成果が出るまで2年待ってもらえるかがカギ
━━採用広報の先駆者とも言えるfreeeですが、当初は効果について社内で厳しい声もあったと思います。理解を得るために、どういう工夫をしましたか?
栗林:内定した方や面接にきてくれた方にfreeeについてヒアリングをしました。すると、ヒアリングした情報と、私たちが伝えたい情報にすごくギャップがあったんです。なので、「このギャップを埋めるために、こういう記事を出しませんか」と社内に発信することで、採用広報の重要性を浸透させていきました。
━━コスト面での経営陣への説得は大変ではありませんでしたか?
栗林:やはり費用対効果は問われましたね。私は広報って、短期では効果は出てこないものだと思っているんです。もちろんゼロではありませんが。でも、「この記事を出したら何名採用できるの?」と言われたら、即効性という意味ではなかなか難しいものがありました。
これから採用広報を始めるなら、成果が出るまで2年は待ってもらうと良いのではないでしょうか。もちろん「いつまでに成果が上がるよう活動する」と目標をしっかり持ち、それを経営陣にも伝えることも大事だと思います。
笠井:定量的な効果分析も大切ですが、「N=1」のリアルな言葉が、読者にすごく刺さるのも事実なんですよね。記事を読んで感動し自己応募で入ってきてくれた事例が出てくると、採用エージェントへのフィーやスカウトのコストなどと暫定で比較しても、費用面でペイしている、と言えるんです。
社内をよく見渡して、採用広報をやる意義を見つけよう
━━会社のカルチャーによって、採用広報の難易度が違うと思います。freeeのような情報発信に近づけるには、どのようなことを意識すればいいでしょうか。
栗林:採用に関わる人は、会社について伝えることが大切です。どんなに小さくても会社で起きていることを知ると、自分の言葉で採用候補者に会社のことを伝える力も付くのではないでしょうか。社内のイベントや起こっていることに目を向けて、会社を好きになって行動していくと、会社のカルチャーにも少しずつ変化が出てくるのかな、と思います。
笠井:採用広報ですごく大事なのは、入社してくる人に対して事前にコミュニケーションができることだと思います。もし今採用広報をやっていないなら、転職者の会社に対する理解が不足しているために早期退職してしまう、などの課題が既に社内にあるはずなんです。それをしっかり観察すれば、なぜ採用広報をやるのか、意義や意味が見えるのではないでしょうか。
━━本日はありがとうございました。
