VTuber界隈の盛り上がりは今後も続く? 界隈消費の例
――界隈消費を捉えた良い例はなにかありますか?
長田:2024年4月19日~5月7日に「MAGNET by SHIBUYA109」で開催した、『ビル全館、まるごとコラボ!DOZLE Corp. in SHIBUYA ドズル社 渋谷支社 営業中! in MAGNET by SHIBUYA109』を紹介します。ドズル社は、医大生からYouTubeクリエイターになった「ドズル」さんをリーダーに、5名のメンバーで活動しているゲーム実況グループです。

最初にドズル社を起用してポップアップを開催した時は、実は、それほど大きな規模ではありませんでした。ですが、ファンの方たちが「SHIBUYA109でこんなことできるなんてすごい!」と盛り上がってくれたんですね。みるみるその熱量が伝播し、今では全館ポップアップを開催するまでになりました。
――VTuber、今そんなにアツいのでしょうか?
長田:はい、個人的に今一番注目している界隈が「VTuber」です。VTuberに興味を持つ若い世代が非常に増えていて、これまでは100人いれば数人ぐらいしか話題に出さない肌感覚がありましたが、昨年一気に増えたなと。層の幅広さも特徴です。ボカロ(ボーカロイド:歌声合成ソフト)が好きな人、ゲーム配信に興味がある人など、さまざまな人がいます。
界隈事情は外からはなかなか見えないものです。「このVTuberのファンはゲーム実況好きの人が多いから、ゲームのコンテンツとか親和性が高そうだ」など、深く見ていくことで気づくことがあります。
また、VTuber界隈の熱量は非常に高く、結束力も強いので、この界隈はより盛り上がっていくと考えています。意外な分野でのPR効果もあり、シャンプーのPRでも成果を出しています。VTuberはバーチャルなキャラクターなので実際にシャンプーで髪を洗うわけではありません。ところが、VTuberが紹介している様子を見て購入する人もいるのです。理由を聞くと「後ろに人間がいることはわかっているけれど、VTuberが気持ちよさそうにしていたから」と教えてくれました。熱量があれば成立するんですね。
別の界隈では、eスポーツ界隈にも注目しています。男性ファンが多いイメージを抱いている人は、実際に会場に行くとそのイメージが覆されるかもしれません。いわゆる量産系の服を着ている人も多いんです。「SHIBUYA109ともまったく親和性がないわけではない」と思いました。やはり実際に足を運び、生の声を聞くことが大切です。
――最後に企業のマーケターに向けて、あらためてZ世代マーケティングの注意点を教えていただけますか?
長田:今回お伝えしたように、若者の消費行動は細分化・多様化が進んでいます。「Z世代」と大きく捉え、宙に浮いたマーケティングを展開しないことが大切です。一過性のバズで終わらせないよう、生の声を聞き、熱量を感じ取り、深く入り込んでいくことが求められると思います。