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ブランドは気まぐれな消費者とどう向き合うべきか?

大きなトレンドを追いかけると“空振り”になるかも?若者研究のプロに聞く「Z世代×界隈消費」の実態

 消費者としてのZ世代の存在感が大きくなりつつある。Z世代の動向を表すものとして近年注目を集めているのが「界隈消費」だ。本稿では、「界隈消費」を提唱する若者マーケティング機関SHIBUYA109 lab.で所長を務める長田麻衣氏にインタビュー。細分化され把握が難しいとされる「界隈消費」の捉え方や、Z世代マーケティングへの活かし方をうかがった。

Z世代の理解に欠かせない「界隈消費」とは

―― はじめに「界隈消費」とは何か、教えてください。

長田:「界隈消費」とはSHIBUYA109 lab.が提唱した、主に若者に見られる消費行動のことです。2年ほど前から若者にインタビューする中でよく「界隈」といったワードを耳にするようになりました。

 「界隈」とは共通のファッションテイストや趣味、好きな世界観などを軸にした、ゆるいつながりのこと。たとえば、世界観には「フレンチガーリー界隈」や「韓国界隈」、黒・ピンク・白を基調としたガーリーなテイストの「地雷界隈」、地雷界隈と同じテイストながら、より王道のモテを意識した「量産界隈」、儚さと透明感を併せ持つ白や水色を基調にした「水色界隈」などさまざまな界隈があり、皆さんSNSの投稿を好きな世界観で統一しています。

株式会社SHIBUYA109エンタテイメント SHIBUYA109 lab.所長 長田麻衣氏総合マーケティング会社にて、主に化粧品・食品・玩具メーカーの商品開発・ブランディング・ターゲット設定のための調査やPRサポートを経て、2017年にSHIBUYA109エンタテイメントに入社。SHIBUYA109 マーケティング担当としてマーケティング部の立ち上げを行い、18年5月に若者研究機関「SHIBUYA109 lab.」を設立。現在は毎月200人のaround 20(15歳~24歳の男女)と接する毎日を過ごしている。
株式会社SHIBUYA109エンタテイメント SHIBUYA109 lab.所長 長田麻衣氏
総合マーケティング会社にて、主に化粧品・食品・玩具メーカーの商品開発・ブランディング・ターゲット設定のための調査やPRサポートを経て、2017年にSHIBUYA109エンタテイメントに入社。SHIBUYA109 マーケティング担当としてマーケティング部の立ち上げを行い、2018年5月に若者研究機関「SHIBUYA109 lab.」を設立。現在は毎月200人のaround 20(15歳~24歳の男女)と接する毎日を過ごしている。宣伝会議などでのセミナー登壇・TBS『ひるおび!』コメンテーター・著書『若者の「生の声」から創る SHIBUYA109式 Z世代マーケティング(プレジデント社)』、その他メディア寄稿・掲載多数

 それぞれの界隈は独立して存在しているわけではありません。グラデーションになっており、いくつもの界隈が重なり合っています。それぞれが混ざって新しい界隈ができることもありますし、1人が複数の界隈にアクセスすることもあります。また、SNSで知り合った界隈の人たちとリアルで会うなど、界隈はデジタルとリアルの区別なく存在しています。

 若者は、界隈の中で消費を楽しむ方向に進んでいるといえるでしょう。

界隈消費が起きている背景「同じ熱量を持つ人たちと自分の好きなものを楽しみたい」

――界隈消費の潮流が起きている背景をどのように捉えていますか?

長田:メガインフルエンサーより、マイクロインフルエンサーやナノインフルエンサーのほうが若者の消費に影響力を持つようになったことが背景の一つとして挙げられます。手の届かないところにいる人より、より身近にいる人の発信のほうが自分ごと化しやすいのだと思います。

 この流れに拍車がかかったのはコロナ禍に入ってからです。さまざまなことが制限される時期を過ごしたことで、「浅く広くみんなと仲良くする」ではなく、「同じ熱量を持つ人たちと好きなものを楽しみたい」と願う人たちが増えたと感じています。この流れは今も変わっていません。

――周りにあわせてトレンドを追いかけるより、自分が好きなものを追いかけたいという価値観の変化があったのですね。

長田:そうですね。さらに、仲間を作るときは「本当に自分と同じ熱量を持っているか」「にわかではないか」を真剣に見極めようとしています。熱量が少しでも違うと会話が盛り上がらず、お互いに楽しめないと考えているのでしょう。見極めるために何度もDMでやりとりするといったプロセスを踏んでいる人もいます。同じ種類の界隈であっても、このように熱量はさまざまです。

 そして、1つの界隈の中に微妙に異なる小さな界隈が存在することもあります。たとえば「フレンチガーリー」界隈を見てみても、インフルエンサーによって体現している世界観が微妙に異なっていたりするんです。

 こうして多種多様なトレンドが並行して走っているため、「今、Z世代ではこれが流行っています」と一言で表せなくなっています

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/06/24 09:30 https://markezine.jp/article/detail/45553

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