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ポストCookie時代の本格到来を乗り越える(AD)

「これだけでOK」な万能ソリューションはない 広告のアドレサビリティ維持に包括性が必要な理由

 GoogleがChromeにおけるサードパーティーCookieのサポート廃止時期を幾度も延期するなど、混乱が続くWeb広告業界。広告主は対応を迫られているものの、代替策の理解やトライアルは依然として進んでおらず「Cookieレスソリューション」の言葉だけが独り歩きしている状況だ。このような状況を踏まえ、本記事ではアドテク業界のリーディングカンパニーであるCriteoを取材。ポストCookie戦略のグローバル責任者を務めるノラ・ソロモン氏に、同社が掲げる「アドレサビリティ戦略」の全体像を詳しくうかがうことで、広告主に対応の道筋を示す。

ポストCookie時代のアドレサビリティ

──ソロモンさんの自己紹介をお願いします。

 Criteoのシニアバイスプレジデントという肩書きで、グローバルのGo-to-Market戦略を担当しています。セールス部門とプロダクト部門、マーケティング部門の橋渡しをする役割です。

Criteo グローバルGo-to-Market戦略 シニアバイスプレジデント ノラ・ソロモン氏
Criteo グローバルGo-to-Market戦略 シニアバイスプレジデント ノラ・ソロモン氏

──昨今、ポストCookieの文脈で「アドレサビリティ」という言葉が聞かれるようになりました。アドレサビリティとはどのようなものなのか、改めて説明いただけますか?

 アドレサビリティとは、マーケターがユーザーに対するターゲティングを、レレバンシー(Relevancy)をともなった形で行えるようにすることです。

──レレバンシーとはどういう意味でしょうか?

 広告の関連性の意です。「その消費者が、その時点で、何に関心を持っているか」を理解し、それに応じた広告を展開することができる=レレバンシーが高いと言えます。アドレサビリティを高めれば、どの消費者にどのような広告や情報を届けるべきか、マーケターが判断しやすくなるのです。

──サードパーティーCookieが使えない環境においてもWeb広告のアドレサビリティを維持するために、どのような手段やアプローチが考えられますか?

 いくつか代替策はあります。第一の策が「ファーストパーティーデータ」です。たとえばメールアドレスや電話番号など、広告主が顧客と1to1の関係を通じて把握することができているユーザーデータを識別子として活用します。

万能な単一ソリューションは存在しない

 最近は代替IDの技術も発達しています。Globalive社の「ID5」やインティメートマージャ―社の「IM-UID」が代表的です。これらの代替IDは蓋然性の高いシグナルであり、1to1のユーザーデータと同様に、アドレサビリティを高める識別子として活用することができています。

 第二の策が、Googleの「プライバシーサンドボックス」です。プライバシーサンドボックスとは、広告主がGoogle Chromeの環境下でユーザーのシグナルを、プライバシーを保護した形で活用し、広告を配信できるようにする仕組みのことを指します。第三の策は、Metaなどの広告パブリッシャーが保有するシグナルや、コンテクスチュアルなシグナルを活用した「非IDのターゲティング手法」です。

──「このような企業は、この代替策を選ぶと良い」といった具合に、自社に合った代替策を見極めるポイントはありますか?

 自社の事業でカバーする領域が極端に限定的でない限り、たった一つの代替策だけを選んで広告を配信する決断は、あまり現実的とは言えないでしょう。「これさえ活用すればOK」という万能な代替策は存在しません。複数の適切な選択肢を活用するほうが、拡張性が高まって広告のパフォーマンスも上がります。

 いかなる判断をする前にも、まずは「消費者が自社のプロダクトとどのようにエンゲージしているか」を明確に理解しなくてはなりません。消費者からのアクセスが最も多く発生しているチャネルはアプリなのか、WebサイトであればブラウザはGoogle Chromeなのか。そのような理解を前提に意思決定することが重要です。

全方位カバー!アドレサビリティ戦略「3本の柱」

 また、テックパートナーの力を借りることも有効でしょう。Criteoでは、最適な代替策の選択をクライアントに代わって行うことができますから、クライアントはそれ以外の重要な業務にリソースを割くことができます。

──CriteoがWeb広告のアドレサビリティを維持・向上するために、取り組んでいることを教えてください。

 「包括的かつ多面的なアプローチ」が当社の基本姿勢です。デジタルエコシステムそのものが多様性に富む中、当社のパートナーである広告主や広告パブリッシャーに、適切なソリューションをお届けしたい思いがあります。

 基本姿勢に則り、当社ではアドレサビリティ戦略を3本の柱で構成しています。第一の柱が「ファーストパーティーデータ」で、第二の柱が「プライバシーサンドボックス」、そして第三の柱が「クローズドな環境」です。

 第一の柱では、広告パブリッシャーや広告主と連携しながら、ハッシュ化されたメールアドレスを活用するためのオンボーディングを行っています。ほかにも、40を超える代替IDを活用し、ファーストパーティーデータを様々なシグナルとして広告配信に活用できるようにしています。

 第二の柱については、Googleがプライバシーサンドボックスの取り組みを始めた当初から、CriteoはGoogleにフィードバックを提供してきました。その結果、三つの主要なAPIにおけるテストを通じ、広告のアドレサビリティ維持の実現に向けた検証を行いました。三つのAPIとは「Topics API」「Protected Audience API」「Attribution Reporting API」です。

Metaやリテールメディアのユーザーにもターゲティングが可能

 Topics APIによって、そのユーザーが関心のあるトピックを理解することができると同時に、広告主や広告パブリッシャーがGoogle Chromeにおいて、関心のあるトピックに応じた広告を展開することができます。

 またProtected Audience APIを使うことにより、広告主や広告パブリッシャーはインタレストグループを自動生成でき、Google Chromeのブラウザ環境においては1to1のターゲティングが可能となります。Attribution Reporting APIは、前述した二つのAPIがパフォーマンスへいかに貢献しているかを計測し、レポーティングするためのAPIです。

 Google Chromeにおけるサードパーティークッキーのサポート廃止にともない、数多くのシグナルが既に使えなくなっています。今後もこの動きは続くため、Topics APIやProtected Audience APIを介してファーストパーティーデータの活用につなげる考えです。

 Criteoのアドレサビリティ戦略を構成する3本の柱に話を戻しましょう。第三の柱であるクローズドな環境とは、Metaなどとのパートナーシップシップやリテールメディアのオンサイト広告を通じて、アドレサブルな環境にいるユーザーへのリーチを可能にするというものです。

 たとえばMetaのようにユーザー全員がログインをしているクローズドな環境や、消費者の購買チャネルである小売企業のWebサイトなど、広告主が自社のファーストパーティーデータと紐づけることが難しい配信環境にも、当社を介せばリーチをすることができます。

代替IDでリーチ20%増&CPC30%減の事例も

 3本の柱を支えているのがAIです。ファーストパーティーデータやプライバシーサンドボックスなど、あらゆるところからシグナルがインプットされる中、AIによって最適なシグナルをリアルタイムに判断することができています。

──3本の柱に関連した取り組みで、既に成果が出ている事例はありますか?

 二つの事例をご紹介しましょう。まずは、代替IDを活用した取り組みです。インティメートマージャ―社のIM-UIDと当社のソリューションを連携することにより、リーチを連携前の+20%に、CPCを連携前の-30%にすることができました。

 次に、米国の大手パブリッシャー「Slate」における事例です。Slateが保有するログインユーザーのメールアドレスをハッシュ化した上で当社に共有し、それをシグナルとして広告のターゲティング配信を実行したところ、SlateのCPMに138%もの上昇が見られました。

──Criteo以外にもポストCookieソリューションを提供している企業がある中、ソロモンさんは他社との違いをどのように捉えていらっしゃいますか?

 やはり包括性でしょうか。ここまで広範囲のソリューションを提供しているプレイヤーは非常に少数ですから、包括性は第一の差別化ポイントであると言えます。

 もう一つの優位性は高精度のAIにあります。当社はAIのレガシーとして非常に優れた技術を有しており、機械学習およびAIのエンジンは常に改善・改良を重ねています。2024年にシンガポールで開催された「Singapore Business Review Awards」では、当社の技術「DeepKNN」がAI - 広告部門のアワードを受賞しました。

局所的なアプローチに閉じないで

 GoogleやMetaなどの大手プラットフォーマーと、テックパートナーとして深く連携している点も、当社の大きな強みと言えます。実際、プライバシーサンドボックスの検証を担うテスターとして、Criteoは最大規模のパートナーです。加えて当社は、世界各国の1,000を超えるパブリッシャーと、SSPを介さず直接インテグレーションをしています。パブリッシャーからのシグナルをAIで学習することにより、アドレサビリティの維持・向上につなげているのです。

──最後に、ポストCookie時代の本格到来を乗り越えようと奮闘する広告主に向けて、ソロモンさんからアドバイスをお願いします。

 局所的なアプローチに閉じないことでしょうか。包括的なアプローチを実践しているテックパートナーを選んだ上で、アドレサビリティの維持・向上に取り組まれると良いと思います。

 また「消費者とどのようにエンゲージしたいか」ということも、ぜひ考えていただきたいです。考える際は「そのエンゲージの仕方によって、どのようなインプットが得られるか」「得られるインプットに価値はあるか」も加味すると良いでしょう。たとえば、メールアドレスというインプットが得られれば、ファーストパーティーデータは非常にリッチになりますよね。とにかく数多くの検証を重ねることが、成功の鍵だと思います。

ウェビナー「Criteoのアドレサビリティ戦略と、今すぐできるクッキー制限対策」

7月末までの期間限定で、オンデマンドのウェビナーを無料公開しています。Criteoが取り組むアドレサビリティ戦略について知りたい方、Criteoでの配信を検討されている広告主様/広告代理店様、クッキーがなくなる未来に向けて準備を進めたいと考えている方は、ウェビナーの視聴ページより、ぜひご視聴ください。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:CRITEO株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2024/07/10 10:00 https://markezine.jp/article/detail/45869