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【特集】進化するテレビマーケティング、現在の選択肢

テレビでもスマホでも生活者は意識しない、スクリーンニュートラル時代のプランニング

スクリーンニュートラルを前提に

──今うかがった変化に合わせ、マーケティングではテレビの立ち位置・活用をどう変えていくべきでしょうか?

 ここ数年、我々が目指している形は「スクリーンニュートラル」です。よく「スクリーンミックス」という考え方を耳にしますが、上述のとおり、実際の生活者はデバイスの使い分けを意識せずに、より自由に横断しています。となると、スクリーンニュートラルのほうがしっくりくるのではないでしょうか。

 初めから「テレビCMにいくら」「オンラインビデオにいくら」と予算を組むのは、スクリーンニュートラルではありません。それらを1つのスクリーンとみなし、最適な配分を探った結果、テレビの割合が100%になってもいいし、50%になってもいい。

 当社のメディアプランニングにおいては、「プランニングコンソール」というツールによってメディアニュートラルを実現しています。本ツールは各メディアの接触率やアドパワーを数値化し、ソーシャル、テレビ、オンラインといった複数の配信先に対して、目的を達成するために最適な配分の算出を可能にしています(図表1)

図表1 「プランニングコンソール」の画面
図表1 「プランニングコンソール」の画面

 また、SAS(Smart Ad Sales)のようにピンポイントでCM枠を買えるサービスも登場して久しいです。比較的事業規模が小さい企業の選択肢にもテレビCMが入ってくるようになり、テレビCMのすそ野は従来よりも広がっていると思います。一方で、従来のテレビCMにしかないメリットも変わらずに存在します。

 地上波のテレビCMには、1回の放映で(目標に)到達できるスピード感があります。また、一緒にそのCMを見ている家族間はもちろん、世の中全体が一緒に視聴してライブ感を共有することができる。そのため、たとえば新発売のタイミングを強く印象付けたい場合には、テレビCMが優れた効果を発揮します。

 スクリーンニュートラルでサイエンティフィックにやることも重要ですが、数字に表れない効果を考慮する必要もあると考えます。

──2つの側面に考慮した運用は具体的に可能なのでしょうか?

 そうですね。プランニングコンソールの場合は「スクリーンオプティマイゼーション」という機能で実現しています。目的に対していくつかシナリオが提案されるようになっているものです。プランニングにおいては、目的に最適な組み合わせをジャッジすることがポイントになるでしょう。従来のような、クライアントのブリーフにメディア別に最適化するプランニングは少なくなっていくはずです。

──スクリーンニュートラルのもとでは、クリエイティブの作り方も変化するのでしょうか?

 ユーザーが意識していないとはいえ、デバイスごとにクリエイティブを合わせることは絶対に必要です。単純に、見にくいクリエイティブは見られないためです。

 とはいえ、従来のようにテレビCMありきで、それを見たユーザーがWebを訪れる、という順序は通用しなくなります。どのメディアもメインになりうるという前提の上で、デバイスごとに合わせたクリエイティブ制作が重要になるでしょう。

──日本は世界を後追いする形で、テレビのデジタル化が進んでいます。海外の動向から、日本も取り入れるべき考え方はありますか?

 テレビは一度決めたら運用できない媒体というイメージが強いと思いますが、徐々に変化しつつあります。たとえば、日本テレビが2024年度末から地上波広告でリアルタイムのプログラマティックバイイングを開始すると発表しており、新たな流れが生まれるでしょう。これはプランニングサイドが個別で取り組むというより、インダストリー全体で需要の変化に対応していくのが理想的ではないかと思います。

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テレビ広告の中長期的効果

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

慎 芝賢(シン ジヒョン)

フリーカメラマン 日本大学芸術学部写真学科卒業後、朝日新聞出版写真部勤務。 2014年フリーカメラマンに。雑誌・書籍・新聞・web媒体を中心に撮影を行う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/05/28 09:30 https://markezine.jp/article/detail/45487

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