なぜLINEなのか?アウディジャパン販売のアプローチ
MZ:具体的に、どのようなデジタル施策に注力しているのでしょうか。
海老原:メールに加えて、2021年からLINEでの顧客コミュニケーションに力を入れています。元々、当社ではリードジェネレーションキャンペーンやリアルイベントを通じて顧客情報を取得し、メールでアプローチする施策をメインに実施してきました。開封率も非常に高い成果は出ているのですが、その一方で、メールだけではリーチできない顧客も一定数いたことが課題でした。
そんな時、アプローチ手法を電通デジタル様に相談する中でLINE活用を提案いただきました。LINEは今や世代を超えて日本で一番活用されているコミュニケーションツールですから、私たちのターゲット層の方にも効果的にコンテンツを配信できます。
池田:LINEの一番の特徴は開封率の高さです。「メールはプライベートでは頻繁には開かない」という方も、LINEならば1日に数回は確認するというケースも少なくありません。
他にも、当社開発のAPIツールを活用することで、MA(マーケティング―オートメーション)と連携でき、目的やニーズに沿って開発可能な余地が大きい点も強みです。MA側からLINEで配信したり、反対にLINEで得たデータをMAに連携したりすることも可能です。
MZ:LINEを活用した取り組みの内容をお教えください。
海老原:自動車は販売したら終わりではなく、むしろ販売後のほうが顧客との関係が長いプロダクトです。日常的なメンテナンスや整備はもちろん、点検・車検などで顧客接点が長く多く存在します。
私たちの顧客は、大きく分けると購入前の「見込顧客」と既に購入いただいている「既納顧客」の2種類となります。見込顧客には先ほどお話しした通り、LINEでショールームへの来店や購入を促すコンテンツ配信などを行っています。
既納顧客に対しては、ロイヤリティやリテンションの向上のためLINEを活用しています。具体的には、車検・点検の案内や、電話番号を用いてユーザーに利便性の高いメッセージを通知可能な「LINE通知メッセージ」というサービスを活用してローン満了のタイミングで買い替えの車を提案するなど、状況に応じた密なコミュニケーションを取っていますね。
パーソナライズした訴求で「第2のショールーム」に
MZ:LINEのコミュニケーション設計で意識したポイントを伺えますか。
池田:見込顧客と既納顧客、それぞれの状況に沿った最適なコンテンツを配信し、アプローチできる設計を意識しました。リッチメニュー(LINEのトーク画面下部に固定で表示されるメニュー)のコンテンツや、メッセージ配信の内容をパーソナライズしています。
岩﨑:設計としては、友だち追加いただくとまず初期アンケートに答える仕様となっています。アンケートの答えで、そのユーザーが見込顧客か既納顧客かを振り分けます。そしてイベントやキャンペーン告知、車両モデルなどの情報、店舗情報まで、内容を出し分けています。顧客ごとにパーソナライズ化することで、LINEは「第2のショールーム」のような存在になっています。
またMAと連携することで、アンケート情報との紐づけや、メルマガ未開封者にLINEからコンテンツを再送するといった施策も実施しています。友だち追加していなくても、MA連携によりLINEでローン満了のメッセージ配信なども可能となります。
海老原:当社では、展示会やキャンペーンイベントなどで顧客情報を取得し、LINEやメルマガでリードナーチャリングを行い、ホットリードに対してインサイドセールスが直接アプローチして来店誘致につなげます。そうした一連のカスタマージャーニーを俯瞰して、その中のどの部分にLINEをチャネルとして設置するか戦略立てて進めることが大切だと感じますね。
この他、友だち追加を増やす取り組みとして、友だち限定の動画を公開しています。プロダクトを様々な切り口で紹介するコンテンツやアウディオーナーのインタビュー、アウディ車に乗って旅をする“旅動画”なども配信しています。
また、動画や記事、メルマガなど各種コンテンツ制作も、電通デジタル様で内製いただいています。現場の意図や思いをダイレクトにコンテンツに反映いただけるので、LINE施策においても効果的な訴求に役立っていますね。