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ノバセル田部正樹の事業を成長させる“商売視点でのマーケティング”とは

徹底したLTV志向が強いブランドをつくる オルビスの哲学をノバセル田部氏が紐解く

競合の安易な模倣が失敗を招く

田部:化粧品業界は競合が多く、非常に厳しい市場環境であると言えます。小林さんは競合をどの程度意識して戦略を立てていますか?

小林:競合ブランドを具体的にイメージして意思決定を行うことはほとんどありません。究極の目的は顧客価値の創出にあるため、「対象となるお客様が喜んでくださるか」という点を最も重視し、喜びの総量を最大化するためのアクションを考えています。

 とはいえ、市場全体の流れは注視しています。「その流れの中で、どのようなプレイヤーが何を投入しているか」は把握していますが、個別の競合企業ではなく、市場全体のトレンドとニーズの変化に注目し、それに基づいて戦略を立てています。

 過去には、競合を意識し過ぎて失敗した例も数多くあります。たとえばデジタルマーケティングにおいて、効果が高い媒体を求めるあまり「あのブランドが非常に良好なCPAでレスポンスを得ているから」という理由で媒体を選定したことがありました。その結果、良好なCPAで顧客を獲得できるかもしれませんが、本質的なベネフィットが競合ブランドとは異なるため、結局はリピート率の低減などが生じます。苦しい時期ほど、このような安易な模倣に走り、資金を無駄にしてしまうケースがありました。

低価格帯の市場で新たなチャレンジへ

田部:オルビスの商品は、幅広い年代の方に利用されています。オルビスのブランドイメージを保ちながら、様々な顧客層にアプローチする上で、意識されていることはありますか?

小林:商品ごとに4Pを細かく分けて設計することです。オルビスというブランドの根底にあるのは「シンプルな処方とデザインで、自分の肌を最大限に引き出す」という考え方です。この軸を保ちながら、商品ごとにチャネルや価格を設計しています。

 たとえば、本格エイジングケアシリーズ「オルビスユー ドット」の商品はドラッグストアで販売していませんし、おかげさまで大ヒットしているヘアミルクは、広告を一切打っていません。細かな4Pの設計により、オルビスというブランドのイメージは守りながらも、商品ごとに異なるお客様へ訴求することが可能です。

田部:8月5日発表された決算資料では「直販事業の安定成長および強固な利益基盤の構築と、未開拓市場への参入による新しい領域でのトップライン拡大に取り組む」と記されていました。今後のチャレンジについてうかがえますか?

小林:オルビス史上初めてとなる、直販では取り扱わない低価格帯のエイジングスキンケアシリーズ『ORBIS SHOT PLUS(オルビス ショットプラス)』を9月13日にローンチしました。990円(税込)~という手の届きやすい価格帯でありながら、オルビスがこれまで培ってきた技術を活用した高付加価値商品です。

小林:化粧品市場においては1万円以上と1,500円以下の価格帯が伸びている中、ボリュームゾーンである低価格帯に我々のような化粧品メーカーが参入しなければ、市場全体が進化しないなと。当社の潜在顧客にアプローチする意味でも、有意義なチャレンジだと考えています。

田部:本日は非常に面白い話を聞かせていただきました。小林さん、ありがとうございました。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/10/07 07:00 https://markezine.jp/article/detail/46144

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