※本記事は、2024年5月刊行の『MarkeZine』(雑誌)101号に掲載したものです
【特集】進化するテレビマーケティング、現在の選択肢
─ テレビでもスマホでも生活者は意識しない、スクリーンニュートラル時代のプランニング
─ 「テレビCMは若年層には効かない」は本当か?テレビの効果検証に不可欠な2つのポイントを解説
─ TVerの進化は広告主の選択肢をどう広げるか
─ シングルIDでターゲットリーチを可視化する CCCMKホールディングスのソリューション
─ 第三者パートナーとして、ビジネス効果・スピードを重視するノバセル
─ 多様なデータ資産を用いメディア環境の変化に対応する「TV AaaS」
─ 全国のテレビCM放映データを持つ「Madison」
─ 視るという行動ベースのデータを活かす「Telescope」
─ 日本テレビ「Ad Reach MAX」、2025年3月ローンチに向け構想を発表(本記事)
─ 増えていくテレビの選択肢をどう検証する?ホーユーが「MMM」+αで行ってきたテレビマーケの最適化
─ テレビのリーチ力を活かし「利用のバリア」を解消していく。Uber Eats流・テレビCM活用術
─ なぜ「電車の中のテレビ局」なのか?電車内サイネージのリポジショニングを図る「TRAIN TV」の狙い
デジタルにできることは、テレビでもできる
Ad Reach MAX(以下、AdRM)は、地上波広告において、インターネット広告と同様のリアルタイムな運用やレポーティングを実現するアドプラットフォーム。テクノロジーを活用することで、地上波広告の強みを活かしながらインターネット広告の利点を取り込むことを目指しており、「デジタルにできることは、テレビでもできる。すべての広告会社のメディアプランニングに入る広告商品を。」をビジョンに掲げている。
日本テレビ取締役 常務執行役員 黒崎太郎氏は「テレビ広告の可能性を大きく広げる一助となるAdRMは、私たちだけでは実現できません。系列局や他系列、広告主、広告会社の皆さまと協力しながら発展させていきたいと考えています」と説明。
業界標準のシステム間接続定義を作ることで、新たな放送局広告サービスを市場に円滑に浸透させ、業界全体のアップデートを図ろうとする意志を示した。
今後は、従来の「ネットタイム」「スポットSAS」「TVer」に加えて、テレビ広告をデジタル広告のように出稿・運用できるAdRMをテレビマーケティングの選択肢として選べるようになる。
テレビ広告の発注〜運用を効率的に
2024年12月には、AdRMのフロントエンドを担うセールスサイト「スグリー」がオープンする予定だ。広告主・広告代理店がAdRMを利用する際は、基本的にスグリーを使うことになる。テレビ局が自ら運営しているため、広告クリエイティブのアップロードやアロケーション、実績確認、レポーティングなど、運用にまつわる様々なことをスグリー上で直接行うことができる。
スグリーの使い方は、具体的には大きく2つ。まずは、スグリーを活用することで、従来の予約型取引である「タイム&スポット」の運用を一部アップデートすることが可能になる。CM枠の購入の仕方などについてはこれまでの商習慣を踏襲しつつ、オンエアの20分前(目安)までCM素材の変更が可能になるため、クリエイティブの運用性が高まることが想定される。
もう1つ、スグリーは「デジタル基準の新商品を購入」する際に活用される。テレビマーケティングに、より大きな変化をもたらすと思われるのはこちらのほうだ。新商品はオンラインで当日の発注が可能であるほか、インプレッションを共通の取引指標として採用するため、テレビ×デジタルの統合がより進むと思われる。
スグリーで購入可能なデジタル基準の新商品とその購入方法
- 地上波在庫:インプレッション予約/オークション型のいずれの購入方法も可能
- 統合在庫(全国地区別の地上波在庫とTVerのデジタル在庫を統合したもの):インプレッション予約のみ可能
- デジタル在庫(TVer):インプレッション予約のみ可能