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LINEは「第2のショールーム」。アウディジャパン販売が実現する、最適な顧客コミュニケーションとは

 昨今、多くの企業・ブランドが顧客と最適な関係を構築・維持するための施策に取り組んでいる。そんな中、アウディジャパン販売ではLINE公式アカウント(以下、LINE)活用によるパーソナライズ施策で顧客一人ひとりに最適化されたコミュニケーションを実現している。本記事では、アウディジャパン販売と同社のLINE活用支援を行う電通デジタルにインタビュー。LINE活用に至った背景から、顧客の関心やタイミングに合わせたコミュニケーションを実現するポイントまで伺った。

LINEを活用したマーケティングに取り組む

MarkeZine編集部(以下、MZ):はじめに、自己紹介をお願いします。

海老原:自動車や航空などの業界で、キャリアを通してマーケティング領域に携わってきました。現在は、日本最大のアウディ正規ディーラーとして自動車販売を行うアウディジャパン販売のマーケティング責任者を務めています。

アウディジャパン販売株式会社 オペレーション本部CRM &マーケティングマネージャー 海老原 育博氏
アウディジャパン販売株式会社 オペレーション本部CRM &マーケティングマネージャー 海老原 育博氏

岩﨑:電通デジタルに入社後は、インポーターとしてのアウディジャパン様に関するマーケティング施策を担当していました。2021年からは、アウディジャパン販売様を始めとする企業様のLINE運用、LP施策の構成ディレクション業務などに携わっています。

池田:同じく電通デジタルで、アウディジャパン販売様が展開するデジタルコンテンツの企画制作について、一気通貫で支援しています。特にLINE運用に関しては、導入要件定義から設計まで携わりました。

来店前にデジタルで情報収集する消費者が増加

MZ:アウディジャパン販売のマーケティング戦略について教えてください。

海老原:まず、輸入車の業界では2種類のマーケティング施策があり、一つは「インポーター向け」と呼ばれるものです。これはアウディジャパンが行っており、ブランディングや認知訴求が目的となります。

 一方、私たち販売店が行うのは「ディーラーマーケティング」と呼ばれるものです。様々なメディアを活用し、顧客のショールーム来店を促し来店者数を増やす仕掛け作りを行っています。「新規の顧客が何名来店されたか」「実際に何台販売できたか」といった文脈でKPIを設定し、イベントなどリアルな場での施策はもちろん、LINE、Webサイト、SNS、メールといった各種デジタルチャネルを活用しています。

 アウディブランドは、一般的に国産メーカーなどと比べると車両の平均単価が高くなります。そのため、世帯年収1,000万円以上で30代後半~60代の層をメインのターゲットとし、日々アプローチしています。

MZ:デジタル施策に注力されている理由は何でしょうか。

海老原:自動車業界全体において、ここ数年で「購入に至るまでのショールームへの来店回数」が、劇的に減少しています。この状況は、事前にデジタル上で多くの情報収集を行い、購入をほぼ決めている段階で来店している方が増えてきたことを意味します。そうした世の中の背景もあり、デジタル施策に注力する必要性が高まっているのです。

なぜLINEなのか?アウディジャパン販売のアプローチ

MZ:具体的に、どのようなデジタル施策に注力しているのでしょうか。

海老原:メールに加えて、2021年からLINEでの顧客コミュニケーションに力を入れています。元々、当社ではリードジェネレーションキャンペーンやリアルイベントを通じて顧客情報を取得し、メールでアプローチする施策をメインに実施してきました。開封率も非常に高い成果は出ているのですが、その一方で、メールだけではリーチできない顧客も一定数いたことが課題でした。

 そんな時、アプローチ手法を電通デジタル様に相談する中でLINE活用を提案いただきました。LINEは今や世代を超えて日本で一番活用されているコミュニケーションツールですから、私たちのターゲット層の方にも効果的にコンテンツを配信できます。

池田:LINEの一番の特徴は開封率の高さです。「メールはプライベートでは頻繁には開かない」という方も、LINEならば1日に数回は確認するというケースも少なくありません。

 他にも、当社開発のAPIツールを活用することで、MA(マーケティング―オートメーション)と連携でき、目的やニーズに沿って開発可能な余地が大きい点も強みです。MA側からLINEで配信したり、反対にLINEで得たデータをMAに連携したりすることも可能です。

株式会社電通デジタル オウンドメディアエクスペリエンス部門 クロスプロモーション第2事業部 池田和将氏
株式会社電通デジタル オウンドメディアエクスペリエンス部門 クロスプロモーション第2事業部 池田和将氏

MZ:LINEを活用した取り組みの内容をお教えください。

海老原:自動車は販売したら終わりではなく、むしろ販売後のほうが顧客との関係が長いプロダクトです。日常的なメンテナンスや整備はもちろん、点検・車検などで顧客接点が長く多く存在します。

 私たちの顧客は、大きく分けると購入前の「見込顧客」と既に購入いただいている「既納顧客」の2種類となります。見込顧客には先ほどお話しした通り、LINEでショールームへの来店や購入を促すコンテンツ配信などを行っています。

 既納顧客に対しては、ロイヤリティやリテンションの向上のためLINEを活用しています。具体的には、車検・点検の案内や、電話番号を用いてユーザーに利便性の高いメッセージを通知可能な「LINE通知メッセージ」というサービスを活用してローン満了のタイミングで買い替えの車を提案するなど、状況に応じた密なコミュニケーションを取っていますね。

パーソナライズした訴求で「第2のショールーム」に

MZ:LINEのコミュニケーション設計で意識したポイントを伺えますか。

池田:見込顧客と既納顧客、それぞれの状況に沿った最適なコンテンツを配信し、アプローチできる設計を意識しました。リッチメニュー(LINEのトーク画面下部に固定で表示されるメニュー)のコンテンツや、メッセージ配信の内容をパーソナライズしています。

リッチメニューのイメージ
リッチメニューのイメージ

岩﨑:設計としては、友だち追加いただくとまず初期アンケートに答える仕様となっています。アンケートの答えで、そのユーザーが見込顧客か既納顧客かを振り分けます。そしてイベントやキャンペーン告知、車両モデルなどの情報、店舗情報まで、内容を出し分けています。顧客ごとにパーソナライズ化することで、LINEは「第2のショールーム」のような存在になっています。

 またMAと連携することで、アンケート情報との紐づけや、メルマガ未開封者にLINEからコンテンツを再送するといった施策も実施しています。友だち追加していなくても、MA連携によりLINEでローン満了のメッセージ配信なども可能となります。

株式会社電通デジタル オウンドメディアエクスペリエンス部門 クロスプロモーション第2事業部 岩﨑瑠夏氏
株式会社電通デジタル オウンドメディアエクスペリエンス部門 クロスプロモーション第2事業部 岩﨑瑠夏氏

海老原:当社では、展示会やキャンペーンイベントなどで顧客情報を取得し、LINEやメルマガでリードナーチャリングを行い、ホットリードに対してインサイドセールスが直接アプローチして来店誘致につなげます。そうした一連のカスタマージャーニーを俯瞰して、その中のどの部分にLINEをチャネルとして設置するか戦略立てて進めることが大切だと感じますね。

 この他、友だち追加を増やす取り組みとして、友だち限定の動画を公開しています。プロダクトを様々な切り口で紹介するコンテンツやアウディオーナーのインタビュー、アウディ車に乗って旅をする“旅動画”なども配信しています。

 また、動画や記事、メルマガなど各種コンテンツ制作も、電通デジタル様で内製いただいています。現場の意図や思いをダイレクトにコンテンツに反映いただけるので、LINE施策においても効果的な訴求に役立っていますね。

友だち追加数が1万人を突破!効果的なコミュニケーションを実現

MZ:LINEを活用した施策の成果を教えてください。

海老原:当社ではLINEはもちろん、リアル・オンラインを含めて、様々な媒体を活用して複合的な顧客コミュニケーションを取ってきました。その中で、来店回数や車両の販売台数の増加などのKPIを達成してきましたが、LINEはその一因に確実になっていると実感します。

 たとえば、音楽イベントやツーリングなど、顧客向けに様々なイベントを定期的に行っていますが、LINEでイベント告知を配信するとすぐに申し込みをしてくれる方が多くいらっしゃいます。今ではLINEをメールに次ぐチャネルとして確立できましたし、顧客の反応をよりダイレクトに感じられると思いますね。

池田:アウディジャパン販売様は、LINE施策が成熟しメルマガのフォローアップ体制が整ってきた段階です。友だち数が1万人を超えており、自動車販売業界でも頭一つ抜けている印象です。さらに、友だち数の拡大によってデータも蓄積されてきました。今後は、このデータを活用した新たな施策も視野に入ってくるでしょう。

岩﨑:見込顧客および既納顧客や、今車が欲しい人、数年先に欲しい人など、顧客の状況に即したタイミングで効果的な訴求が実現できていることも大きな成果です。今後はこのようなデータ活用の幅を広げていくことも、LINE施策のポイントだと思います。

データ基盤が整い、さらなるLINE活用へ

MZ:最後に、今後の展望をお聞かせください。

海老原:現在は、EV(電気自動車)の販売におけるマーケティングに注力しています。アーリーアダプター層への接点を増やしていきつつ、より多くの方にすそ野を広げていきたいです。そのためにも、顧客に向けてLINEを中心としたアプローチを一層充実させていきたいですね。

岩﨑:LINEは国内ユーザーが非常に多く、友だち追加がボタン一つでできるため、利用ハードルが低いツールです。この利点を活かし、顧客とのリレーションシップ構築やコミュニケーション促進につなげていきたいと考えます。

 また、自動車販売業界にとって、車両オーナーと担当セールスのつながりは非常に重要です。このつながりを深めるためにも、店舗ごとの独自キャンペーンの告知を適切なタイミングで配信し、よりCRM活動の最適化に努めていきたいと思います。

池田:これまでの取り組みで、アウディジャパン販売様ではデータを活用できる基盤が整ってきました。今後はLINEをより活用し、スポットだけでなく全体的なコミュニケーションまでつなげていきたいですね。

 電通デジタルでは、様々なデジタルコンテンツ制作からデータ活用、施策の提案まで一気通貫で支援を行っています。オフラインを含めた統合的な支援を今後も行っていきたいと思います。

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この記事の著者

太田 祐一(オオタ ユウイチ)

 日本大学芸術学部放送学科を中退後、脚本家を目指すも挫折。その後、住宅関係、金属関係の業界紙での新聞記者を経て、コロナ禍の2020年にフリーライターとして独立。現在は、IT関係を中心に様々な媒体で取材・記事執筆活動を行っています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社電通デジタル

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2024/09/30 10:30 https://markezine.jp/article/detail/46641