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効率化を言い訳に「顧客」を忘れていないか?アクセンチュアが分析する社会トレンド&裏にある生活者の本音


 2024年2月末、アクセンチュアより「Accenture Life Trends 2024」が発表された。グローバルで見られる社会トレンドを分析し、広く見られる共通点を抽出する形でまとめられている「Accenture Life Trends」には、企業が顧客との向き合い方を見つめ直す際に大いに役に立つ情報が詰まっている。2024年現在の生活者が心に秘めている本音を、「Accenture Life Trends」を通して探していこう。

コロナ、不況、戦争……人々の価値観が大きく揺らいだ時代

MarkeZine編集部:本日は、2024年2月末に発表された「Accenture Life Trends」を基に、昨今の社会トレンドを俯瞰で読み解きつつ、その状況下で日本企業が取るべきアクションについて考えていきたいと思います。まずは「Accenture Life Trends」の概要からご紹介いただけますか。

(左)アクセンチュア株式会社 デザインリーダーシップ エグゼクティブ Accenture Song 番所浩平氏(右)アクセンチュア株式会社 マネジング・ディレクター ビジネス コンサルティング本部 カスタマー&セールス プラクティス 日本統括 木原久明氏
(左)アクセンチュア株式会社 アクセンチュア ソング Design &Digital Products日本統括 マネジング・ディレクター 番所浩平氏
(右)アクセンチュア株式会社 アクセンチュア ソング 執行責任者 兼 コンサルティング部門 日本統括 マネジング・ディレクター 木原久明氏

番所:アクセンチュアは、毎年2本の大きなトレンドレポートを発行しています。1つはテクノロジーの視点から未来を予測する「テクノロジービジョン」、もう1つは人や社会を起点にして未来を予測する「Accenture Life Trends」です。

 今回ご紹介する「Accenture Life Trends」は、日本を含め世界中にいるアクセンチュア ソングのデザイナー、ストラテジスト、社会学や人類学、テクノロジーの専門家が集まり、世界各国・各エリアで見られる社会トレンドを集約・分析した上で、重要なトレンドを見出す形でまとめています。さらに、日本の皆様に向けて、グローバル版をベースに国内の状況も踏まえ、私たち日本メンバーで事例や日本企業への示唆を追加した日本ローカル版もご案内しています。

MarkeZine編集部:では、ここ数年の「Accenture Life Trends」の変遷について教えてください。

番所:コロナ禍前~コロナ禍中~コロナ禍後を経験した過去5年を振り返ると、本当に大きな変化があったことを改めて実感します。

 まずは、コロナ禍前の社会状況がまだ色濃く反映された2019~2020年。私たちはこの時期を「豊かさゆえの飽和から、本質を探究する時代」と定義していました。商品やサービスの良し悪しを判断する時、「自分にとって良いか?」だけでなく、「社会全体・地球環境全体にとって良いか?」を多くの人が意識し始めたのがこのタイミングです。以降の時期と比較すると、価値観や考え方の軸足が「自分<社会」に向いていたとも言えます。

 続いて世の中がコロナ禍に陥った2021~2022年は「パンデミックの混乱と喪失から、内省を深める時代」でした。コロナ禍のパンデミックでは、従来の常識がまったく通用しませんでしたよね。あらゆる場面で「新しい領域の地図づくり」が必要になる中で、この時期の人々は「組織・集団<自分」という価値観を強く持っていたと見ています。

 さらに時が流れ2023~2024年、コロナ禍はほぼ収束しましたが、インフレ・デフレの不況や戦争などの影響を受け、人々の生活観はさらに大きく変化しました。多くの人が「数年後にはまた何が起こっているかわからない」といった心境でいるのではないでしょうか。私たちはこの2年を「パーマクライシス*がもたらすストレスに対応する時代」と定義づけており、現在人々は「社会<自分」に軸足を置いた価値観を持っていると分析しています。

*パーマクライシス(Permacrisis): 長期的に不安定な状況にあること。コリンズ英語辞典による「2022年を表す語」に選出。

「Accenture Life Trends」の制作に長年携わっている番所浩平氏。アクセンチュアには2012年に入社。UX/UIデザインを専門とする日本ローカルのデザイン組織をを立ち上げる。2019年に世界最大級のデザインスタジオFjordの東京拠点を立ち上げ率いた後、Fjordのアクセンチュア ソングへの統合に伴い現職に就く。
「Accenture Life Trends」の制作に長年携わっている番所浩平氏。アクセンチュアには2012年に入社。UX/UIデザインを専門とするチームを立ち上げるなどデザイン領域に携わる。現在はアクセンチュア ソングにて、デジタル技術を使って生活者の観点から新たな製品やサービスをデザインするグループを率いる。

MarkeZine編集部:たしかに、消費者インサイトに関する取材でも、最近は「他人軸より自分軸」「自分らしさ」「自分が心地よいこと」などを重視する傾向が強いという話をよく聞きます。

木原:もう1つ、この5年程の変遷について特筆すべきは、やはり、テクノロジーの影響でしょう。テクノロジーはこれらの変遷に非常に大きな影響を与えています。

 たとえば、パンデミックの渦中、私たちは「隔離された場所にいる自分を、テクノロジーを用いて組織・集団に適合させること」を考えていました。ですが、現在は「必ずしも社会や会社に帰属するのではなく、手に入れたテクノロジーで自分個人としていかに価値を出すか」を考える人が多くなっています。これは言わば、社会の中でいかに人が貢献するかという関係を加速させるためのテクノロジーから、その従属性から自由になるためのテクノロジーへと変化してきたことを意味すると考えられます。

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塚本 建未(ツカモト タケミ)

ライター・編集者・イラストレーター。早稲田大学第二文学部を卒業後、社会人を経て再び早稲田大学スポーツ科学部へ進学。2度目の学部卒業後は2つの学部と高校デザイン科で学んだ分野を活かすためフィットネス指導者向け専門誌「月刊Fitness Journal」編集部に所属してキャリアを積み、2011年9月から同雑誌の後継誌「月刊JAPAN FITNESS」編集部の中心的な人物として特集・連載など数多くの誌面を担当した。現在はWebメディアに主な...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/07/02 15:32 https://markezine.jp/article/detail/44960

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