音声と映像を使って認知獲得が可能
これらのターゲットにアプローチするための手段として同社が提供しているのが、喫煙所内デジタルサイネージサービスの「BREAK」だ。タクシー広告「GROWTH」を運営するニューステクノロジーと協業して展開しており、2023年12月時点で、13の媒体とオフィシャルメディアパートナ―として連携し、ITやビジネス、趣味、ライフスタイルなど、男性ビジネスパーソン向けのコンテンツや広告メニューを多く配信している。
そんなBREAKでは、大手不動産企業と連携し首都圏のオフィスビルを中心に277施設に368面を展開。月間で約15,000社の企業、300万人超にアプローチが可能だ。現在も設置場所は拡大中で、2024年内には500面まで拡大する予定だという。
BREAKには大きく二つの強みがあると湯川氏は語る。一つ目が、音声と映像を活用して関心を認知獲得ができる点だ。同媒体では、デフォルトで音声が流れる仕様になっていることから耳からのアテンション獲得が期待できる。加えて、サイネージ自体も最大55インチと大型モニターを活用しているため、喫煙所利用者に対して音と映像を活用して効果的に訴求することが可能だ。
二つ目が、広告効果の計測が可能な点。同媒体では、空間全体を見渡すAIカメラを搭載しており、曜日・時間帯別に喫煙所の利用人数の計測ができる。その上、同カメラには、同一人物を重複してカウントしないようにするユニーク解析機能も搭載していることから有効な広告接触の正確な測定が可能だ。
サイネージ×リアル空間を活かした四つの施策
次に湯川氏は、同社が運営する店舗型公衆喫煙所「THE TOBACCO(ザ・タバコ)」を紹介した。同施設は都内中心に全63ヵ所で展開。1施設につき月平均で約3万人に利用されている。オフィスビルの喫煙所と違い、同社が独占保有しているため、自由度の高い施策を行えることが特長として挙げられる。
サイネージ広告を視聴後に、実際にその場で商品を体験し、購入するといった一連の流れを喫煙所内で完結させるリアル空間ならではの施策が実施可能で、現在四つの施策を行っているという。
一つ目が、タッチ&トライだ。同施策では、喫煙所内に体験用商品と告知カードを設置。サイネージで認知した商品をすぐに体験してもらうことができ、商品の体験後には告知カードを持って帰ってもらうことで購入を促す。
二つ目が、設置サンプリングだ。同施策では商品サンプルを喫煙所内に設置して利用者に配布する。特に消費財との相性が良く、1ヵ月で2万~3万個を配布するポテンシャルがあるという。
また、同施策の特筆すべき点として、施設の利用者が出勤時や昼休みに手に入れたサンプルがオフィスで共有される点を湯川氏は挙げた。これにより、喫煙所の利用者以外への波及効果も期待できる。
三つ目がセールスプロモーション。同施策では、同社が雇用した接客スタッフを施設に派遣し、店舗内でアンケート回収や商品体験販売などのプロモーションを実施する。これまでに電子たばこの体験販売やリード獲得アンケートなどを実施した。
同施策は、THE TOBACCOユーザーとの接点にもなっており、同社とユーザーの関係構築にも寄与していると湯川氏は語る。
「近年、喫煙所が減っていることもあり、利用者からスタッフに対して感謝や応援の言葉をかけていただける事例が多数見られます。こうしたことからもセールスに対しても協力的な方々が非常に多いというのも特長として挙げられます」(湯川氏)
四つ目が、ポスター掲出だ。店舗内の視認性が高い場所にA1サイズの大きなポスターを設置。LPや購入ページへの導線となる二次元コードや検索キーワードなどを掲載して行動促進や興味付けを行うとともに、サイネージの映像や音声で詳しく説明するといったことができる。