「アプリをお持ちですか?」の一言が支えるオフラインのデータ収集
──データ収集において重要と考えていることはありますか?
特にオフラインでは、お客さまにチキンマイルのQRコードをかざしてもらうという手間が発生してしまうため、行動の促進は決して簡単なことではありません。だからこそ、私たちは店頭で接客を行う現場従業員からの「アプリをお持ちですか」の声掛けが大切だと感じています。従業員にそのたった一声の重要度の高さを理解してもらうこともEコマースCRM部にとっては重要なミッションだと考えています。
──アプリのダウンロードから初回の購入につなげるためにはどんなことを行っていますか?
アプリを初回ダウンロードいただいた方には、当社のチキンを試せるクーポンを配布しています。実際に召し上がっていただくことはチキンのおいしさを最もわかりやすく伝える方法です。一度食べてもらえればおいしさが伝わるため、まずはクーポンで試していただけるようにしました。
重視する「売上への貢献・実践主義・CXとEXの両立」
──CRMは、他の施策と比べて、成果が見えにくいなどと言われることが少なくないと思います。御社の部門では、どのような指標を設定していますか?
部として売上をいくら出せたのかを最重要指標として置いています。これを明確に示せない場合、CRMへの投資の継続が難しくなったり、部としての活動意義を問われたりしてしまいます。そのため、CVRの数値など複数の側面から分析をしながら、売上につながらなかった施策は取りやめ、効果が出たものにフォーカスして改善を行っています。
──日々、CRM施策を行っていくなかで意識していることはありますか。
分析は重要なことですが、施策を実施する前に過剰に調査や分析を行いすぎることなく、試しにやってみることも重要だと考えてみます。分析ばかりになってしまうと日々変わる市場のリアルを捉えることができなくなってしまうためです。時間をかけた調査や分析が机上の空論になってしまわないように、実践をしながらその結果を分析していくことが大事だと考えています。
また同時に、店舗のオペレーションをシンプルにして、働いている従業員たちが気持ちよくサービスを提供できるような環境をつくることも、デジタルサービスやCRMでできることだと考え、お客さまへの快適なサービス提供と両軸で動くことも重視しています。たとえば、セルフレジはお客さまにとっても便利ですが、会社側にとってもレジの要員をキッチンやお客さまサービスのポジションで活用できるようになったり、新たなサービスに活用できたりすることも意味しています。CX・EX向上の観点からもCRM部門の存在意義は高まっているでしょう。
