ユナイデットアローズ オンライン公式アプリ、“段階的”リニューアルを実行
━━ユナイテッドアローズ(以下、UA)はアパレル業界のなかでも先駆けてデジタル化に取り組んでおり、OMO戦略を積極的に推進している印象です。そのキーマンである岩井さん、佐々木さんが、それぞれどのような役割を担っているのかを教えていただけますか?
岩井:OMO本部で全体管理を務める岩井です。OMOというとデジタル領域の施策と捉えられることが多いのですが、私たちUAは基本的に「お客様軸のコミュニケーション全般」をOMOと捉えており、デジタルだけでなく店舗オペレーションを管轄する役割も担っています。さらに言えば、会員プログラムである「UA クラブ」やCRM、EC、アプリ、そして広告やコンテンツなどもOMO本部で管轄しています。
佐々木:OMO本部デジタルマーケティング部に所属しています。デジタルマーケティング部ではアプリ施策を始め、CRM構築、キャンペーン実施、SNS、スタイリング投稿促進、店舗での他社ポイント施策や、Web広告やデータ分析、活用など多岐にわたりますが、私はアプリをメインに担当しています。
━━「ユナイテッドアローズ オンライン公式アプリ(以下、公式アプリ)」のリニューアルを進めているそうですが、その内容を教えてください。
佐々木:当社のアプリは今まで、会員証としての役割がメインでした。ただ、それ以外の利用の役割を持たせ、お客様との接点をより多く持つことで、お客様と長いお付き合いをしていきたいという思いから、まずは「より使いやすさを実現していこう」となりました。
リニューアルは2024年から段階的に進めているもので、実はまだ完了していません。2024年の6月に第1回リリース、10月に第2回となる大きなリリースを行いました。最終リリースは今月末を予定しています。
キーワードは「おもてなしアプリ」、その狙いとは?
━━段階的に進めている理由は何でしょうか。
岩井:ブランドの世界観を伝えるという全社的な動き、そのプロモーション施策とも連動するように公式アプリのリリースを進めていこうと考えたのですが、一つ問題がありました。それは「リニューアルによって売上が落ちるのではないか」というリスクです。一般的に見て、ECアプリがリニューアルすると、ユーザーが新しいアプリに慣れずに売上が落ちるという現象はよくあります。そこで、段階的にリニューアルをかけてお客様の体験負荷をなるべく避けたいと考えました。
━━なるほど。そこでアプリ開発を担当したのがBIPROGYさんなのですね。
渡邉:はい。BIPROGYがSaaSとして提供している「Omni-Base for DIGITAL'ATELIER」(OBD)の導入コンサルタントの渡邉です。今回はスマートフォンアプリリニューアルの技術統括アーキテクトとしてプロジェクトに参加しました。
島田:OBDの適用コンサルタントの島田です。SaaSであるOBDの導入に際しては、単にお客様の業務を把握するだけでなく、その背景を理解することも重要になります。私のほうでは、お客様のご要望をお聞きしながら、お客様の求める運用や業務をOBD上で実現するための検討を行っています。
今回のプロジェクトではプロジェクトリーダーという形で参加しました。
━━では改めて、今回計画されてきたアプリリニューアルについて教えてください。
岩井:コンセプトは「おもてなしアプリ」です。そもそもアパレルは基本的に接客ありきのビジネスモデルで、その意味で言えば店舗は最も大きなお客様接点と言えます。そして店舗でのおもてなしは、お客様にどのようなタイミングでどんなお声がけするかが重要なポイントです。今回のアプリリニューアルは、「デジタル上のパーソナライズをいかに上げ、店舗での接客精度に活かしていけるか」に焦点を当てて実施しています。