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【100号特集】24社に聞く、経営構想におけるマーケティング

1年で大きく進化し「生活者に近づいた」味の素のマーケティング 新組織設置の狙いとその成果を聞く

生活者との「共創」を実現し、既存事業を発展させる新組織

―― 2023年4月には「マーケティングデザインセンター」を新設されました。以降、マーケティングの改革に取り組まれてきたと聞いています。

岡本:マーケティングデザインセンターは、生活者と濃密にダイレクトにつながり、一人ひとりの趣向に合わせた製品・サービス・情報を提供するD2C事業と、そこで得たノウハウを既存事業に活かしていくことを目指し設立した組織です。2024年2月現在、100 名弱が所属しています。

 組織としてはユニークな形を採っていて、各事業部のマーケティングをサポートするサービスセンターとしての役割を担う2つの部署と、プロフィットセンターとしての役割を担う部署とで構成されています。

「マーケティングデザインセンター」内の3つの部署

1.マーケティング開発部:各事業部へマーケティングを高度化するサービス(消費者インサイト分析、データ分析、人材育成など)を提供する役割を担う。

2.コミュニケーションデザイン部:各事業部のマーケティングをサポートする組織として、マーケティングコミュニケーションにおけるメディア戦略の立案、クリエイティブおよびデザインの企画開発、オウンドメディア運営などを担う。

3.D2C 事業部:1st Party Data の解析により新たな顧客インサイトを発掘し、サプリメントと食品のD2C/EC 事業へつなげていくプロフィットセンター。

 マーケティングデザインセンター設立後は、データアナリストやリサーチャー、デザイナー、ストラテジープランナーなど全員が製品開発の段階から入るように、マーケティング業務の働き方を大きく変えました。「なぜこのプロジェクトが始まったのか」「なぜ製品開発をすることになったのか」など深いところまで理解していなければ、リサーチやデータ解析、パッケージデザイン、メディアプランニングなどいずれも本当に良いものはできないと考えています。

――各事業部のマーケティングをサポートするということは、マーケティングデザインセンターには各分野で高い専門性や知見を持つ人材がそろっているのでしょうか?

岡本:そうですね。人材獲得には力を入れて取り組んできました。特にマーケティング開発部では、データサイエンスの知見を持つ人材を積極的に採用しており、同部の半数以上が中途採用者となっています。

 味の素社は創業して間もない時期に広告部(当時は広告課)を設置し、国内で先駆けて広告活動を行ってきた会社です。広告部には100 年以上の歴史があり、テレビや新聞、雑誌などのマス媒体に関しては豊富な知見があると自負しています。

 一方、デジタルコミュニケーションに関しては、マス媒体に追いつけていないと課題を感じていました。この遅れを一気に取り戻すため、人財育成に加えてプロフェッショナル人財を積極的に採用してきたという背景があります。

――マーケティングデザインセンターが設立されてから約1年が経ちます。どのような変化を感じられていますか?

岡本:新製品の開発も進んではいますが、現時点で特に変化があったのはマーケティングコミュニケーションのほうです。散在していたコミュニケーション機能を一元化し、Paid Media/ Earned Media / Shared Media /Owned Mediaの4つのメディアを融合させたPESOモデルを構築。テレビCMを主軸にコミュニケーションを展開することが主だった従来のパターンを変えました。

 生活者とインフルエンサーによる話題化を戦略的に設計した上でマス広告を展開し、波及効果を大きくしていくなど、PESOモデルを軸にしたメディアストラテジー×クリエイティブパワーの相乗効果を生み出せるようになっています。

 このように戦略的に生活者とコミュニケーションを共創できるようになっている他、インフルエンサーの方々に味の素社のファンになっていただけるようアプローチしたり、インタビューや試食といった形で商品開発に参加してもらったりと、ASV経営に通じるマーケティング活動に近づいてきています。

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失敗を恐れない“風土”、基本の徹底があるからこその進化

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/06/20 11:01 https://markezine.jp/article/detail/45368

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