誤解が生まれる理由は「下心」で説明がつく
誤解が生まれてしまう大きな要因を一言で表すと、マーケター(or 書き手)が、博識で賢いと思われたいという「下心」です。難しい言葉を駆使して長文で語ることで、専門家らしさや信頼性をアピールしようとする。しかし、これは読者のニーズを無視した自己満足になりがちです。
また、「目的と手段を履き違えている」という側面もあります。読者に必要な情報をわかりやすく伝え、行動を促すことが本質なのに、「長く書く」「画像を盛り込む」「専門用語を散りばめる」が目的化してしまい、本来の目的がぼやけてしまう。結果、読まれることのない無価値な文章がネット上に漂うわけです。そのような状況に陥っていないか確認するためにも、具体的なケースを一つひとつ見ていきましょう。
誤解1:長文にするほど質が高くなる
分厚い資料のほうがなんとなくありがたいという風潮、思い当たりますよね? あれの名残です。しかし、読者が求めているのは、“長さ”ではなく“要点”です。限られた時間で正確に知りたいことがわかるコンテンツこそ、価値があります。そのためには「引き算の発想」で余分な情報を削ぎ落とし、必要なポイントだけを残す必要があります。
加えて、「文字単価で原稿料が決まる」という報酬体系も一因です。書けば書くほど報酬が増える仕組みならば、ライターは以下の行為に走りがちです。
- 同じ内容を言い換えたり、わざと長く説明したりする
- 本題に入る前に詳細すぎる背景や歴史を長々と説明する
- 「おすすめ***50選」などやたらと長いリストを作る
- 網羅性が必要ない場面でも、情報をかき集めて網羅的にしてしまう
- 本題と関係が薄い統計データや引用を多用する
- 一つの概念を別の表現で何度も説明する
- 「いかがでしたか?」「それでは次の章に参りましょう」等を差し込む
解決には、“発注者側の意識改革”が必要です。発注者は文字単価ではなく、記事そのものの価値に基づいて報酬を設定しましょう。文字数の多寡は質を決めません。「この記事は4000字に満たないからもう少し何か足さないと……」と考えるのはもう辞めませんか?
誤解1に陥った文/回避できた文の比較サンプル
【悪い例】
ダイエットを成功させるためには、食事制限が必要であるとよく言われていますが、実際にはそれだけでは不十分であることが多いです。なぜなら、食事制限だけでカロリーを減らそうとすると、身体が省エネモードに入り、消費エネルギーが減ってしまうため、効果が頭打ちになることがあるからです。また、食事制限は心理的な負担が大きく、ストレスがたまってリバウンドにつながることもあります。そのため、有酸素運動を併用することで、脂肪を効率良く燃焼させ、健康的に体重を減らせるのです。有酸素運動はランニングやウォーキングなど、日常生活にも取り入れやすい方法で行えるため、無理なく続けられるというメリットがあります。食事制限と有酸素運動を組み合わせることで、より効果的なダイエットが可能になります。
【改善例】
ダイエットを成功させるには、食事制限だけでなく有酸素運動も必要です。食事制限だけでは消費エネルギーが減り、効果が頭打ちになることがあります。有酸素運動を取り入れることで脂肪を効率良く燃焼し、健康的に体重を減らせます。