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先進的なCRMを実践する事例大全

CRM推進を支えるインナーマーケティング 日本KFC「EコマースCRM部」に聞く現場との歩み方

 2023年4月、新たに「EコマースCRM部」を設立した、日本ケンタッキー・フライド・チキン。同部署では顧客との良い関係を築くためにアプリを起点としたCRM施策を推進し、オンライン/オフラインを問わないコミュニケーションの最適化を図っているという。設立の目的と、CRM施策を進める中で見えてきたことを部長代行の平田雄己氏に聞いた。

サービス面のデータ活用を一任する「EコマースCRM部」

──はじめに現在取り組まれている業務を教えてください。

 事業会社でECの仕組みづくりやアプリ開発などに携わった後、2022年の5月に日本ケンタッキー・フライド・チキン(以下、日本KFC)に入社しました。現在はデジタルの各タッチポイントを通じて得られるデータを活用し、日本KFCの自社アプリやオンラインオーダーなどのお客さまとのコミュニケーションの仕組みづくり、システムの運用改善などを行っています。

日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社 EコマースCRM部 部長代行 平田 雄己氏

──「EコマースCRM部」新設の背景について教えてください。

 2022年ごろから、ECやオンラインサービスなどのデータを活用したCRM施策の強化が非常に重要だという意識が全社的に強まりました。それまでも、マーケティング本部の中にそれらを管轄するためのチームは存在しましたが、正式な部署として、「EコマースCRM部」が2023年4月に誕生しました。

 主には、当社のデジタルサービスやアプリの運用全般、そこで得られたデータを活用したCRM施策を管轄しています。データは企業にとって、お客さまとのつながりを可能にするための重要な資産です。そのデータを上手に活用するCRMという考え方の重要性を社内の多くの人にもわかっていただいたからこそ、部として立ち上がりました。

“ちょうど良い”対話を目指してオン/オフのデータを活用

──2023年現在、日本KFCではどのような関係性を目指していますか?

 20年以上前からメールマガジンの配信は行ってきました。しかし、それらのデータをすべて一ヵ所に集約して、お客さまの購買行動に合わせた最適な情報を発信するという取り組みはできておらず、2022年の夏から本格的に始めました。

 マーケティング全体としては、利用意向向上の肝となる「お得感」と「利便性」を強化すべくさまざまな商品プロモーション、バーガーの強化、アプリやデリバリーを通じたデジタル化を促進しています。日本KFCがお客さまの日常的なお食事の候補として想起していただけるように、一人ひとりのお客さまに合わせて、アプローチし過ぎることなく、またその内容も趣味趣向に合わせたコミュニケーションを取ることで、“ちょうど良い”対話を目指しています

──“ちょうど良い対話”をどのように導き出していますか?

 これぞといった定義を導き出すことは難しいため、時代の流れやお客さまのマインドが日々変化していく中でさまざまなテストを繰り返しています。テスト配信を通じて、好まれる時間帯、曜日、商品などを探り、最もお客さまに刺さる伝え方を紡ぎ出す作業をしています。ある程度セグメントされた層に対するリーチが現状ですが、将来的にはお客さま一人ひとりに合ったコミュニケーションを目指していきたいと思っています。

──EコマースCRM部がCRM施策を推進していく中で、具体的にはどのようなことを行っていますか?

 主にメールマガジンや、アプリなどをコミュニケーションチャネルとして活用し、データの収集とその分析を行っています。ただし、収集するのはオンラインのデータだけではありません。

 たとえば、お客さまの購入データ。アプリ上で利用いただけるオンラインオーダーで蓄積される購入データはもちろん、店頭での購入時も2018年に開始した独自のロイヤルティプログラム「KFCマイレージプログラム」を通じてアプリ経由でオフラインの購入データが収集できるようになっています。

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この記事の著者

佐々木 もも(ササキ モモ)

 早稲田大学卒業後、全国紙で約8年記者を経験。地方支局で警察や行政を取材し、経済部では観光や流通業界などを担当した。現在は企業のオウンドメディアの記事企画や広報に携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/12/25 09:00 https://markezine.jp/article/detail/44235

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