デジタル×リアルで実現する「PARCOならではの価値」とは
MZ:PARCOメンバーズ開始以降、どういった変化がありましたか。
安藤:現在、会員だからこそ購入できる商品や参加できる企画などを、少しずつ始めているところです。届けたいのは、リアルだけでも、デジタルだけでも実現できないもの。お客様には、それらを通じてパルコならではの価値を感じていただきたいと思っています。
たとえば、店舗ではリアルイベントを行い、グッズ販売はONLINE PARCOで実施する試みもスタートしています。展示会のスペースや在庫管理などの課題をデジタルで解決でき、会場に来られない方向けにオンラインでの全国展開も可能になります。
さらにデジタルでのタッチポイントを作ることで、お客様により多くの情報に触れていただけます。それこそが、時間と空間を超える「デジタルならではの価値」だと思いますね。そこに「リアルならではの価値」を掛け合わせることで、より理想的なサービスの在り方に近づくと考えています。

“共創型サイト”として生まれ変わった「ONLINE PARCO」
MZ:2023年3月にグランドオープンしたECサイトのONLINE PARCOについて伺います。まず、リニューアルの意図をお聞かせください。
上岡:今から10年ほど前に、前身となるサービス「カエルパルコ」がスタートしました。当時のサービス内容は、テナントがショップブログで上げた店頭商品をネットで注文したり、取り置きができたりというものでした。接客の進化型サービスとして、オンラインで場所や時間を問わず対応することが目的だったんです。
2018年に名称を「PARCO ONLINE STORE」に変更し、アプリのショッピング機能として生まれ変わると同時に、オウンドメディアもスタートしました。ところが、コロナ禍に突入。全館休業もやむなしといった状況の中、ECの躍進によってオンラインサービスの役割が変わりました。
それがターニングポイントとなり、以降はリアル店舗への集客がゴールではなく、オン/オフ問わずファンを増やすことを目標に掲げました。今回のリニューアルで名称からSTOREを外したのも、「渋谷PARCO」など、リアル店舗と同等の扱いにする意図があってのことでした。「ECでもワクワクを感じてもらえるようなものを」が、単なるECサイトから脱却し“共創型サイト”として再スタートを切ったONLINE PARCOのテーマです。
MZ:具体的なリニューアル内容をお教えください。
上岡:基本的に、顧客資産やファン作りを目指すのはPARCOメンバーズと同じです。リニューアルにあたり大きなポイントとなったのが、次の3点でした。
1つ目が、リアル店舗の販売支援です。「電子チケット機能」「抽選販売機能」「来場者限定販売機能」などを追加しました。2つ目はスムーズな購買体験として、決済手段にポケパル払いが可能に。これにより、PARCOポイントの付与・利用ができるようになりました。3つ目は、あらゆるコンテンツを国内外に届けること。海外向け代理購入サービス「Buyee(バイイー)」の導入や、多言語翻訳対応をスタートしました。