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『MarkeZine』(雑誌)

第105号(2024年9月号)
特集「Update:BtoBマーケティングの進化を追う」

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【特集】Update:BtoBマーケティングの進化を追う

代理店販売は「営業」ではなく「マーケティング」である。BtoB企業が今こそ注力すべき「PRM」とは

 企業のマーケティング戦略において、日本と欧米の間で大きな違いがあるのがPRM(パートナー・リレーションシップ・マネジメント)戦略だ。PRMは販売代理店とのリレーションシップ構築と強化に向けた取り組みだが、日本企業の多くはこれまであまりPRMを重視してこなかった。しかしBtoB市場で見ると、売上の75%は代理店がもたらしており、ビジネス基盤強化に向けてPRM戦略は欠かせない。そんなPRMの国内市場における現状と具体的な進め方について、パートナーサクセス代表取締役CEOの永田雅裕氏にうかがった。

※本記事は、2024年9月刊行の『MarkeZine』(雑誌)105号に掲載したものです

【特集】Update:BtoBマーケティングの進化を追う

AIの到来とMQLの終焉、そして新分野の台頭──庭山一郎氏に聞く、世界のBtoBマーケティングの今
─ 代理店販売は「営業」ではなく「マーケティング」である。BtoB企業が今こそ注力すべき「PRM」とは(本記事)

BtoB市場は代理店経由の売上が75%、PRMがビジネスの鍵

──はじめにPRMとは何か、またなぜ重要なのかを教えてください。

 PRMとは、メーカーが代理店(パートナー)と良好な関係を構築し、代理店経由の売上を拡大していくビジネス戦略です。企業があるサービスを流通させるにあたっては大きく2つのやり方があります。1つは自社で営業担当者を採用して販売したり、自社Webサイトを販売チャネルにしたりする直販型です。もう1つはパートナーである外部の代理店、つまり他社の営業網で流通させるやり方です。グローバルで見ると、BtoBサービスの流通金額のうち75%は、この代理店経由の売上が占めています。日本国内ではBtoBの流通金額が約1,100兆円と言われているので、そのうち800兆円前後は代理店経由の売上と見ることができます。

パートナーサクセス株式会社 代表取締役 CEO 永田雅裕(ながた・まさひろ)氏 NTT関連企業の営業コンサルや代理店営業を経験後、2014年LIFESTYLEを創業。Google社とパートナー契約を締結。「Googleストリートビュー(屋内版)」事業を展開。2015年Google Japan Business View Awardにて“Most Improved Agency Award(最高成長率賞)”を受賞。Google社のパートナー企業として世界30ヵ国3,000社中TOP5の実績、グローバルサミット選出。リコー社など数々な企業のパートナープログラム構築を手掛ける。2019年9月パートナーサクセスを創業、代表取締役CEO。
パートナーサクセス株式会社 代表取締役 CEO 永田雅裕(ながた・まさひろ)氏
NTT関連企業の営業コンサルや代理店営業を経験後、2014年LIFESTYLEを創業。Google社とパートナー契約を締結。「Googleストリートビュー(屋内版)」事業を展開。2015年Google Japan Business View Awardにて“Most Improved Agency Award(最高成長率賞)”を受賞。Google社のパートナー企業として世界30ヵ国3,000社中TOP5の実績、グローバルサミット選出。リコー社など数々な企業のパートナープログラム構築を手掛ける。2019年9月パートナーサクセスを創業、代表取締役CEO。

 BtoB商材の場合、パートナーと良好な関係を築くことはビジネス戦略上、非常に重要です。2019年7月に発表されたMicrosoft TeamsがSlackのダウンロード数を上回るニュースに、テック業界は一瞬騒然となりました。2013年ローンチのSlackは、ほかのSaaSスタートアップと比較しても圧倒的なスピードで立ち上がりました。

 Bessemer Venture Partnersが2019年に発表したクラウドレポートで比較されているSaaS企業を見てみると、SlackがいかにSaaSスタートアップの中でも群を抜いてユーザー数や売上規模を増やしたかがよくわかります。そのSlackをMicrosoft Teamsがあっという間に抜いたのです(図表1)。

Microsoft Teams Powers Past Slack
図表1:Microsoft Teams Powers Past Slack

 この要因はいくつかありますが、その1つに、元々エンタープライズ領域で強力な営業部隊とインセンティブプログラムのもとに動いている外部販売パートナー企業のエコシステムがあったことが挙げられます。

 こうしたことから、特に米国においてPRMは重要戦略と位置付けられており、今まさに様々なソリューションベンダーが登場して市場が急成長しています。

──日本国内ではまだPRMは根付いていないように感じますが、いかがでしょうか?

 日本国内のPRMについては、米国と比べて10〜15年は遅れていると思います。私なりの分析ですが、日本で営業活動のデータ化が広まったのはセールスフォースが普及し始めた10〜15年前のことだと認識しています。とはいえ実はこの営業活動のデータ化についても日本は遅れているのが現状でして、「従業員10名以上の企業のクラウドCRM利用率」で言えば、米国は90%以上ですが日本だと36%しかありません。つまり米国企業はクラウドネイティブで、データを集約して分析して活用しようというカルチャーが根付いているのですが、日本ではまだ遅れているのです。

 PRMも同じです。PRMソリューションを導入している米国企業は70%ですが、日本企業はおそらく10%にも満たないでしょう。ここにも大きな溝があります。2019年にPRMクラウドサービス「Partner Success」をローンチしましたが、当時国内にPRMソリューションベンダーは当社以外になく、現在ようやく5〜6社に増えたという状況です。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/09/27 09:30 https://markezine.jp/article/detail/46358

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