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人気が絶えない丸亀製麺の成長を支える、感性×データサイエンスのマーケティングとは

感動を起点に、「選ばれる必然」と「新たな市場」を創造する

 南雲氏はここまで語った丸亀製麺のマーケティングを支える4つの力、2つの重要なキーワードを踏まえ、丸亀製麺のマーケティング戦略について次のように述べた。

 「感動を起点に『選ばれる必然』をつくると同時に、『新たな市場を創造する』。これがわれわれの目指すマーケティング戦略です。『選ばれる必然』をつくるにはまず、お客様の意思決定が『想起集団』の中から選択されることが多いことを知らなければなりません。だからこそ、まずはこの想起集団に入り続け、できれば第一想起をしていただく。そして、選ばれる認識(パーセプション)をつくる『左脳・理性へのアプローチ』と、選ばれる衝動をつくる『右脳・直感へのアプローチ』の両方を同時に行うことが必要なんです」

 この左脳・理性と右脳・直感、両方にアプローチするコミュニケーションと同様に丸亀製麺が重きを置いているのが「ブランド力×CX(店頭体験)」だという。

 ブランド力は、テレビCMやSNSなど各種メディアでのコミュニケーションを通じて、選ばれるパーセプションと衝動を生み出し続けている。そしてキーワードにも上げたKANDO(感動)の生まれるCX(店舗体験)を提供し実感してもらうことで、また食べに来たいと思ってもらえるようにする。この2つが、丸亀製麺の顧客を創造し、LTVを高めることに寄与しているという。

 では、店頭でのKANDO(感動)体験はどのようにしてつくられるのか。南雲氏は「店舗で感じてもらうKANDO(感動)には2種類存在する」と語った。1つは「自ら仕掛けにいく感動」。もう1つは「つながりから生まれる感動」だ。前者は一軒一軒が製麺所の風情を色濃く感じさせることと「手づくり・できたて」のおいしさを提供することなどを指し、後者がそれらを直接届ける「人の力」によって生まれるものを指す。

 「われわれの店舗では讃岐の製麺所でうどんを食べているかのような没入感、手づくり感を追求しています。この『人のぬくもりのある体験』を提供することが、われわれにとっての進むべき道なんです」

 丸亀製麺ではすべての店に「麺職人」を配置しているが、これもKANDO(感動)体験を支える取り組みの1つとなっている。

 「データからKANDO(感動)をつくることはできないが、感性だけでは再現性がない。だからこそ、その両者を組み合わせたマーケティング戦略が必要になる」と南雲氏はデータと感性の両立の重要性を伝えた。

商品のヒットに欠かせない「3つのポイント」

 続いて南雲氏は、丸亀製麺の商品開発にあたって気をつけているポイントを3つ紹介した。その3つとは「消費者インサイトの探求」「感動体験の探求」「ブランド課題の視点(エントリーポイントや、若年層を増やしたいなど)」だ。

 「これら3つのポイントを合わせて、一番勝てる確率が高いものを見極めることが大切になります。そのために『成功している画が描けるか?』や『唯一無二の体験価値か』などを常に考えながらテストマーケティングを重ねていく。つまりは、直感とデータを行ったり来たりしながら決定へと近づいていくわけですね」

 南雲氏は、勝率が高いものを見極めた後で一番大事になるのが「機能的価値」と「情緒的価値」からなるベネフィット開発だと述べる。

 「ベネフィットを明文化することで、新商品の世界観とぶらしてはいけない体験価値をつくることが重要になります。そして伝える強いコミュニケーションとクリエイティブをつくる。それらを社内のフレームワークに落とし込んだら、『Why』『Who』『What』『How』の4項目で整理していきます」

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うどんチェーンがドーナツをつくっても売れる理由

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この記事の著者

三ツ石 健太郎(ミツイシ ケンタロウ)

早稲田大学政治経済学部を2000年に卒業。印刷会社の営業、世界一周の放浪、編集プロダクション勤務などを経て、2015年よりフリーランスのライターに。マーケティング・広告・宣伝・販促の専門誌を中心に数多くの執筆をおこなう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/03/17 09:00 https://markezine.jp/article/detail/47091

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