にプロダクトがある企業様だとインフルエンサーマーケティングをある程度内製化しやすいのですが、たとえばアプリなどモノがない企業様の場合は内製化しづらい傾向もあります。そういった時には、我々のような外部パートナーをぜひ頼っていただければと思いますが、基本的にはできるところまで自社で内製化することをおすすめします。