成果を出すマーケティングチームの作り方
岩田:JTBさんとprimeNumberさんはデータ基盤を整えながら施策を回していくところが共通していますね。具体的にどのようなチーム体制で進められているのでしょうか?
前澤:現在JTBのマーケティングチームには10名強のメンバーが所属しています。それ以外にもコンテンツ制作をフォローしている部署とも連携しており、そこを含めると15名から20人ほどの組織規模になっています。
その中で私は全体戦略の設計を担当し、もう1名がデータ基盤や基盤構築に携わっています。数人がデータアナリストとしてデータを整え活用・分析を行っており、残りのメンバーがABM(Account Based Marketing)の実行に携わったり、日々のコンテンツ制作を行っていたりします。

ブライアン:primeNumberのマーケティングチームは、ここ数年で採用を進めてきました。JTBさんやSansanさんに比べると小さな組織で、現在の人数は5名程度です。それぞれが専門領域を持ちつつ、マーケティング本部として横断した施策を実行しています。
岩田:primeNumberさんは、5名規模でもMOps(マーケティングオペレーション)やデータ分析担当を設けるなど、スタートアップならではの組織作りが進んでいると感じました。JTBさんも、データアナリストが部門の1割以上を占めており、データ活用・分析に力を入れているのがうかがえます。
両社に共通するのは、規模の違いはあれど、「施策」だけでなく「データ基盤の構築、活用」にリソースを割いているところだと思います。これは規模や企業フェーズに関係なく取り組むべきことです。
約75%の企業がデータ基盤を整備できていない!その理由と対策は?
岩田:では、データ基盤についてもう少し見ていきましょう。Sansanが行った第1回の調査では、顧客データベースの整備ができている企業はわずか24%でした。また、「マーケティングの成果は出ているけれども課題がある」企業のうち54.4%は「顧客データベースはあるが、更新・加工・活用に手間がかかる」課題があることもわかりました。
加えて、データ基盤に求めるキーワードとして「正確」「一元管理」「最新」「全社で共有できる」などが上位に上がりました。
これらの結果を踏まえJTBさん、primeNumberさんに顧客データ基盤の整備状況についてうかがいたいと思います。JTBの前澤さんはいかがですか。
前澤:JTBでは、マーケティングチームを立ち上げてすぐにデータ基盤の整備を行いました。当社は営業が強く、営業担当しか持っていない情報が数多く存在しました。その情報を営業担当の頭の中だけでなく、データ基盤を整備して共有し、マーケティングに活用したい思いがあり、データ基盤の整備を始めました。
整備にあたって意識したのは、お客様を中心に顧客情報を一元管理することです。フィールドセールスが持つ情報はCRMに取り込み、デジタルマーケティングを通じて得られたデータはMAに蓄積し、それらの統合を進めました。
その上で、グループ会社のお客様情報も一元化する取り組みにもチャレンジしています。

岩田:primeNumberさんはいかがでしょうか?
ブライアン:マーケティングファネルで見たときに、認知・想起からリードジェネレーション、リードナーチャリング、リードクオリフィケーション、そして営業活動、受注という流れになりますが、これらに関するデータが分散していることが課題でした。
そこでTROCCOを使ってMAとSFAのデータをデータウェアハウスに抽出し、ダッシュボードを構築しました。これにより、データをもとにした営業ができるようになっています。
さらに顧客情報の充実に向け、広告や検索、SNSなどから来訪した方には問い合わせフォームで流入経路を記載いただき、さらに展示会や名刺交換で収集した顧客情報やWeb行動データをデータウェアハウスに蓄積し、法人番号も紐付けるように整備しました。
