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業種別アプリマーケ事例大全

MAU率は約30%を維持!羽田空港公式アプリがファン心理を捉える理由

 年間8,000万人以上が利用する羽田空港では、2021年3月にCXを向上させるために公式アプリ「Haneda Airport」をリリース。約4年間でダウンロード数は21万を突破するなどユーザー数を順調に増やしている。羽田空港旅客ターミナルの建設、管理・運営を行う日本空港ビルデングでマーケティング戦略部の部長を務める中澤勝氏に、CX向上の観点でのアプリの役割や、ユーザーエンゲージメントの構築方法などについて話をうかがった。

MAU率約30%の羽田空港公式アプリ「Haneda Airport」

──貴社では2021年3月に羽田空港の公式アプリ「Haneda Airport」をリリースしました。アプリの概要を教えてください。

 本アプリは、羽田空港でのCX向上を目指して作ったものです。開発のきっかけは、コロナの流行でした。この時期は来館するお客様の数が非常に少なかった上に、利用してくださる数少ないお客様に対しても、店舗の休業や営業時間の変更などで多大なご迷惑をお掛けしてしまっていました。そこで、リアルタイムで空港の情報をお届けすることを目指してアプリの開発に着手しました。

日本空港ビルデング株式会社 リテール営業グループマーケティング戦略部長 中澤 勝氏

 具体的な機能には、お客様ご自身が搭乗される航空便の情報を入力すると飛行機の遅延情報や離陸予定のターミナル、搭乗口などをお知らせする「マイフライト登録」や、搭乗前後の時間をより快適に過ごしていただくための「羽田空港内の過ごし方」の提案などがあります。このように、とにかく空港の利用者にとって利便性の高いアプリを目指しました

 しかし、これだけでは飛行機に乗る時のみ利用されるアプリになってしまいます。そこで私たちは、アプリを継続して使いたいと思ってもらえるように、楽しいと思ってもらえる要素を加えることも意識しています。

羽田空港公式アプリ「Haneda Airport」

 その結果、本アプリの累計ダウンロード数は、リリースから4年で約21万DLを突破(2024年8月現在)。MAU率も約30%を維持しています

ユーザーの意見を基に楽しめる機能をアプリに追加

──楽しい機能とは具体的にどのようなものですか。ターゲットによって求める楽しさは異なると思われますが、どのように検討したのでしょうか。

 まず、羽田空港の利用者ニーズの把握を目的として、アプリを開発する際にアンケートを実施。すると、旅好きな方から飛行機好きの方も含め、熱烈な空港ファンの人たちが沢山いることが判明しました。そこで、その方たちをメインターゲットに据えて、彼らが共感してわくわくできるコンテンツ作りを行いました。

 たとえば、アプリ内に「空港をもっと楽しむ」というカテゴリーを設置。そこで、羽田空港の歴史を紹介した写真や、フォトフレーム、羽田空港で流れるアナウンスやチャイム音などの提供を行っています。

 また、アプリの利用者から「空港スタッフだけが知っている情報が欲しい」という声も多くいただきました。そこで、羽田空港に関するクイズの配信や、空港内にあるレストランに当部署のスタッフが取材に行き、季節ごとのメニューを紹介する「スイーツ研究所」といった取り組みなどを行っています

 特にクイズは、多くの方が楽しみにしていてくださっており、配信日である毎週金曜日は、プッシュ通知の開封率が約20%と反応が多くあり、アクティブユーザー数は他の曜日の5倍近くまで増加します。

──アプリと空港内の様々な場所との間で情報を連携させるには、各現場を管轄する他部署との協力関係が必須だと思います。御社ではどのようにして他部署との連携を行いましたか。

 連携に際して意識してきた点としては大きく三つあります。一つ目がアプリ開発の開始時点で他部署も同じチームに入れてしまうことです。ターゲットやどの情報を扱うかなどを部署横断で議論して決定しました。こうすることで、各部署がお客様への情報発信の場としてアプリを積極的に活用してくれるようになりました。

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アプリのグロースのためにまず社内での認知を獲得

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この記事の著者

堤 美佳子(ツツミ ミカコ)

ライター・編集者・記者。1993年愛媛県生まれ。横浜国立大学卒業後、新聞社、出版社を経てフリーランスとして独立。現在はビジネス誌を中心にインタビュー記事などを担当。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2024/10/18 09:00 https://markezine.jp/article/detail/46719

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