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MarkeZine Day 2025 Autumn

ブランドは気まぐれな消費者とどう向き合うべきか?

生活者が「購入を決めるきっかけ」とは? マクロミルの計画購買調査から考える

計画・非計画購買の理由

──先ほど、非計画購買は4種類あるとおっしゃいました。それぞれの増減はあるのでしょうか?

 はい。たとえばスーパーの非計画購買においては、2017年から2021年にかけて想起購買が増えて、その後減っています。

 計画購買が増えたコロナ禍で、あらかじめ買うものを決めておいたものの「そういえばこのストックも切れていた」と思い出して買うシーンは多かったと考えられます。2024年になると店内で商品を見て回る楽しみが戻ってきているので、「これも安いから買う」といった条件購買が増えています。

 コンビニの場合は衝動購買が元々はスーパーより多いのですが、最近は減少傾向にあります。代わりに条件購買が増えているのが特徴です。最近はアプリ会員限定の割引や、レシートクーポンが増えています。こうしたキャンペーンのおかげで、価格による条件購買も増加してきたのでしょう。

 また、計画購買をする方に購買理由を尋ねたところ、スーパー・コンビニともに「いつも買っているから」といったリピートや、習慣が多くを占めました。このような方々はロイヤル顧客と言えます。また、マス広告をきっかけに計画購買する人は減少傾向にあり、Webによる購買喚起が増えていることも明らかになりました。

 さらに、スーパーよりもコンビニのほうがWebやSNSを見て購入を決める人の割合が多くなっています。これはメーカーやIPとコンビニがコラボ新商品を売り出す際に、デジタル広告・SNSに力を入れているからだと考えられます。

──ECでの購買では、いわゆる「パルス消費」と言われる、インターネットを見ていた流れで買う購買行動が増えていると思います。これも計画購買につながっているのでしょうか?

 そうですね。仮にパルス消費のような急激な購買意欲の高まりがあるとすれば、ECサイトを訪れる前にSNSやWebを見ているときに起こるでしょう。そこで買うものを決めてからECでの購入に至るので、計画購買になると考えられます。

消費行動の変化の中で、ブランドや小売に必要な観点

──最後にブランドや小売は、こうした消費行動の変化に対してどのような観点でビジネスを行っていくべきか、お考えをうかがえますか。

 まず、小売で言えばチャネルによって計画・非計画購買の状況が異なるので、それに合わせることが大切です。

 たとえばスーパーは、2017年以前と比べればブランド計画購買率が高いままになっているので、店内の施策だけでなく店外の施策も重要です。店外でのリピート購入や顧客のロイヤル化を促進しながら、ブランド計画で買ってくれるお客さんを担保する。その上で、店内のキャンペーン施策やポップなどで非計画購買も取っていくのがよいと思います。

 コンビニの場合は、先述のとおりブランド計画購買がどんどん増えているので、ブランドによるSNS発信や、会員向けのキャンペーン、クーポン施策など、店外でのアプローチが鍵になると考えられます。

 ブランドはどのチャネルで自社商品が購入されるウェイトが高いかを見た上で、小売と一緒に取り組みを行う必要もあると思います。加えて、その商品カテゴリを取り巻く外部環境の影響も無視できません。定点的に自社の顧客の購買行動の変化をウォッチすることが大事です。

 さらに、計画購買層と非計画購買層は二極化していると考えられます。コロナ禍で増えた「買い物の目的が明確で機能的なショッパー」と、コロナ禍後の緩和で戻ってきた「選ぶのが好きなショッパー」「店頭価格に敏感なショッパー」の両方が増えています。ブランドは、どちらの層をどのチャネルで狙うのか明確にした上で、施策を考える必要があるでしょう。

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/08/07 11:17 https://markezine.jp/article/detail/45634

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