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第106号(2024年10月号)
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大丸東京店が実践した、来店促進につながる「コミュニティ」戦略とは?

顧客の「熱量」を実感でき、関係性の構築も実現

 大丸東京店はコミュニティ施策を通していくつかの価値を見出している。

 「1つ目は、お客様との関係性において売買以外の関係が成り立つことがわかったという点です。元々催事からスタートしているため、大丸東京店とお客様の関係は物を買う人と売る人という関係だけでした。そこにワインの情報やノウハウが加わり、ワインについて談義する場があることで、お客様との新たな関係が成立したのです。最初は不安を感じられていたようですが、実際にコミュニティが盛り上がり、お客様がこれほど熱量を持っていることを知ることができた。まさに定性データが見えてきたことに大きな価値を感じていただきました」(新山氏)

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 また、ワインには年代や味、産地など、1本1本に特徴とストーリーがある。これらの情報も少ない接点では伝えきれていなかったが、オンラインコミュニティにより伝えられるようになったという。さらに、発信したコンテンツに対して顧客からコメントが寄せられ、そのコメントに返信するという関係性を築けたことも大きな成果であると大丸は感じている。

 「ユーザーの理解やインサイト獲得の面でも成果がありました。これまで漠然と考えていたお客様像が、より明確で具体的に見えるようになったのです。たとえば、以前は赤ワインが売れていたのに、最近では白ワインやスパークリングワインが売れているという行動データを把握していた。それに加えてコミュニティ内で『白ワインが美味しい』や『スパークリングワインが美味しい』といったコメントで、定量と定性の情報を合わせて確認することができるようになりました。これにより、売り場の白ワインの割合を増やすなど、安心してお客様のインサイトをもとにしたマーケティング活動を実施できるようになったと担当者は語っています」(新山氏)

 大丸の担当者にとっても、ワイン好きな人との交流は貴重な経験となっている。接点が増えたことで細かな気づきを得られる機会も増え、仕事のモチベーションにもつながっているようだ。「定量データも重要ですが、お客様の声や価値ある意見を十分に広げ、それに応えることができるようになったことが大きな価値」と新山氏は強調する。

行動×心理データでマーケティングの効果を最大化

 行動データと心理データを組み合わせることで、マーケティング効果は最大化される。そのためには双方向のコミュニケーションを効率よく、質も高く行っていく必要がある。コミュニティは組織と人、人同士のコミュニケーションを生み出し、心理データの取得から発信までを一気通貫で実施することができる手段となる。

 新山氏はコミュニティを通してできるようになることを次のように整理した。

  • データだけでは獲得できなかったインサイトを爆速で得られる。
  • 商品の活用実態や商品との関わり方を可視化できる。
  • 心理の変化を様々なログデータとともに継続的に可視化できる。
  • ファンとの距離が近づき、ファンが味方になる。ファンが企業のあらゆる活動や施策の初速を作り、下支えする。

 コミューンでは、コミュニティ施策の向き不向きをチェックするリストを作成している。たとえば、「BtoBなら100社、BtoCなら1,000人以上のユーザーが集まるかどうか」「ユーザーの⽬的に共通性があるか」「活⽤すればするほどメリットが増す商品‧サービスであるか」などだ。「このような条件に当てはまる方は、ぜひお話しできればと思います」と語り、新山氏はセッションを終えた。

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:コミューン株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2024/11/14 10:00 https://markezine.jp/article/detail/46964

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