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『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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ピックアップ!業界最新動向

資生堂、ユーグレナを経て新天地へ 工藤さんに聞いたキャリアのこと、マネジメントのこと

 注目を集めたニュースのTOP15を毎月ランキング形式で紹介する、雑誌『MarkeZine』の連載「業界最新動向」。本企画ではランキング上位からニュースを1本ピックアップし、深掘り取材を行います。今回は「スープストックトーキョー、取締役に工藤萌氏の就任を発表 ブランディングの部門長も兼任」をピックアップ。工藤氏にキャリアやマネジメントの話をうかがいます。

転職のきっかけはあの一件

──既に知っている読者も多いとは思いますが、改めて工藤さんのご経歴をうかがえますか?

 新卒で資生堂に入社し、3年ほど地方で営業を経験しました。「ジョブチャレンジ」という社内制度を利用して試験を受け、本社のマーケティング部門へ異動して以来マーケティングキャリアが続いています。

スープストックトーキョー 取締役/価値づくりユニット ユニット長 工藤萌氏
スープストックトーキョー 取締役/価値づくりユニット ユニット長 工藤萌氏

 資生堂で最も長く担当したブランドは、中価格帯メーキャップブランドの「マキアージュ」です。約9年の間に商品企画からプロモーションまで、マーケティング部門の仕事をひととおり経験しました。その後は若年層向けブランド「マジョリカマジョルカ」のブランドマネージャーや、サンケアブランド「アネッサ」のグローバルブランドマネージャーを務めてから産育休を取得した流れです。

 10ヵ月間の産育休中に自身のキャリアを見つめ直した結果、2019年8月にバイオテクノロジー企業のユーグレナへ転職しました。同社でマーケティング組織の立ち上げを担い、ヘルスケアのカンパニー長として経営にも携わった末、スープストックトーキョーへ入社し今に至ります。

──2023年8月1日付での取締役就任、改めておめでとうございます。スープストックトーキョーにジョインした理由を教えてください。

 元々2023年3月から顧問として関わっていたんです。副業だったためフルタイムではありませんでしたが、ブランドや働く人の魅力を感じていました。ただ、ユーグレナでの仕事にもやりがいは当然ありましたから「すぐに転職しよう」とは思っていなかったです。きっかけは2023年4月にスープストックトーキョーが全店で開始した離乳食後期の無料提供に対する反響でした。

分娩室の天井を見ながら浮かんだ思い

 なぜあの一件で私の心が動いたのか。その理由を語るためには、資生堂時代まで時を戻す必要があります。資生堂に務めていた頃、私は「女性のエンパワメント」を自身のテーマに掲げていたんです。初めて経験したマーケティングという仕事に、人の認識や行動を変える力を感じました。その力を女性のエンパワメントに役立てたいと思ったのです。

 産育休中、そのテーマに変化がありました。高齢出産を経験して「自分に残された時間を何のために費やすべきか」と考えるようになったんです。分娩室で天井を見ながら、全人類が自分の子どものように感じられる強烈な母性が生まれて(笑)。かわいい子どもたちのため、社会をより良くすることにマーケティングの力を使いたいと考えるようになりました。資生堂での仕事にも大きな意義はありましたが「どうすれば社会が良くなるのか」という問いの答えを探すことにより多くの時間を費やしたいと思い、ユーグレナへの転職を決めた次第です。

 ユーグレナでの日々は非常に刺激的でした。社会課題の解決に向き合う中で、立ち上がった二つの問いがあります。「社会インパクトとは何か」そして「自分が取り組むべき社会課題とは何か」です。

 社会課題を解決する力と技術が自分や勤める企業に備わっているのであれば、世界の片隅で粛々と取り組むのではなく、できるだけ大きなインパクトで以て解決するべきだと感じました。ただ、インパクトを出すためのアプローチは広く面を取るだけじゃないと思うんです。世の中に物が溢れ、人々の生活がそれなりに豊かな現代において、シェアの取り合いをともなうインパクトの出し方に違和感を覚えました。世の中には狭くて深い課題が数多くありますから「それらを束ねて太くすることで生まれるインパクトもあるのではないか」と考えたわけです。

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/04/17 20:43 https://markezine.jp/article/detail/43713

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