※本記事は、2024年11月刊行の『MarkeZine』(雑誌)107号に掲載したものです
【特集】進むAI活用、その影響とは?
─ 生成AIがクリエイティブとデータをつなぎ、顧客体験を変えていく。アドビに聞くビジョンと現在地
─ 最初から完璧を目指さない ハイテクなイメージをあえて遠ざけた東急のAIコンシェルジュ
─ 組織の生成AI活用を最大化するためには?リクルートの生成AIプロジェクトが実践する4つの施策(本記事)
リクルートが生成AI活用のプロジェクトチームを発足した理由
──リクルートの「生成AI活用プロジェクト」とは、どのようなプロジェクトでしょうか?
浅川:私たちが所属するプロダクトデザイン室は、リクルートの各領域におけるプロダクトマネージャー(PdM)やデザイン部門、オペレーション設計部門などが集まった横断的な組織です。「AI活用プロジェクト」はその中で発足したもので、ChatGPTをはじめとする生成AIが大きな注目を浴び始めた2022年に立ち上げました。プロダクトデザイン室内において、生成AIに関する世の中の動きや情報を収集して伝えることや、業務改善、リテラシー向上などを目的に活動しているプロジェクトとなります。
当プロジェクトには3つのチームがあり、技術知見獲得や技術検証を担うR&Dチームと、社内の活用促進を担うAIコンテンツ推進チーム、社内の業務改善を目的として活動している業務改善チームで活動しています。
Web業界に長くいると、「時代が変化するタイミング」を感じることがあります。たとえばブロードバンドが普及したとき、スマートフォンが発売されたとき、市場は大きく変化しました。生成AIも同様に、時代を変える存在になると感じています。生成AIが作る時代の流れに乗り、きちんと理解して、組織として正しく使いこなしていくために、プロジェクトを立ち上げました。
──プロジェクトのミッション、ビジョンを教えてください。
浅川:まずは、プロダクトデザイン室内での生成AIの活用人数最大化を目標に、AIツールのアカウント申請数や利用状況をモニタリングしている状況です。生成AIの活用によって社員の生産性が向上すれば、アウトプットやPDCAを回す速度も上がり、競争優位性につながると考えています。
また、生成AIの発展によって、これからはプロダクトを作るプロセスが大きく変わる可能性があると感じています。これまで多くのプロダクトを世に生み出してきたリクルートとして、生成AIをどう活用し、より良いプロダクトをリリースできるか。具体的な活用筋は模索中ですが、近い将来にはプロダクト開発やサービス改善にもつなげていきたいと考えています。