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第107号(2024年11月号)
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【100号特集】24社に聞く、経営構想におけるマーケティング

1年で大きく進化し「生活者に近づいた」味の素のマーケティング 新組織設置の狙いとその成果を聞く

 今の時代、マーケティングを考える際に「共創」は欠かせないが、「生活者との価値共創」を掲げつつも、実現の道筋が見えていない企業も多いだろう。そのような中、生活者との共創を実現しつつあるのが味の素だ。生活者との共創に必要なことは何か。マーケティングはどのような役割を担っているのか。同社でマーケティングをリードする岡本達也氏にうかがった。

※本記事は、2024年4月刊行の『MarkeZine』(雑誌)100号に掲載したものです

【100号特集】24社に聞く、経営構想におけるマーケティング

「競争」から「共創」へ 日本マーケティング協会の新定義が示す、これからのマーケティングのあり方
5つの柱でお客様の期待を超える マーケティングとイノベーションを実現する
─ 1年で大きく進化し「生活者に近づいた」味の素のマーケティング 新組織設置の狙いとその成果を聞く(本記事)
「マーケティング部も 営業部も存在しません」全社を巻き込むCX推進部がイーデザイン損保の経営を動かす
目指すは「シェアNo.1」ではなく「唯一無二」、花王がマーケティング戦略を変えた背景
「良いコンテンツを作れば自然と広がる仕組み」を目指して──「ABEMA」の経営とマーケティング
苦境から回復、さらには飛躍を目指して。「お客様の実感価値」の解像度を上げるJTBのマーケティング
生活者インサイトを捉えて新たな文化・市場を創造する 資生堂においてマーケティングが果たす役割
セブン-イレブン・ジャパンがマーケティング本部を新設 加盟店も含めた全社の“ハブ”を目指して
「ファッションの『こと』ならZOZO」というイメージ醸成を目指す、ZOZOの戦略と取り組み
常識破りの戦略で圧倒的な成長を。「KANDO(感動)ドリブン」で駆け上がっていくトリドールの構想
価値の源泉を見出して社内にバトンをつなぐ 購入者と喫食者に向き合うニチレイのマーケティング
「マーケティングの担う領域にボーダーラインは引かない」日産の経営を支えるパーパスドリブンな戦略と組織
逆境から変革を成し遂げた富士フイルムグループ、パーパスを原動力にしたさらなる進化に向けて
6,200万ユーザーが利用するPayPay、既存ユーザーの推奨とLTV向上で更なる成長を
唯一無二の商品で他社との差別化を図る三井住友カード 「老舗なのに新しい」企業イメージを育む
目指すはMAU4,500万。メルカリの成長に欠かせない「海外需要の獲得」「特定カテゴリーの成長」
楽器や音楽への知見を体験に転換し、新たな強みとする。ヤマハの「Make Waves」
「OMOの推進」と「若年層の獲得」を着々と進めるユナイテッドアローズの構想
リクルートに聞く、経営とマーケティングの近接性。カギはボトムアップ型の組織
ROI重視で経営のプレゼンスを高める! 売上拡大を続けるSansanのマーケティング
全社横断のマーケティング組織でDX支援を強めるNECの進化
マーケターがやるべきは「マーケティング」だけではない。パナソニックコネクト、企業変革のドライバー
唯一無二のユニークネスを顧客起点で事業に繋げる富士通、パーパス起点の事業変革×マーケティング
「お金を前へ。人生をもっと前へ。」どこまでもミッションドリブンなマネーフォワードのマーケティング

経営に限りなく近い、味の素社のマーケティング

―― はじめに、味の素社が経営戦略として掲げる「ASV経営」とはどのようなものか教えてください。

岡本:ASV(Ajinomoto Group Creating Shared Value)経営は、社会価値と経済価値の両方を満たす価値をステークホルダーの皆様と共創していくことを掲げる経営戦略です。マイケル・ポーター氏が提唱するCSV 経営(Creating Shared Value)をベースに考えたもので、「2014-2016中期経営計画」で発表しました。

 ASV経営として打ち出したのは近年ですが、社会価値と経済価値の両立は、我々にとって新しい考え方ではありません。うま味調味料の『味の素』は「日本人の栄養状態を改善したい」という強い思いのもと生まれたものであり、設立当初より味の素の根幹には「社会課題の解決を目指す志」があります。

味の素株式会社 執行役常務 食品事業部副事業本部長 兼 マーケティングデザインセンター長 岡本達也氏1987 年に味の素入社。これまでに「味の素」「ほんだし」「Cook Do」「クノール カップスープ」「ザ★」シリーズ他、数々の製品の開発・販売戦略などマーケティングを手掛ける。2022年に執行役常務に着任、2023年4月よりマーケティングデザインセンター長を兼務。モットーは「Cool Head &Warm Heart」「Anything is Possible」。
味の素株式会社 執行役常務 食品事業部副事業本部長 兼 マーケティングデザインセンター長 岡本達也氏
1987 年に味の素入社。これまでに「味の素」「ほんだし」「Cook Do」「クノール カップスープ」「ザ★」シリーズ他、数々の製品の開発・販売戦略などマーケティングを手掛ける。2022年に執行役常務に着任、2023年4月よりマーケティングデザインセンター長を兼務。モットーは「Cool Head &Warm Heart」「Anything is Possible」。

―― そのASV経営において、マーケティングが果たす役割はどのようなものでしょうか?

岡本:味の素社のマーケティングは、ひとことで言うと、お客様と社内の様々な機能をつなげるハブのようなものです。そのため、味の素社のマーケターは、原料の調達やR&D、商品開発、コミュニケーション、SCM(サプライチェーン・マネジメント)など、あらゆるバリューチェーンに関与します。もちろん、社内の仕組みや技術について深く知っていなければ仕事はできません。加えて、生活者のインサイトを誰よりも熟知している必要があります。

 さらに担当するブランドについては、売上やマーケティング費だけでなく、ビジネスプロフィットまで責任を持ちます。市場での成長だけでなく、マインドシェアやブランドイメージの醸成といったお客様の心の中での成長も果たさなければなりません。このように、味の素社におけるマーケティングの概念は非常に広く、マーケターには経営的感覚が求められます。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/06/20 11:01 https://markezine.jp/article/detail/45368

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