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『MarkeZine』(雑誌)

第105号(2024年9月号)
特集「Update:BtoBマーケティングの進化を追う」

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【特集】Update:BtoBマーケティングの進化を追う

AIの到来とMQLの終焉、そして新分野の台頭──庭山一郎氏に聞く、世界のBtoBマーケティングの今

 マーケティング先進国の米国において、今BtoBマーケティングに大きな変化が起こっている。AIの到来、相次ぐマーケターの解雇、MAやCRM/SFA市場の縮小と続く中、これまで世界のBtoBマーケティングを牽引してきた専門アナリストたちが「Goodbye MQLs」とこれまでのマーケティングフレームワークに別れを告げ、新たなマーケティングフレームワークの確立に向けて動き始めているのだ。この変化によりBtoBマーケティングはどのように進化していくのか。そしてその進化に追随すべく、日本企業は何をすべきなのか。BtoBマーケティングに従事して40年以上の実績を持つシンフォニーマーケティングの庭山一郎氏に聞いた。

※本記事は、2024年9月刊行の『MarkeZine』(雑誌)105号に掲載したものです

激動期に入った米国のBtoBマーケティング

──庭山さんは2024年5月に開催されたForrester Research社主催の「B2B Summit North America」に参加され、SNSで「米国のBtoBマーケティングは激動期に入った」と述べられていました。どのような変化が起こっているのでしょうか?

 いくつか潮流があるのですが、まず失職するマーケターが激増している点です。ここ18ヵ月間で米国のBtoB企業のマーケター10万人が職を失いました。原因は、シリコンバレー銀行の破綻に端を発したIT産業の景気後退にともなうもので、こうした場合最初にカットされるのがマーケティングやPRです。

 そして今回は、人材が切られたところにAIが入ってくるようになりました。マーケティングはこれまでも何度かの景気後退による人材の大量解雇を経て進化してきましたが、AIの登場は初めてのことになります。

シンフォニーマーケティング株式会社 代表取締役/中央大学大学院 ビジネススクール客員教授 庭山一郎(にわやま・いちろう)氏 1990年にシンフォニーマーケティングを設立。1997年よりBtoBにフォーカスした日本初のマーケティングアウトソーシング事業を開始。海外のベンダーやエージェンシーとの交流も深く、長年にわたって世界最先端のマーケティングを日本に紹介している。
シンフォニーマーケティング株式会社 代表取締役/中央大学大学院 ビジネススクール客員教授
庭山一郎(にわやま・いちろう)氏

1990年にシンフォニーマーケティングを設立。1997年よりBtoBにフォーカスした日本初のマーケティングアウトソーシング事業を開始。海外のベンダーやエージェンシーとの交流も深く、長年にわたって世界最先端のマーケティングを日本に紹介している。

──AIの登場により、BtoBマーケティングでどのような変化が起きているのでしょうか?

 これまでであれば、マーケティング人材の削減は一時的な措置で、半年ほど経つと再雇用されるというパターンでした。しかし今回は、AIの登場により一度解雇されたマーケターの戻る場所がなくなるという現象が起きています。生成AIはクリエイティブ分野に強いので、フォームやメールの作成、HTMLコードの生成などはほぼAIの仕事になっています。実際、まだ日本に来ていないものも含めて米国のマーケティングソリューションを見ると、AIが搭載されていないツールを見つけるほうが難しくなっているほどです。

 カンファレンスに関しても、スポンサードするツールベンダーが様変わりしました。マーケティングイベントというと、かつてはMAベンダーが軒を連ねていたものでしたが、今はCRM/SFAやMAでブースを出したりスポンサードしたりしている企業はほぼありません。

──なぜCRM/SFAやMAベンダーがカンファレンスから撤退したのですか?

 理由の1つは、今さら投資をしても刈り取れる余地がないくらい普及してしまったことが挙げられます。その代わりに台頭してきているのが、ABM(Account Based Marketing)、インテントデータやプレディクティブ・アナリティクス(予測分析)といったデータ分野のソリューションを提供しているベンダーです。あとはPRM(Partner Relationship Management)やイネーブルメント分野ですね。3年前と今とではスポンサーの顔ぶれがずいぶん変わっています。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/09/26 09:30 https://markezine.jp/article/detail/46074

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