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第105号(2024年9月号)
特集「Update:BtoBマーケティングの進化を追う」

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MarkeZine Day 2024 Autumn(AD)

水溜りボンド・トミー、けーさんとたろーに質問!「縦型ショート動画」制作&活用のノウハウ

 縦型ショート動画が主流となった今、企業のSNS活用およびインフルエンサー起用の戦略は大きく変化している。横型動画との使い分け方、コンテンツの見せ方などに迷う企業は多い。9月に開催されたMarkeZine Day 2024 Autumnに、UUUMで執行役員の宮﨑航氏、「水溜りボンド」のトミー氏と「けーさんとたろー」が登場し、縦型ショート動画の活用やファンコミュニケーションについてディスカッションを実施。普段の活動におけるプラットフォームの使い方や差別化の工夫、自身のPR事例を基に縦型ショート動画クリエイティブを作るポイントを共有した。

インフルエンサー“コンテンツ”マーケティングへの進化を提案

宮﨑:皆さんこんにちは。今日は縦型ショート動画のトレンドや、当社が支援するインフルエンサーマーケティングについて、データとクリエイターの声を交えながら、リアルな話ができればと思っています。

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UUUM株式会社 執行役員 マーケティングパートナー/プロダクション領域 宮﨑航氏

宮﨑:UUUMは「想いの熱量でセカイを切り拓く」という企業理念を持ち、12期を迎える会社です。創業当初からクリエイターマネジメントを中心に活動し、今ではYouTubeで100万人超の登録者数を持つ91チャンネルを抱えています。我々が企業のマーケティング支援において重視しているのは「コンテキスト・ドリブン・マーケティング」というプロモーション手法です。単にフォロワー数が多いクリエイターを選ぶのではなく、クリエイターのストーリーや心情、視聴者と構築してきた関係性に寄り添う提案によって効果の最大化を狙っています。

 最近では、縦型のショート動画の重要性が以前よりもさらに増してきました。縦型ショート動画は、画面占有率の高さによる没入感やクリエイティブの影響力の大きさから、エンゲージメントが深い傾向にあり、YouTubeショート、Instagramリール、TikTokなど、それぞれのプラットフォームではユーザーの興味関心に基づいたアルゴリズムが強く働いています

 我々は縦型ショート動画と従来の横型動画の活用方法を分析しており、その再生数を“因数分解”してきました。

 横型の長尺動画はコアファンやライトファンから優先的に視聴される傾向にありますが、ショート動画はアルゴリズムの強さを活かして、いわゆる「過去ファン系」「知ってるレベル」のユーザーにまで届く傾向があります。そのため、リーチの最大化に有効なフォーマットとして位置づけています。制作する側の視点としては、ファン以外にも多くアプローチするため、トレンドを鑑みたコンテンツ設計が重要とも言えるでしょう。

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宮﨑:当社の目標は、コミュニケーションの最大化です。だからこそ、クリエイターのコンテンツを起点としたコミュニケーションを重視し、それを叶える機能をサービスとして整えてきました。我々は今、インフルエンサーマーケティングからインフルエンサーコンテンツマーケティングへの進化を提案しています。

SNS投稿・コメントの入念なチェックでトレンドをつかむ

宮﨑:それではここから、クリエイターとの対談を始めます。最初の質問は、トレンドをキャッチするためにどんなことをしているのか。まずは水溜りボンドのトミーさんからお聞きしたいと思います。

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「水溜りボンド」のトミーさん

トミー:視聴者やファンの皆さんのSNS、YouTubeのコメント欄など、あらゆる情報を徹底的に読み込んでいます。自分の動画とは直接関係のない投稿やコメントも含め、すべてに目を通すことで、トレンドの把握に努めています。

 トレンドを把握することは当たり前のことですが、さらに自分の動画の視聴者、潜在的に自分の動画を見る可能性のある方がどのようなトレンドに反応しているか理解することを大切にしています。各SNSには個別のレコメンド機能があり、ユーザーの好みがそれぞれ違うように見ているものも様々です。その様々な人々の興味関心が重なり合う小さな領域を見つけ、そこにコンテンツを刺していくことが、大きな爆発を生む鍵だと思います。

宮﨑:けーさんとたろーさんはいかがですか?

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(左から)「けーさんとたろー」のけーさん、たろーさん

たろー:僕たちはサラリーマンをしながら活動しているため、トミーさんほどのトレンド収集力はありませんが、TikTokやYouTubeショートを日常的に見て、その内容について2人で話し合うようにしています。

 個人のアカウントだけでは自分の趣味嗜好に偏りがちなので、4~5個の別アカウントを作成して、海外の動画や女性向けのコンテンツなど、様々な視点からトレンドを把握するよう心がけています。

 ただし、僕たちの動画の多くはトレンドに沿ったものというよりは、自分たちが楽しいと感じることやおもしろいと思うことを優先して制作しています。むしろ、「自分たちがトレンドを作り出そう」という気持ちです。

短尺動画こそハードルを高くして制作することが差別化になる

宮﨑:ありがとうございます。続いて、ファンコミュニケーションの観点で各プラットフォームをどのように使い分けているのか、教えてください。

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トミー:YouTubeではほぼ毎日、生配信を行っています。生配信はファンの方の特性を知るとともに、自分の性格も知ってもらえるという双方向のコミュニケーションを取ることが狙いです。少し極端かもしれませんが、ファンの方が家族や大切な人と過ごす時間よりも、多くの時間を自分の動画やコミュニケーションに費やしてくれるようにするくらいの気持ちで生配信を続けています。

 他にも、Xに関しては「拡散力」と「おすすめ」のアルゴリズムに特長があると感じています。たとえば、ラーメンの仕事でその写真を投稿すると、まずは自分のファンが拡散してくれますが、それが後々のラーメン好きへのおすすめにもつながり、結果的には自分のことを知らない人にも投稿が表示されやすくなります。この特長から、Xではファン以外へのリーチも頭に置いて投稿をするようにしています。

 このように各SNSのレコメンド精度の高さを利用することで、自分のコミュニティを超えてより広くコンテンツを届けることが、今はできるようになっています。つまり、クリエイターに仕事を依頼した際の影響力が、これまでよりも大きくなっているんです。

宮﨑:次の質問です。縦型ショート動画を作るときに最も意識していることはなんですか? 横型長尺動画との差別化ポイントは?

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たろー:まず、横型長尺よりも縦型ショートの方が難しいと感じます。縦型コンテンツは視聴のハードルが低いため、日々膨大な数のショート動画が生まれています。しかし忙しい方や様々な種類の動画を楽しみたい方が次々と視聴していくため、高い視聴数を維持し続けることがとても難しいんです。

 そのため、僕たちは「おもしろさ」に対するハードルを高く設定して縦型ショート動画を作っています。動画視聴開始から3秒以内に強烈な“引き”を作ってインパクトを与え、その後も素早く展開していくような構成はよくある手法ですが、もちろん心がけています。その上で、表情や笑い方など、細部にまでこだわりを持って制作しています。

 こだわりを持ち続けることで、視聴者に対して質の高いコンテンツを提供し続けられると考えています。最後までにこだわって制作するので、結果としてボツになる動画も多いです。これが僕たちの差別化ポイントですね。

プロモーション動画に活きる「枠外のコミュニケーション」

宮﨑:縦型は動画の時間が短いため制作時間も少ないという印象を持たれがちですが、クリエイターと深く話をしていくと、やはりボツにするものも多いんですよね。同じ質問でトミーさんはいかがですか。

トミー:プロとして“汗の量”で差をつけることを意識しています。縦型ショート動画は横型動画に比べて収益は少ないのですが、縦型と横型、それぞれに役割や価値があると考えています。

 横型動画の場合、サムネイルとタイトルが重要なポイントになるため、そこから逆算して制作することがあります。一方、縦型ショート動画はレコメンドされて自動で流れてくることが多いため、最初の3秒でどんな動画なのかを伝え、視聴者にもっと見たいと思ってもらえるように、オチ、コラボ相手を先に出すなどの工夫をしています

 クリエイターとしては縦型ショート動画だからと言うて適当に制作するのではなく、むしろハードルを上げて取り組む必要があるでしょう。僕は60秒などの限られた時間の中で、できる限り多くの情報と感情の起伏を詰め込むよう心がけています。

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宮﨑:次の質問です。プロモーション動画を出すと視聴者の方からネガティブに映ることがありますが、よりポジティブな反応を得るために工夫していることはありますか?

トミー:1本の動画の中だけでイメージを変えるのは、ほぼ不可能だと考えています。それよりも、日ごろの動画やライブ配信などのコミュニケーションを通じて、自分がプロモーションの仕事を受ける意義をファンに理解してもらうことのほうが大切です。プロモーション以外の動画やコミュニケーションこそが、ポジティブな印象を与えるためにすべきことだと言えます。

 同時に、僕は企業との信頼関係も築きたいと考えています。単に案件の報酬だけを目的としているのではなく、きちんとした関係性を構築したいのです。その結果案件としての成果も出しつつ、視聴者にも楽しんでもらえる動画を作ることを心がけています。

たろー:僕たちは忖度をしないことと、視聴者目線で話すことを大切にしています。たとえば、髭剃りのプロモーション動画で「すごく剃れるね!」と言うときには、あえて大げさに表現することで広告っぽさを逆手に取っておもしろさのポイントにしています。

 また、クライアントの方々が撮影に立ち会うことが多いのですが、皆さんの顔、表情が怖くて(笑)。現場の雰囲気づくりはより良い動画を作る上で重要なので、クライアントさんとの動画外でのコミュニケーションを大切にし、和やかな雰囲気で撮影するようにしています。

宮﨑:最後に一言ずつ、メッセージをいただければと思います。

けーさん:僕たちは少し尖ったプロモーションも提案していきたいと思っています。マスプロモーションとは異なる角度からアプローチできると考えています。

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トミー:“汗の量”で差をつけられるよう、クライアントの皆様とできるだけ会話したいと思っています。強い信頼関係を長く築いて一緒にお仕事していきたいです。

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:UUUM株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2024/10/23 10:00 https://markezine.jp/article/detail/47049