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『MarkeZine』(雑誌)

第107号(2024年11月号)
特集「進むAI活用、その影響とは?」

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【特集】進むAI活用、その影響とは?

最初から完璧を目指さない ハイテクなイメージをあえて遠ざけた東急のAIコンシェルジュ

 AIを活用した機能・サービスを新たに開発する場合、越えるべきハードルは多い。開発にかかる費用や期間、セキュリティリスク、アウトプットの精度などをクリアしつつ、ユーザーに利便性を届ける必要があるためだ。東急の定額制回遊型宿泊サービス「TsugiTsugi(ツギツギ)」を立ち上げた川元氏は、ChatGPTを用いて同サービスにAIコンシェルジュ機能を実装した。わずか1.5ヵ月で開発からリリースに至った経緯を紐解くうち、同社の巧みな戦略が明らかになった。

※本記事は、2024年11月刊行の『MarkeZine』(雑誌)107号に掲載したものです

【特集】進むAI活用、その影響とは?

生成AIがクリエイティブとデータをつなぎ、顧客体験を変えていく。アドビに聞くビジョンと現在地
─ 最初から完璧を目指さない ハイテクなイメージをあえて遠ざけた東急のAIコンシェルジュ(本記事)

PRで絵になる“素材”が必要だった

──「TsugiTsugi」がどのようなサービスか教えてください。

 全国260以上(2024年10月時点)の宿泊施設から、その日の都合や気分に合わせて好きな場所を選び、定額で宿泊できるサービスです。宿泊数に応じて料金が異なり、最小2泊から最大30泊までプランを用意しています。

東急 ホテル・リゾート事業部 事業戦略グループ 主査 川元一峰(かわもと・かずみね)氏
東急 ホテル・リゾート事業部 事業戦略グループ 主査 川元一峰(かわもと・かずみね)氏
2011年に現・東急株式会社へ入社し、財務戦略室にて予決算や税務申告、経営計画策定を担当。イッツ・コミュニケーションズ株式会社や現・東急ホテルズ&リゾーツ株式会社の事業構造改革を歴任し、2021年に東急の社内起業家育成制度を活用してTsugiTsugiを立ち上げた。現在はTsugiTsugiの全体企画や自治体連携、マーケティングを担当。

──どのようなユーザーが利用していますか?

 年齢で言うと35〜44歳の層が最も厚く、全ユーザーの8割以上を就労者が占めています。平日の宿泊に特化していることもあってか、宿泊する直前に予約いただくケースが非常に多いです。「来週の火曜日なら有給が取れそうだな」「この日なら出社しなくてもリモートで働けそうだな」と思えたタイミングで予約に至っているのかもしれません。自身の仕事のスケジュールや勤務形態をある程度コントロールできる方が、上手に利用してくださっているようです。

──2023年5月にTsugiTsugiへ実装された「旅先こんしぇるじゅ」機能の紹介もお願いします。

 ChatGPTの技術を活用したAIコンシェルジュ機能です。ユーザーはキャラクターとの会話を通じて、旅先や宿泊施設の提案を受けられます。キャラクターは全4種で、見た目や性格、言葉遣い、得意領域が異なります。温泉に詳しい「おつぎ山」や、子連れ旅行のおすすめ情報に詳しい「小次郎」など、浮世絵イラストレーターのNAGAさんにキャラクターをデザインしてもらいました。

旅先こんしぇるじゅの使い方(イメージ)
【クリック/タップで拡大】旅先こんしぇるじゅの使い方(イメージ)

──なぜこの機能の開発に至ったのですか?

 第一の理由は、ユーザーの離脱防止にあります。TsugiTsugiに限らず、宿泊予約サービスで離脱可能性が最も高まる瞬間は、予約手配のタイミングなのです。「旅行しよう」と思い立つ方は数多くいるものの、OTA()のサイトにアクセスして目的地を決める段階で、まず大半の方が悩みます。それなりの時間をかけて目的地を伊豆に決めても、伊豆のどこに行くかでまた悩みが生じますよね。エリアを絞った後は宿泊先のホテル選びやプラン選びで悩むうち、面倒くさくなって離脱してしまうのです。TsugiTsugiでは提携施設が毎月増えていることもあり、ユーザーの選択をサポートする目的でこの機能を開発しました。

※Online Travel Agencyの略称。インターネット上でのみ取引を行う旅行代理店を指す

 第二の理由は、話題化にあります。TsugiTsugiの正式事業化を報道公開するにあたって、メディア関係者に足を運んでもらうための“素材”が必要でした。ちょうどその頃、ChatGPTが国内で話題になりつつあったため「AIを使ってメディア関係者が取り上げやすい素材をつくろう」と考えたのです。

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ハイテク路線から浮世絵風に転換したワケ

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/11/27 09:30 https://markezine.jp/article/detail/47143

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