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業種別アプリマーケ事例大全

コンバージョンだけを追いすぎない!SUUMOに聞く、信頼醸成につながるユーザー視点のアプリ設計&運用


メインKPIはユーザーのアクション数だが、「成約間近」などの表記はNG

MZ:アプリ運営のKPIはどのように定められていますか?

立花:SUUMOは、住まいとユーザーとのマッチングサービスですので、いかにユーザーが良い住まいに出会いアクションしたかが非常に大切な指標です。そのため、アプリでも物件問い合わせ数などを重要なKPIとしています。また、MAU、WAU、リテンション率、初期離脱率などもモニタリングするようにしています。

MZ:メインKPIがアクション数であれば「成約間近」「残り○件」などの文言が効果を発揮しそうですが、SUUMOではそのような表現は見かけません。何か理由があるのでしょうか。

髙橋:SUUMOに対する信頼感・好意を中長期視点で醸成することを重視して施策を行っているからです。先述の通りSUUMOでは、賃貸から物件購入、売買まで幅広く取り扱っており、過去に賃貸の物件探しで利用したユーザーが将来物件購入の際に、再度利用するケースも十分に考えられます。

株式会社リクルート プロダクトデザイン室 デザインマネジメントユニット 住まいデザインマネジメントグループ マネージャー/デザインディレクター 髙橋 智江子氏

髙橋:そのため、短期的な視点ではCVRが向上する可能性のある表現でも、「ユーザーを焦らせたり、あおったりするような訴求は原則NG」というルールを定めています。

立花:加えてあおり訴求を行った場合、すでに手続き中である物件への問い合わせが不動産会社に届いてしまうといったことも生じやすくなってしまいます。これはユーザーから不信感を持たれる要因にもなり得るので、物件問い合わせ数などは重視しつつもその指標に偏重せず、信頼感の醸成とのバランスを取ることを意識しています。

MZ:賃貸から売買まで広範囲をカバーするSUUMOだからこそ、LTVを重視した体験づくりをされているんですね。一方で、「今まさに物件探しをしている」ユーザーの熱量を高めてさらなる利用を促す施策もやはり必要かと思います。事例を具体的に教えてください。

宮本:検索条件に合致した物件が出てきた際にはプッシュ通知をする、ホーム画面のレコメンド内容を検討状況に合わせて変化させるなど、ユーザーが探し求めている情報を丁度良いタイミングで届けるようにしています。

 また先述の通り、アプリ版ではホーム画面がユーザーに合わせてパーソナライズされます。たとえば、ユーザーが物件探しの初期段階にいるなら新着情報が、その後検討期に入ってきたら「お気に入りに登録されている物件」が表示されるようになっています。

 このように「アプリを使い続けたい」と思ってもらうためのUXを大切にしています。

【クリックすると拡大します】
SUUMOアプリに実装されているパーソナライズ機能のイメージ。利用開始間もないフェーズ(画面左)から、頻繁にアプリを利用しているフェーズ(画面左)まで、表示される情報自体が変化する

他部署と連携して「物件数」と「情報量」を担保

MZ:SUUMOでは競合他社のアプリとどのように差別化を行っているのでしょうか?

立花:住まい探しにおいて多くのユーザーが重視することは、「物件数」と「情報量」なんですよね。そのため営業などプロダクト外のチームと連携しながら、まずは掲載物件数を担保することに尽力しています。その上でユーザーが簡単に多くの物件情報に出会いやすいUXにすることはもちろん、不動産会社にとっては物件情報が入力しやすい管理画面およびシステムがあるサービスとなるように注力しています。

宮本:また、ユーザーと不動産会社をつなぐサービスだからこそ、ユーザー側、不動産会社側の両方に対して定期的に定性・定量で調査を実施しています。集まった意見の中から解決すべき課題を洗い出したり、アプリを通じて貯まっている日々の行動ログも合わせて活用し、そこから仮説を導き出したりと検証を重ね、ユーザーがより早くシンプルに理想の住まいに出会えるようなアプリを目指しています。

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あえてコンバージョンを追い求めすぎないワケ

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この記事の著者

安光 あずみ(ヤスミツ アズミ)

Web広告代理店で7年間、営業や広告ディレクターを経験し、タイアップ広告の企画やLP・バナー制作等に携わる。2024年に独立し、フリーライターへ転身。企業へのインタビュー記事から、体験レポート、SEO記事まで幅広く執筆。「ぼっちのazumiさん」名義でもnoteなどで発信中。ひとり旅が趣味。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/12/06 12:04 https://markezine.jp/article/detail/47043

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