※本記事は、2024年5月刊行の『MarkeZine』(雑誌)101号に掲載したものです
【特集】進化するテレビマーケティング、現在の選択肢
─ テレビでもスマホでも生活者は意識しない、スクリーンニュートラル時代のプランニング(本記事)
─ 「テレビCMは若年層には効かない」は本当か?テレビの効果検証に不可欠な2つのポイントを解説
─ TVerの進化は広告主の選択肢をどう広げるか
─ シングルIDでターゲットリーチを可視化する CCCMKホールディングスのソリューション
─ 第三者パートナーとして、ビジネス効果・スピードを重視するノバセル
─ 多様なデータ資産を用いメディア環境の変化に対応する「TV AaaS」
─ 全国のテレビCM放映データを持つ「Madison」
─ 視るという行動ベースのデータを活かす「Telescope」
─ 日本テレビ「Ad Reach MAX」、2025年3月ローンチに向け構想を発表
─ 増えていくテレビの選択肢をどう検証する?ホーユーが「MMM」+αで行ってきたテレビマーケの最適化
─ テレビのリーチ力を活かし「利用のバリア」を解消していく。Uber Eats流・テレビCM活用術
─ なぜ「電車の中のテレビ局」なのか?電車内サイネージのリポジショニングを図る「TRAIN TV」の狙い
変わりゆく「テレビ」の定義
──昨今はテレビの意味が広がり、複雑になっています。現在、日本の生活者は「テレビ」をどう捉えているとお考えですか?
弊社のグループ企業であるマグナグローバルの調査データによると、広告費全体においてテレビが占める割合は、日本で25%ほどですが、世界全体で約18%、中国では10%を切っています。
この潮流を考えると、さらなるデジタルシフトが進むことは間違いありません。実際、弊社の予測では2028年までにテレビ広告費は最大で15%程度に下がることが予想されています。この潮流の根底にあるコアな生活者の行動・意識を捉えなおすことが必要だと思っています。
では、この「デジタル化」において起きる事象とは何かですが、「コンテンツ」と「デバイス」が明確に分かれて独立した存在になることが大きな変化だと考えます。また、生活者にとってデバイスを使い分ける意識もより希薄になっています。ご自身やご家族の行動を振り返ると、明確にデバイスを使い分けているというより、各デバイスはコンテンツを中心に境界なくつながっているだけだと実感できるのではないでしょうか。
従来はテレビ=地上波のテレビ番組を見るデバイスであり、コンテンツとデバイスは1対1の関係でしたが、そうではなくなりました。今、人々はテレビを大きなスクリーンデバイスと考え、テレビ番組は「テレビ局が作る1つの動画コンテンツ」として他動画と並列に存在している状態です。コンテンツがテレビ(番組)であるだけで、どのデバイスで見ようと生活者にとっては一緒です。
──生活者からすると、YouTubeなどの動画メディアとテレビが混ざり合っていて、区別がつかない状態と言えるのでしょうか?
そうですね。キャンペーンの効果測定を見ても、どのコンテンツをどこで見たかを覚えていないユーザー動向が見受けられます。極論ですが、トレインチャンネルで流れている広告を「テレビCMで見た」と回答する人もいるのです。そういった意味では「テレビでこれを見た」「街のサイネージで見た」という意識は薄れてきていると思います。メディアプランニングも、コンテンツとデバイスが独立して存在する前提で考える必要がありますね。