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成果につながるリサーチ

リサーチ組織の改革で「さけるチーズ」の売上が過去最高に!雪印メグミルクが語る正しいインサイトの捉え方

 企業がマーケティング戦略を策定する上で取り組む「消費者調査」。しかし、調査チームと事業側のチームでの連携がうまく行えておらず、成果につなげられていないケースが多く見受けられる。雪印メグミルクでは、2022年からリサーチグループの組織改革に着手。リサーチを通じて消費者起点のプロモーション設計に成功し、同社が有する「雪印北海道100 さけるチーズ(以下、さけるチーズ)」は過去最高の売上を叩き出した。本記事では、同改革を牽引してきたマーケティング部の橋爪和美氏に、これまで取り組んできた組織改革の軌跡と、正しいインサイトを発掘するためのリサーチ方法について伺った。

リサーチグループが他人事に見えた本当の理由

──雪印メグミルクでは2022年4月からマーケティングリサーチグループの改革を行ってきたと伺っています。その取り組みの背景を教えてください。

 前提として当社では、家庭用チャネルを管轄する部門として二つの事業部と、一つのマーケティング部の計三つの部門を抱えています。そのうち、市場調査などのリサーチ業務はマーケティング部内のリサーチグループが担当しています。

雪印メグミルク株式会社 マーケティング部 マーケティング企画G 課長 橋爪 和美氏
2022年4月からマーケチングリサーチGの課長を務め、組織体制の改革を実行。2024年4月からは新設のマーケティング企画Gの課長に就任し、引き続き組織改革を推進している

 事業部側から見えていたリサーチグループと、実際に異動して感じたリサーチメンバーの想いとの間に大きなギャップを感じたことが組織改革の一番のきっかけでした。たとえば、コンセプト調査を依頼した際に、結果の良し悪しを調査のプロであるリサーチグループに聞いた時には、「リサーチグループから回答はできない」という言葉が返ってきます。他にも、低予算で調査ができるセルフ型ツールの導入を相談すると、「それはリサーチグループが実施するレベルのリサーチではない」という答えが返ってきてしまうなど、少し他人事に感じる場面がありました。

 ただ、異動後にわかったのは、これらの態度はあくまでもリサーチグループが「正確さを欠いた発言により会社の判断を誤らせてはいけない」という責任の下で業務を行っていただけであって、決して他人事だったわけではなかったのです。それどころか、メンバーたちは「事業部にとって有効的な調査にするために頑張りたい」という熱い想いをもって業務に取り組んでいました。

 このように、それぞれが熱意をもって業務に取り組んでいるにも関わらず、お互いの理解不足によりすれ違いが生じているのであれば、それは非常にもったいないことです。このような考えから、リサーチグループの改革に乗り出しました。

組織体制を大きく変革し連携を強化

──リサーチグループの立ち位置や大まかな業務内容を教えていただけますか。

 弊社のマーケティング部は、リサーチグループとテレビCMやデザインなどを制作するクリエイティブチーム、営業企画チーム、2024年4月に新設されたマーケティング企画グループの四つのグループで構成されています。私がこれまで改革を行ってきたリサーチグループでは、主に事業部から依頼を受け、その内容を基にリサーチの設計・実施・報告や各種データベースの管理などを行っています。

──組織改革前後でリサーチグループの役割はどのように変化しましたか。

 改革以前のリサーチグループでは、依頼を基に調査を実施し、結果を報告するというのが基本スタンスでした。そのため、事業部のメンバーが抱えている課題や調査の背景にある文脈を理解するのにも限界があったと思います。

 そこで、事業部が主体となって構成している各ブランドの担当チームに、リサーチグループのメンバーを必ず入れるよう体制を変更。ブランド戦略の立案から実行まですべてのプロセスでリサーチのメンバーが能動的に携われる体制を作りました。

 新たな体制になってからの取り組みとしては、まず、ブランド定義の策定を行いました。ロイヤルユーザーが抱えるインサイトを深掘りし、彼らがブランドに対して感じている価値を明確化。その上で、ロイヤルユーザーと類似した属性をもっているが、まだそうはなっていない潜在顧客をターゲットに据えて、ロイヤルユーザーが感じるブランド価値をターゲットに伝えるための方法を考えました。

 そして、現在は、ロイヤルユーザーと潜在顧客の間にあるギャップを埋めるための戦略立案や関連するリサーチ業務を日々遂行しています。

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この記事の著者

堤 美佳子(ツツミ ミカコ)

ライター・編集者・記者。1993年愛媛県生まれ。横浜国立大学卒業後、新聞社、出版社を経てフリーランスとして独立。現在はビジネス誌を中心にインタビュー記事などを担当。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/03/07 09:00 https://markezine.jp/article/detail/47909

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