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【JTB×Sansan×primeNumber】調査&事例に学ぶ、これからのBtoBマーケティング

マーケティングと営業の連携を推進するには

岩田:続いて「営業とマーケティングの連携」というテーマについて考えていきたいと思います。

 今回の調査では「マーケティングと営業の連携に課題を感じている」と回答した人は全体の86.1%に上りました。内容を詳しく見ると、マーケティング側では「営業が成果につなげられていない」という意見が76%、営業側は「マーケティング施策が成果につながらない」という回答が71.4%見られ、マーケティング対営業という構造が明らかになっています。

 この調査結果を見て、お二人はどう思いましたか。また、マーケティングと営業が連携するために取り組んでいることはありますか。

前澤:弊社でもマーケティングが何をしているのか認知や理解を得られてないと思うこともありました。その状況を打破すべく、JTBでは2つの取り組みを行いました。

 1つは、営業課題を解決するオフラインイベントを開催したことです。営業チームと徹底的に議論を重ね、「営業現場で解消できない課題の解決」「検討度の高いお客様の商談化、案件化」を目的に開催したのですが、お客様のイベント滞在時間は平均4時間を越え、通常の営業活動では得られないコミュニケーション機会とすることができ、商談化率と案件化率も極めて高い結果が出ました。

 営業担当者が持つマーケティング活動に対する認識を変える1つのきっかけとなったと思います。

 もう1つは、主要の営業拠点内にマーケティング機能を設置したことです。2024年からスタートした取り組みで、私たち本部が立てた大きなマーケティング戦略をもとに、各営業拠点のマーケティング担当が各拠点特有の需要に合わせた施策を考えています。

 まだスタートしたばかりですが、営業拠点側に橋渡し役になるメンバーを送り、連携を進めています。

ブライアン:私はマーケティングと営業が連携するためには、「直接話すこと」に尽きると思っています。

 組織が大きくなればなるほど部分最適が進み、各部門がKPIを達成することだけに目線が移ります。マーケティングであればターゲットリード数やCPA、インサイドセールスならアポ数や案件化数などですね。部門間でKPIのズレが生じると整合性が取れなくなり、「コミュニケーション課題」と「データの不一致」という課題が発生します。

株式会社primeNumber マーケティング本部 Head of Marketing ブライアン氏
株式会社primeNumber マーケティング本部 Head of Marketing ブライアン氏

 コミュニケーション課題については、言葉の定義をしっかり決めることが非常に重要なカギを握ります。たとえば「リードの質」と一言で言っても、その定義は何なのか。ターゲットは誰で、どんなセグメントなのか。そういったことを落とし込み、具体化することが大切だと考えています。

 もう1つのデータの不一致については、最初に言葉の定義を決め、次に「同じデータを見て会話する」ことが重要だと考えています。同じ定義によって目線がそろい、成果の良し悪しも判断しやすくなるでしょう。

 とはいえ、部分最適化が進むと抜本的な対策が難しくなるので、スモールウィン(Small Win)を積み重ねることをおすすめします。たとえば、業務のデジタル化を進めた後、ツールを導入してデータ化を加速する。その後、データ文化の醸成を目的にデータを見てマーケと営業の会話を進め、SFAやMAのデータを集計して成果を可視化していく。最終的にデータ基盤を構築する。

 このように、プロセスを細かく刻んで、マーケティングと営業が同じ目線で一緒にデータを見て会話できるようにしていくことが大切だと思います。

BtoBマーケティングがさらに発展していくために

岩田:最後にまとめに入ります。前提として、BtoBマーケティングは売上拡大のために存在するもので、事業フェーズや規模に合った営業戦略に即したものであるべきです。

 今回の調査結果によると、施策と顧客データ基盤の整備を並行して運用している企業は非常に成果が高いということがわかりました。顧客データ基盤により、営業とマーケ間で情報連携を進め、マーケ施策のヒントを得る、PDCAを回して成果を確認する、より良い施策作りに活かすなどの活動が広がります。

 もう1つ忘れてならないのは、営業サイドに取ってこうした取り組みがどのような成果につながるのかをしっかり議論することです。primeNumberさんがお話したように、スモールウィンを積み重ねて成果を見せていくことが有効だと思います。

 スモールウィンを築くためには共通の言語化はもちろん、JTBさんのようにマーケティングと営業が協力してイベントを開催するなどの可能性も考えられます。

 また顧客基盤の整備にあたっては、2社が取り組まれていたように、顧客起点で一元化・共有化することを目指していくのがいいでしょう。

 これらが今後のBtoBマーケティングにとって重要なポイントになると思いますが、お二人のご感想はいかがでしょうか。

前澤:各企業で最適なBtoBマーケティングが異なると思います。その中で大切なのは、やはり「お客様理解」だと思います。お客様情報を可視化し、営業チームと連携してPDCAを回しながら営業現場の課題解決につなげていく。その根幹を担うのがお客様理解だと思っているので、今後も大切にしたいです。

ブライアン:私も顧客理解が最も重要だと思っております。マーケティングは営業だけでなく、プロダクト担当やエンジニア、デザイナー、経営者など、様々な人との関わりがあります。その中でマーケターはデータを軸に顧客理解を進める姿勢のもと施策効果を検証する文化を醸成する役割を担うべきですし、それがBtoBマーケティングの肝になると思います。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/08/08 09:00 https://markezine.jp/article/detail/45516

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